紙の本
量子力学とナノテク
2001/03/16 23:58
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投稿者:やまだまさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々なところで既に書かれているように、このグレッグ・イーガンという作家の作品にはどこか哲学的なテーゼが通奏低音として物語に絡まっている。
この作品では量子力学的不確定性から作り出される波動方程式の拡散した宇宙から、ある定常状態へと収縮することによって可能な宇宙を選び取るという技術と、脳内に常駐するナノロボットによって意識状態を意図的に変更する技術(mod)のふたつがメインとなっている。「順列都市」でもそうだったし、「祈りの海」のなかの短編にもいえることだが、「自己」の在り処が不定となった状況下における人間の行動の描写というテーゼがこの作品にもある。ぶっとんだ感じは「順列都市」程ではない。
私はこの作品を読んだとき、むかーし「ファミコン通信(ファミ通)」に連載していた「2001のゲームキッズ」(多分)の中にあった、「ボンバーマン」という話を思い出した。この話も可能世界もので、脳内に爆弾を仕掛けておいて気に入らないことが起こったら爆発させて他の可能世界にいる「自分」に未来を託す、みたいな話である(うろ覚え)。他にも「ドラえもん」の中の「もしもボックス」も可能世界へジャンプするような道具であろう。多元可能世界ものというのはそう突飛なアイデアでもない気がするのだが、私が面白いと思ったのは、人間が波動関数を収縮させるために拡散した状態を保てなくなってしまうことを危惧した宇宙人がバブルという太陽系を隔離する構造体を作ったのだろうというエピソード。このスケールの大きさは好きだ。
原書でも読んでみたが当然というか、3割程度しかわからなかった。邦訳版は400pもありちょっと長すぎな感じ。アイデア勝負ならもっと圧縮してもいい気がする。
そういえば、ドイッチェが多元世界解釈について本を書いていたはず。「世界の究極理論は存在するか」
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個人的には、どうもイマイチ。
面白いんだかつまらないんだか、よくわからなかった、てのが感想。
何がまずかったんだろうなー。
途中、凄い面白い、と感じた所があったんだけど、それはそこだけだった。
量子論の拡散状態がよく理解できなかったのかも(笑)。
あと、あのサイバー世界がなんか好きになれなかった。
あそこまで万能なテクノロジーが揃ってれば、もっと変容していそうなもんなのに。
ある日、巨大な球体が太陽系を覆って、星が消えてしまう。
あらすじは凄い面白そうだったんだけどな。
アイデアとか展開とか凄いと思うんだけど、個人的には最後まで読むのがつらかった。
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さすがに満員電車で本は中々読めませんねぇ。やっと読み終えました。前回読んだ順列都市より読みやすかったです。個人的には世界観がまだ身近に感じられるSFかなと思いました。
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「万物理論」でグレッグイーガンを知り速攻買った本。ドラマとしての分かりやすさや魅力ではこちらに軍配が上がる。が、主題そのものの理解はこっちが数段難しい。「シュレディンガーの猫」の話を知らないと話が一ミリも分からないというのは正直どうかと思うが、分かるとそのトリックにのめり込みます。いつかは実現されるであろう量子コンピュータなどにも絡む話で読んどいて損はないかと。2005年読んだ本で最もオススメ。てこれも1999 年発行だった。世紀末は豊作だったみたい。
“人生は他のバージョンの自分を絶え間なく虐殺することで成り立っている”って多世界宇宙観
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物語の核である量子論に基づくアイデアに圧倒された。また、ナノウェアによる感情のコントロールに対しての主人公の思考や葛藤が興味深い。
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●導入部、いきなりわっけわからんカタカナ用語ががしがし羅列されるんで、どうしようかと思いました。「モッド」なる道具がすぐに掴めなかったり。うーん。
てか、そんな道具があったら人間なんでもできちゃうのでは? とすら思いつつ、しかし物語はたったか前へ進む。
前半は、SFハードボイルドテイスト。
主人公が私立探偵なだけでしょ、ってツッコミは無用。
この辺りが冗長だと言う向きもありましょうが、私はけっこう評価します。
途中から話がガツンとSF寄りになって行くんだけど、こう言う、
「あれ? ××だと思ってたら、□□だったの!?」
的なズレ方はわりと好き。
「・・・で? そもそもの依頼人は??」
とか言うツッコミは置いといて(笑)
でも、それも、最終的な“収縮”=選択にニックを介入させるために、遡及して依頼が存在したってことなんだろーなー。説明された覚えはないけど。ハハハ。
●てなわけで、そこそこ厚かったわりにスムーズに読めた=面白うございました。
私がイマイチ量子力学に対する理解が足りない、てか理解の範疇を超えてるため、この物語のコペルニクス的転回な発想を100%は楽しめなかっのがかなり残念。
シュレジンガーの猫って概念くらい知ってるけど、理解までしてるとは・・・・まあいいか・・・。
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「シベ超」を面白く紹介した みうらじゅん のポジションの紹介者 / 解説者が不在なのだ、これは大きい。
グレッグ・イーガン を面白おかしく紹介する人が出て来て欲しい。
(居るかも知れないけど、おれが知らないだけでしょうね)
グレッグ・イーガンの高度過ぎるヴォケに気付けないのだ。まだまだです。
すらすら理解できれば、笑える噺だよこれは。
すらっと説明すべき所を放り投げたりしてるけど、大森望 さんのあとがきがあって初めて面白くなる。
ラストのカタストロフ?なのか?のシーンで山田風太郎「忍法八犬伝」のラストの宴会みたいな死闘を思い出した。
解り易さが足りないので評価は低いけど、妥協しない姿勢にはいつも狂気を感じる。
いや、あんまり感じないか。
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ハードボイルドな主人公が、波動関数の収縮問題に悩む。大学時代量子力学に苦しめられたことを思い出さずにはいられない。そして久しぶりに量子力学の教科書を引っ張り出してみるもやはりいまいち分からないのであった。小説自体は結構面白い。
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最後はマンガチックな情景となってしまいましたが、これで量子論の大雑把をつかみました。
脳神経コンピュータとか設定が面白かった。
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エンターテイメントとしても、スペキュレイティブ・フィクションとしても一級品の物語。「自由」というものを考えるとき、僕はいつもこの作品のことを思い出すだろう。
作者は、この物語の主人公に、神にも等しい自由を与える。これまでも「人が神になる」SFはあった。だが、この小説においては、それは結末ではない(そこから物語が動く)。あるいは、不相応な自由を得た者が、人間ならざる境遇について、"人間的に"煩悶したり暴走したり自壊する小説はあった。だが、本作の主人公はそのような"文学的"な生き方とは無縁だ。自由は、自由以外のものによって蝕まれるのではなく、むしろ自由そのものの内的な論理によって自ら乗り越えられてしまう。そして、読者は主人公とともに「自由」と「不自由」がメビウスの環のようにねじれる、奇妙な捩れの一点に立たされる。
いつもの悪い癖で、僕は書店で、この小説の最後のページを真っ先に読んでしまっていた。そのとき印象に残った、最終ページ最後の数行の言葉。それが、最初からすべてを読み終えたあとに、がらりと印象を変えていたことに驚いた。平凡な今が一瞬、途轍もなく奇妙なものに思えてくる。論理的な麻薬のようなイーガン初期の傑作。
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いろんな要素がぎっしり!詰まったハードSF長編。
とびっきりのアイディア詰め込まれてて面白いんだけど量子論が絡んだりけっこう難解。
あと前半と後半でだいぶ印象というかジャンルが違うかも。前半SF的に地味かなって思っても是非最後まで読んでほしいな。
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【あらすじ】
2034年、地球の夜空から星々が消えた。正体不明の暗黒の球体が太陽系を包みこんだのだ。世界を恐慌が襲った。この球体について様々な仮説が乱れ飛ぶが、決着のつかないまま、33年が過ぎた…。ある日、元警察官ニックは、病院から消えた若い女性の捜索依頼を受ける。だがそれが、人類を震撼させる量子論的真実につながろうとは!ナノテクと量子論が織りなす、戦慄のハードSF。
【感想】
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時間封鎖の言及されていたので、っつーか本屋並べて置いてたから素で関連書籍と思ったよ(笑
こっちの方がSFっぽさがぎゅっと纏まっていて良いかもしれない。サイバーパンク!
まぁ出だしこそ似てたけど本質は似てなかったです。ふぅ。
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やっぱりイーガンさんの奇抜なアイデアは凄い。
観測問題に対する一つの回答からこれ程のストーリーを展開させる技術には舌を巻くばかりです。
章が進むたびに次々と新しいアイデアや展開が出てくるので、最後まで飽きることなく一気に読んでしまいました。
「量子力学」「波動関数の収縮」「シュレディンガーの猫」といった言葉に少しでも心が動かされるなら是非読んでおくべき作品だと思います。
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頭痛い。
量子力学が中心にあるから、しっくりこないと乗れないかも。
読みやすさとしてはジェイムスホーガンの方が全然あるんじゃないかと思う。
SFとしては主題の提起から、最後まできれいに通っているから素晴らしいとは思うんだが。量子SFがまだ受け入れる土壌が俺の中にないんだと思う。
ダンシモンズのうつろな男とかがこういう系統らしい。
宇宙は消失してなくないか??ってかなにげに大脳皮質の構造上の動きと思考とはどう違うのか、みたいな考察が聞かれててよかったり。
主題はシュレディンガーで、観測による事態の確定か。
もうちょっとSFを読み進めたらイーガンに帰ってこよう。