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病弱であった故に伯母に下へも置かれぬほど大事にされた幼少時の日々のことが淡々とつづられている。
出版が1926年というから、かれこれもう80年も前のことであるのだが、まったく古びた様子はなく 古きよき日本を垣間見るようである。
時の流れのゆるやかさや、人の振る舞いの奥ゆかしさにほっとする心地がする。
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すごく感動した本。
何に感動したかって、日本語の美しさ。
ストーリーよりもそっちばっかり目が行ってた…
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いまさら、な本ではありますがやはり回想ものとしてははずせません。「かちり」「ぽくぽく」など、日本語のオノマトペの豊かさを再確認できる本ですよね。
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内容:中勘助の子どもの思い出をほのぼの綴った本。
感想:無名ながら有識人にファンの多い作品らしいということで買ってみた。言うほど面白くないんだけど、大正時代に書かれている本としては読める。すごい点が一つあって、子どものことを子どもの立場でこんないうまく書けていること。和辻哲郎の解説によれば、漱石も(こんなに子ども時代の真実をうまく書いている本は)「見たことない」そうだ。最近長嶋有を読んだときに子ども視点がうまいなあと思ったけど、面白いかどうかは別にして、大人が書いているのか子どもが書いているのかわかんないこの文章はすげえ。一読の価値はある。が、そんなに面白くはない。あと名文だと言われるそうだが、僕はそうは思わない。
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私が持っているものより表紙が素敵。話の内容にどきどき感はないけれど、言葉一個一個が丁寧な日本語で、きらきらしてると思う。
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ネット上で見た感想と、夏目漱石が絶賛したという所にひかれて購入。日記風味と言うか淡々と書かれているので緩急は無いのですが、私個人としては、緩急がこれでもかとついたような物語り(や、エッセイ)は好まないので、むしろとても楽しく読めました。文章の運びや言葉の選び方がとても柔らかくて夢のように綺麗です。
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平板な印象もあるけれど、子ども時代の思い出って、これといって特別なものは無いと思う。「子どもである」という状況が、今から見れば特別なのだ。私はこの物語、好きです。
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はっとするような洞察を持つが、内気で、多少性格の悪い(笑)著者の子供時代が甘美に描かれています。伯母と他愛ないものに囲まれた幸福な頃。
湧水の甘さに似た、私達の言葉の最も素直な美しさを持つ文章です。素晴らしい!
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漱石門下(?)で文壇の趨勢などどこ吹く風・・・な、中勘助の出版物中でも、最も燦然ときらめく作品かに思われる
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この人のような文章を書けたらといつも思っています。
後編の十四が好きすぎて、折り癖がついてしまっているほどです。
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美しい日本語。
昔の国語教育でテキストとして使われたというのがよくわかる。曖昧な「童心」という特別言い表せない特別な感覚・感情を、こんなにも見事に再現できる人はいないだろう。
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とても味わいのある文章です。なんというか温かみがあります。漱石が絶賛したという紹介に魅かれて、本屋で冒頭をぱらぱらと読んでみると、一気に引き込まれました。ここにその冒頭を紹介します。
「私の書斎のいろいろながらくた物などいれた本箱の引き出しに昔からひとつの小箱がしまってある。それはコルク質の木で、板の合わせ目ごとに牡丹の花の模様のついた絵紙をはってあるが、もとは舶来の粉煙草でもはいっていたものらしい。なにもとりたてて美しいのではないけれど、木の色合いがくすんで手ざわりの柔らかいこと、ふたをするとき ぱん とふっくらした音のすることなどのために今でもお気に入りの物のひとつになっている。」
あまり難しい言葉を使わず、それでいて細心の注意を払って言葉を選んであると感じられませんか。
話の内容は自伝風で、子どもの世界を丁寧な眼で書いています。なんということはない筋かもしれませんがとても楽しめます。素晴らしい小説だと思います。
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もう書いてしまうのは何故かというと・・・
昨日ひょんなことから10年ぶり位に本書を開いたのでした・・・案の定、もったいなくて、直ぐに読むのを止めてしまった。宝物すぎて、老後の楽しみを潰したくないという、訳の分からない不安と混乱・・・でも近いうちにやはり読んでしまう予感あります。
というわけで、「不朽の名作」であり「奇蹟の書」なのである。いまだこれ以上の書物には出会っていません。日本人に生まれてよかった。
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文章がきらきらしていてきれい。子どもの頃に風邪を引いて学校を休んで、でも退屈して宝物を引っ張り出して独り空想の世界に遊んでいるときのような、甘やかな記憶を呼び起こされる。
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レポートを書いた因縁深い作品。著者が幼年時代を回想録っぽく書かれています。子供としての視点が成人した語り手の中であんまり失われていないところに驚きました。