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2022.11.13市立図書館
1997年「ララ」初出。
玉鈴の身代わりになって花婿候補たちと対しなければならない晶は、碧の本体ラシード9世(もとい本体は玉鈴同様事故で死に、瀕死だった碧に臓器を移植して暗示をかけて身代わりにした状態)に出会い、母との再会を経て玉鈴として生きていく覚悟を固める。ここからいわゆる「復讐編」となるのかな。
まゆ、生きててよかった、というかしたたかだな。まゆとよく似た女官春蘭もかわいい。そして、血塗られた婚礼の部屋の混乱しきった晶の前にどこからかあらわれたのは由。展開はめちゃくちゃはやいが、物語はまだ折り返していないのか…
もともとまったく同じDNAからわかれたドナーの臓器移植に拒絶反応はないということになっているが、生理的に受け入れられたとしても、その後の人生に違和感が生じてこないのか、というあたりもとりあげるのか。
そしてミラーも含め、本体になりかわったものがここまでのところ3人。
それにしても、カズオ・イシグロ「わたしを離さないで(2005)」よりずっと前に、もうこういう作品があったんだというのがやはりおどろきである。