紙の本
映画「フリーダ」を見たあとでどうぞ
2004/06/27 10:28
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投稿者:pipi姫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「フリーダ・カーロ展」は見逃したが、映画「フリーダ」をDVDで鑑賞した後、猛烈に彼女のことを知りたくなった。
この本は日本人による初のフリーダの評伝だ。と同時に著者堀尾真紀子のメキシコ・パリ紀行文でもある。
フリーダ・カーロといえば、一本に繋がった眉の自画像で知られているメキシコの女性画家だが、47年の生涯に残した200点の絵のうち、ほとんどが自画像であり、彼女の強烈な個性が放出されるその独特の風貌が見る者を射すくめる。シューレアリズムを知らずにシューレアリズムを描いたとアンドレ・ブルトンに絶賛されたフリーダは、18歳で交通事故に遭い、瀕死の重傷を負って生涯その後遺症に苦しめられた女性である。21歳の年齢差をものともせず高名な画家であり共産党員でもあるディエゴ・リベラと結婚し、リベラの女性関係に苦しめられ続け、自らもその苦しみを埋めるかのように奔放な恋愛を繰り返した。
映像の力で迫る映画にはかなわないけれど、この本も映画では描かれなかったフリーダ晩年の苦しみを丹念に追っていて、いい評伝だ。フリーダとトロツキーの恋愛や、イサム・ノグチとの恋愛にも触れていて、映画のよい補遺となる。
晩年のフリーダは10年以上に亘って体の痛みにモルヒネを使って耐えていたわけで、その壮絶な苦しみを映画は描き切れていない。映画はむしろフリーダの強烈な個性や不屈の激情を描くほうに力点があった。
それに比べて本書は、彼女の肉体と精神の苦しみ、そして幼い頃からの愛への飢餓感、愛されることに執着し続けたその内面をじっくり描く。「フリーダを捜す旅——それは結局、自分自身を捜す旅ではなかったか」という唐突で余計な一文さえなければとてもよかったのだが。
この本がもともと雑誌『マリ・クレール』に連載された紀行文であるため、初心者にはたいへん読みやすい入門書になっているが、その分、美術史上のフリーダ・カーロの評価や彼女の周囲の魅力的な人々については最小限度しか書かれていない。また、画集でもないので、フリーダの絵を堪能するためには別の資料に当たる必要があるだろう。
生涯30数回の手術に耐えた苦痛の人生。最後まで夫ディエゴへの愛にすがり、苦しみ多いその愛とともに逝った女性の華やかで波乱にとんだ生き様に深い感動を覚える。
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日本人女性の手によるメキシコの女性画家、フリーダ・カーロの評伝。翻訳ものと違って、日本人が書いたものなので表現もひとつひとつココロのヒダに入り込んでくる感じで、読みやすい。
母親と縁が薄かった幼少時代、その後の人生に大きな影を落とす交通事故とその後遺症などがフリーダの存在を足元から揺るがした。そこから生まれた、もっと愛されたい、見られたいという強い飢餓感。こうありたい自分と、直視するのも辛い自分との間で、つねに引き裂かれていた苦悩が、あの赤裸々すぎる絵の数々に叩きつけられていたのだ。彼女の絵が私をひきつけたのも、あたし自身も分裂した自分を持て余しているからなのかも。フリーダをはじめ、ジャニス・ジョプリン、シルヴィア・プラス、ジョージア・オキーフ、鈴木いづみ。私が好きな女性達はみな、変にまとまることなく狂気と正気を生き抜いて全うした人たちばかり。ほんとうにかっこいい!彼女達が前を歩いてくれてるおかげで、わたしも生きていられるのかもしれない、とさえ思う。
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フリーダの絵には、自分と自分の傷ばかり描かれているように見える。
一般人は傷を負った場合、時間が解決してくれるのを待つことが多いけど、フリーダはそこまで我慢強くもなければ、周りが見える人間でもなかったのではないかと思う。
しかしそれでも、凡人には到底描けないよこんな絵。自分をぎりぎりのところで守るために、自分を絵の中で傷つけているという印象を受けた。
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フリーダの絵を最初に見たとき、なんだか怖くてでも目が離せなかった。好きなタイプの絵じゃないのに。
額縁まで血が飛び散った「ちょっとした刺し傷」という絵だった。
最近になって、フリーダの人生について知りたくなったのでこの本を図書館で借りた。
わたしがフリーダについて気になってたこと・・・なんであんなに自画像ばっかり描くのか、という疑問もよく分かった。なるほどね。
読んでて、画家・フリーダ・カーロっていうより、女・フリーダ・カーロの生き方に驚いてばっかりだった。
夫で壁画家のディエゴとの結び付きは、凄い。
怖いぐらい凄い。
いつも愛に喘いでいた人。愛に生きた人。
激しい愛を芸術にも昇華させた人。
また彼女の絵をメキシコで見たいな。
「私は生涯に二度、大きな事故に遭いました。ひとつは交通事故、もうひとつはディエゴと結婚したことです」
「あなたたちは自分の目があり、自分の感性というものを持っているのですから、それを信じることです。大切なのは、どう描くか、よりも何を描くかなのです」
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興味があるからこそ読みきれる。
彼女の絵を知っているとよりいい。
さらにさらに彼女が好きになった。人間らしい。
作家さんの情熱にも感動。
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フリーダの絵の奥にある、彼女の生い立ちや恋愛事情が知れて面白く読めた。
私的な事情だけを作品にこめた作品で、こんなにもインパクトの強い絵は珍しいと思う。
女たらしの旦那を持つとこんなに傷つくのですね。。
それでも好きで離れられないって、分かるような分からないような。
旦那が女に奔放なのは変えられないという前提のもとで、そんな変えられない状況でも夫と生きてゆく道、浮気の傷を耐え抜く道を少しずつ模索してゆくフリーダがすごいなと思う。
既にメキシコシティの近代美術館とフリーダ・カーロ美術館で彼女の作品は生で見ているけれど、画集か何かでもっと沢山の作品を知りたいなと思った。
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映画「フリーダ」でしか知らなかったフリーダ・カーロ。映画で観たよりもずっとずっと激しく、ずっとずっと苦しかった人生が想像できます。
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なぜか惹かれるフリーダ・カーロ。
ありのままで、自分に正直であり、自分をさらけ出す姿がかっこよく、魅力的なのだろうか。
そのときどきの時代背景と合わせてフリーダの生涯を知ることができ、彼女の作品が人生の出来事とどのように関連しているかなども解説があって面白い。
巻末の横尾忠則さんとの対談もよかった。
専門的な話だが、美術の素人が読んでも分かる内容。
メキシコに行きたくなる〜
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著者はメキシコ旅行中に2人のフリーダを見て、取り憑かれたかのようにフリーダを取材し始める。その取材記とフリーダの生涯がうまく混ざり合い、面白く読めた。
フリーダ。交通事故やらで身体に障害を持っていたが、そんな事はものともせずに、当時のスター画家ディエゴと結婚し、トロツキーやイサムノグチらを魅了した人
作品は主に自画像
心のうちをさらけ出す勇気ある人
1人を愛し求め続けた人
フリーダの原色の民族衣装のように
鮮やかな個性の人
ただただ憧れる
また巻末の横尾忠則との対談が良い
マドンナが私の誕生を持っているとわ!