紙の本
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2001/05/31 08:01
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投稿者:Kyowya - この投稿者のレビュー一覧を見る
継ぎはぎだらけの、内蔵も骨も皮膚も、そのほとんどを(ブタ)のものと取り替えられた私の体。私は人間? それとも(ブタ)? 私は誰? 私は何? 表題作他2編。
「脳が人間のものなら人間」そう思うなら、このどちらが“人間”か迷う事はないはずだ。“(ブタ)の脳を持つ人間の体”“人間の脳を持つ(ブタ)の体”。
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この本には「人獣細工」「吸血狩り」「本」という三作品が収められてる。
「人獣細工」:
生まれつき多くの臓器に異常をもつ病気の娘と医者の父親の話。
父親は病気の娘に臓器移植手術を行なうのだが…
その臓器は、父親が研究している遺伝子組換えの「豚」の臓器。
それは研究のタメなのか、娘のタメなのかって話。
そして最後は娘の苦悩、身体のほぼ全てを移植された彼女は…
「吸血狩り」:
少年が吸血鬼と戦う話。(笑)
主人公の少年はイトコの姉を助けるために、吸血鬼と対決することを決心するのだけど…
少年の純粋さと大人の冗談、現実と想像の境目の無さが作品の面白さ。
人間の思い込みと正義の定義の不確かさ、コレが本当に面白い。
「本」:
題の通り、奇妙な「本」とその本を読んだ人間のストーリー。
始まりは「芸術論」と名づけられたをが、小学校の同級生から届くことから始まる。
映像では表現できない、文章だけが持つ独特の手法(疑心暗鬼?)を上手に用いた作品。
これらの作品、ひいては小林泰三の作品全てに共通していえるのは、
「ストーリー」と「文章表現」のダブルの恐怖心。
ストーリーは、人間の存在を否定するような方法で不安感を煽り、
文章表現は、時にリアルに見せつけ、時に誤魔化し想像させることで効果を高める。
はっきり言って好き嫌い分かれるんだろーけど、読み出すとはまります。
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これは恐い。主人公がとりつかれたように「何か」を求めていく様が。最後まで救われないしね。悲しいし、恐い。
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小林泰三の短編三作
〈人獣細工〉
生まれつき体が弱く、移植医師の父親に体中の臓器や皮膚を移植され続けていた女性の話。
移植に使われている臓器は遺伝子組み換えによって人の臓器を持ったブタのもので、女性は自分とブタ、遺伝子組み換えブタと人間の区別を考えるが、そこに境界線を見出せず、苦悩する、、、
〈吸血狩り〉
8歳の少年は毎年夏休みを過ごしに田舎の祖父母を訪れる。
そこで15歳の従姉が黒尽くめの大男「吸血鬼」に魅了され、助けようと奔走する。
解説を読んではじめて気づいたのだが、少年が必死に対峙していた大男は本当に吸血鬼だったのか、それとも唯の近所の別荘で夏を過ごしていた子供好きのおじさんだったのか、、、
小林泰三の狂気に触れた気がした。
〈本〉
今までに読んだ小説の中で最も面白かった!!!
作中の登場人物が小学校の同級生から送られてきた『芸術評論』と題された「本」に影響を受け、おかしな行動を開始する。その行動だけを見ると、「最高のコメディー」と感じるのだろうが、この作品の中では「最高のホラー」のように感じた。人の狂気は恐ろしく、誰も自分が狂っていないと証明することはできない。
とにかく面白く、読み終わって一時間ほど興奮からさめず、夜中の二時に叫びだしたくなるほどの衝撃を受けてしまった。
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衝撃の結末に向かって、話はドンドンと展開していく。
いや、収束していくというほうが正しいか。
最後の結末があまりに救えなくて、自分が人間であるはずであった証拠が自分を・・・と確証させるものになってしまう。これを読んで後は、眠れなかった。
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いつもの狂気な天才さは残っているものの、設定はベタだった気がする。そこがちょい残念やけど面白さはやはりさすがなもの。
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不気味な3篇。表題作「人獣細工」・・・謎を追い求めてたどり着いた真相。自分が人間であるというたった一つの確信が一転する。知らないほうが良かった、と後で嘆いてももう遅い。どこまでも救いようのない話。
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ぞっとするほど怖い。主人公が悟った真実。そして、主人公がどうなるか。続きを知りたいような、知りたくないような。
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短編集にしては濃すぎる内容です。とてもいい。
個人的には吸血狩りがいろいろと思うところあって一番好きです。
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これも中学生の時?中3かな??
リアルに想像できるのが良いなぁと思います。ホラーではないけどちと背筋が寒くなる
よくよく考えると凄い。内容は漫画にしたいけど、漫画にしたらきっとがかりするなぁ。
好きな本が映画になるとがっかり・・みたいな。
自分の想像力に任せて映像化できる楽しみを満喫できると思う。
アニメ好きよ 挑め!!
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小林中毒者になってしまったのではないかと暗澹な気持ちになる。
しかし、『人獣細工』でも、『本』でもそうなのだが。
小説の中には残虐さが表立って見えるが、実はその中にも隠れた優しさが秘められていたのだ。
『本』では小説の中身と現在がつながるといった珍しいものだった。
『人獣細工』では身震いよりも先に涙腺から涙が零れてしまったのである。
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初めて読んだ彼の作品。
一気にファンになる位すごかった。文章力が。
内容も現実と想像を行き来するのは彼のよさ
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恐るべき科学の力。
人の部位を持つ豚、その豚の部位を持つ人。
豚から生まれた皮膚と、豚から生まれた臓器と…
果たしてそれは豚か人か。
タイトル見て「買う!」と思いました。
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人間ではない人間。
パッチワーク・ガール
彼女は全てが継ぎはぎだ。
皮膚はもちろん臓器から
何から何まで
どこまでだったら人間だろう?
どこまでいったら動物だろう?
でも人間なんだ
どこか絶望を受け入れる空気があった
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この中に入っている「本」という話が好きです。ちょっと悪寒が走るような恐怖感とグロテスクな世界が見事にマッチしていて読み応えあります。