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ソクラテスの本を読んでいるみたい。いろんな寓話と問答を読むだけでも楽しめる。
主人公はどう考えても狂信者でしかないんだけど、なんだか感情移入してしまって、徐々にユートピアが崩壊していくさまははかなく、切ない。なるほど、こういうSFもあるのかと思わされる。
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世界の先住民族は入植者に依って駆逐され、殺害された歴史がある。入植者達の技術や思想、全てが悪なのだろうか?
ユートピアとは何なのか?を、今では形骸化し、ヨーロッパの文化に晒されてしまったケニアのかつての部族民の生き残りを通して描いた大作。
舞台は近未来で、主人公である祈祷師自体も欧米での教育を受け、更に自身が生まれた時点でケニアは近代化していたため、時代錯誤も甚だしい話ではあるが、かつての欧米文化入植前の世界=ユートピアを追い求めるが、段々と老害化してしまっているのが悲しい。
トータル500ページ近くの容量だが、複数の短〜中編で成り立つ「火星年代記」を彷彿とする構成に加え、会話中心の物語でかなり読みやすい。
「ある社会がユートピアでいられるのはほんの一瞬なのだ。一旦完璧な状態になった後は、どんな変化があってもそれはユートピアではなくなってしまうのだが、社会というのはそもそも成長して進歩するものなのだ」
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これがSFかと目から鱗が落ちるような作
表紙 7点田口 順子 内田 昌之訳
展開 8点1998年著作
文章 7点
内容 730点
合計 752点
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西暦2120年代、ケニアに暮らしていた民族たちは白人に追われ、サバンナを失い、やがて地球を旅立つ。
旅立った先の星を古代からの言い伝えとともにキリンヤガと名付け、その場所をユートピアとして暮らしていく祈禱師と住民や地球からやって来る人たちとのストーリー。
その場所の純潔を守るためには揺るがない掟は大切だが、川が流れるように時代は流れていく、その川の流れを掟で止めたり変える事は良いのだろうか?考えさせられた。
SFに民族文化を融合させた秀作
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成長と変化、歴史と進化。年代や役割、時代と共に変わる主張と頑に変えられない考え。リーダーはいずれ老害に。自分の今の居場所とこれからを考えさせられる物語。
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これは面白い。たくさん賞を取ったのもうなずける。
ひたすら、ネイティブアフリカンのユートピアを求めるコリバ。
そして実現させ、そして、、、、、
本書が語り掛けるものは何?理想を追い求めることの愚かさ?理想は実現しないもの?
価値観の違う人から見れば愚かかもしれないけど、コリバたることを諦めた瞬間から、その夢はすり抜けてしまうから。
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ユートピアを”維持する”ってどういうものなのか。変化のない世界はユートピアと言えるのか、と難しい問題を提起する作品でした。
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社会と言うものをトートロジーに陥らないで定義できないままに、これが学問だと言い張るのが社会学。という指摘をTwitterのどこかで目にした覚えがあります。
とはいえ、敢えて一時的に定義するなら
『社会とは、生まれ生まれて死に死にゆく人々の、流動の中に形成された、共同体』
と申せましょう。
しかし『ユートピア』という語は違う。その言葉が固定したがる”状態”は、”構成員が生まれ、死に、入れ替わることで変化する”社会ではない……。
静かなエンディングには禅の境地を感じます。
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SF。連作短編集。
初めてのレズニック作品。
一言で、傑作。なんでこの作品が絶版なのか。
テーマは"ユートピア"と"伝統"と"変化"か。
とても面白いが、読後感は正直良くない。読んでいて、とにかくもどかしい。
経営者や政治家のような、上に立つ立場の人が読むべき一冊。
むしろ、全人類が読んだほうが良いとすら思える。
物語を通して、不偏的な教訓や知識が示唆され、滅茶苦茶に考えさせられる。
評判の良い「空にふれた少女」も素晴らしかったが、個人的ベストは「マナモウキ」。
ムンドゥムグの語る物語が、ムンドゥムグ自身に跳ね返ってくる結末が、非常に切れ味鋭い。
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表紙が理由で買ってなかったのを後悔、アフリカの一部族 × SFというのも新鮮だったけど考えさせられる内容で面白かった
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「絶滅に瀕したアフリカの種族、キクユ族のために設立されたユートピア小惑星、キリンヤガ。楽園の純潔を護る使命をひとり背負う祈祷師、コリバは今日も孤独な闘いを強いられる…ヒューゴー賞受賞の表題作ほか、古き良き共同体で暮らすには聡明すぎた少女カマリの悲劇を描くSFマガジン読者賞受賞の名品「空にふれた少女」など、ヒューゴー賞・ローカス賞・SFクロニクル賞・SFマガジン読者賞・ホーマー賞など15賞受賞、SF史上最多数の栄誉を受け、21世紀の古典の座を約束された、感動のオムニバス長篇。」