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ティプトリーの女性観って、リアルで嫌味。きっとこの人、ホモだと思ったら女だったのですねー。
ハードボイルドな気分になりたい女の人にオススメしたい本。
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短編集。原題の"Out of the Everywhere"とは、解説によれば、ジョージ・マクドナルドの童話『北風のうしろの国』に出てくる童謡の一節から取られたとのこと。「赤ちゃんはどこから来たの?どこでもないところから」といった歌。『北風のうしろの国』は、お読みになったことがない方のために蛇足を承知で申し上げれば(ハヤカワ文庫FT35で出ている)、十九世紀ロンドンの貧民街に住む子供が取り巻かれている現実と、星の世界に飛ぶファンタジックな描写がないまざった、奇妙な雰囲気の、死生観の漂う童話である。ティプトリーはあたしにとって常に、「現実に対して誇らかにノーと叫び、星ぼしをめざす少女」であり、その印象はこの短編集でより強まった気がする。『接続された女』の頃のハードさや仕掛けの多さはないが、直球勝負という感じか。
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感想を正直に言うと、星新一を思い出すなあ、と。
星新一もそれほど読まなかったけれど、どうやら私にはあれがSFだったらしい(笑)。
人類の終焉を扱った短編がいくつかあって、そのあたりのオチのつけ方が、星新一を思い出すのかしら。
最後の「たおやかな狂える手に」という小説に引用されている詩がとても好きでした。
たおやかな狂える手に 彼のもてるはまさしく花々
汚れた鉄格子に向かい ちぎり捩じる―――
藁束は 狭く閉ざされた宇宙を惨めに縁取り
鈍感な世のひとは 蔑み哀れむのみ
アーネスト・ダウスン『癲狂院にあるものに』
ミッチェルの『風と共に去りぬ』という小説のタイトルは、このダウスンの恋愛詩から取られてるんですよね。
でも日本ではあまり有名ではない詩人みたいで、この詩が掲載されている詩集も絶版なのが残念。
この「たおやかな狂える手に」はなかなか印象的だったかも。
容姿に恵まれなかった少女が、ただひたすらに宇宙を目指し、ついにたったひとりで宇宙へ飛び出してめぐりあったのは……。
星々への憧れと、切なさをいっぱいに詰め込んだ話です。
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1981年の短編集。
いちばん好きなのは1977年度のネビュラ賞受賞作でもある「ラセンウジバエ解決法」。
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ネビュラ賞らしい短編集
1981年の作品。特長がいくつもある。作者は女性である。10年もの間、男性であるとして読者ほかをだまし続けたらしい。女性名でも作品を発表していたそうだ。とにかく、星へのあこがれがすべてのお話のテーマになっている。
原題は Out of the Everywhere, and Other Extraordinary Visions である。これをこの邦題にしたのはさすがの一言である。久しぶりに超訳をみた感じだ。
短編それぞれに関して言え
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収録作
「天国の門」
「ビーバーの涙」
「おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ!」
「ラセンウジバエ解決法」
「時分割の天使」
「われら〈夢〉を盗みし者」
「スロー・ミュージック」
「汚れなき戯れ」
「星ぼしの荒野から」
「たおやかな狂える手に」
SFとしては「ラセンウジバエ解決法」が凄まじい。
女性殺し(フェミサイド)が、どこか現実の延長線上にあるような感覚がした。
一番好きなのは「たおやかな狂える手に」。
しかし全体的に色々語れそう&語られてそうな作品ばかり。男は外部で、エイリアンで、犬で、いらない存在なのか。
収録作の中だと「スロー・ミュージック」だけ、男女の描き方が違うと思った。
救いでもなく、わかりあえるわけでもなく、常に移り変わるけど、なんとなく同じとこにいれそう。
「たおやかな~」は主人公の選定理由とか扱われかたがあまりにもって感じが。宇宙船の乗組員を描くにあたってこういう視点はなかったのかも、と思う。
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http://shinshu.fm/MHz/67.61/archives/0000313381.html
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ティプトリーの作品集で二番目に好き。(一番目は『愛はさだめ〜』)『おお、わが姉妹よ〜』『ラセンウジバエ解決法』『たおやかな狂える手に』が良い。
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ティプトリーってやっぱりおもしろい!!
彼女の描く小説は、どうしてこんなにも刺激的なのでしょうか。「愛はさだめ、さだめは死」にみられるギラギラとした凄みたっぷりの作品も中毒性があっていいけれど、「たったひとつの冴えたやりかた」のように情感にふるえる作品も信念が感じられて頼もしい。
本書は、そんな趣向の異なる作品をバランスよく取り揃えた短編集です(どちらかというと後者より)。
すべての作品を楽しめたのですが、とりわけ次の作品が印象的。
「おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ!」
なんだこれは、と悪態をつきたいところですが、次第にそのしっちゃかめっちゃかな展開に惹きこまれていきます。こういった読者を突き放した(でも、実際は救いの手をさしのべている)作品になんだか中毒性があると思うのですが…
「ラセンウジバエ解決法」
サスペンスフルな傑作です。この作品もそうなのですが、ティプトリーの作品には、ときに底抜けのやるせなさを感じる一方で、どこか正しい信念の潜在を感じます。どんな問題提起をしても、どんな不安をあおっても、どこかに進むべき正しい道があるような… ティプトリーを好きなのは、そういう二面性にあるのかもしれません。
「スロー・ミュージック」
本作で登場するヒロインのピーチシーフ。彼女からは、いわゆる男性から見た女性像を顕著に感じるのですが… こういうところもティプトリーらしさなのでしょうか。
「星ぼしの荒野から」
プロットだけを追うと、とてもやるせない作品です。だけど、確かにやり切れない思いでいっぱいなのだけれども、これが間違いとは思わない。これで良かったのだという納得感。ティプトリーの情感への訴え方は、どこか悲壮さを感じます。
「たやかな狂える手に」
どう疑っても主人公が作者自身としか思えません。以下、訳者あとがきでのティプトリーのインタビューを抜粋。
「星をみるときは、いつもすばらしい無意味さと無関心さの感覚にひたるのよ。完全な自由-それが、地球、わたし、シリウスという偉大でとことん無頓着な太陽がつくる構図のなかにあるから」
なんだか、ティプトリーが好きな理由がいまひとつ解ったような気がします。
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SF。中短編集。
ティプトリー3冊目。1981年の作品。著者が性別を公表してから出版。ラクーナ・シェルドン名義で発表された作品が4作品が好み。
「ラセンウジバエ解決法」は文句なしの傑作。
「天使の門」はコンタクトもの。好きなジャンルです。
「おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ!」はファンタジックなSFホラー。主人公の狂いっぷりが良い。
ティプトリー名義の作品では「スロー・ミュージック」が、ワクワクする冒険と何とも言えない読後感が魅力的。
全体として非常に満足。絶版になっているであろう他作品も含め、新しい表紙での復刊を強く希望。
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読みにくいが味がある短編集
表紙 7点たまいまきこ 伊藤 典夫 朝倉 久志訳
展開 5点1981年著作
文章 5点
内容 650点
合計 667点