紙の本
意志の付与、拡散する物語
2001/05/02 19:58
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかく一生に一度は読んでおきたいマンガ。
鬼才、楳図かずおが昭和58年に第1巻を発表した本作は、まだ工場のオートメーション化が目新しかった時代の工業用ロボットが語り手となっている。
その、「真悟」と名づけられ、情報を教え込まれることによって自分の意志を持ったロボットと、名付け親であるさとるとまりんの運命を軸に、物語は展開するのだが、作家が楳図かずおなだけに奇妙な世界観と脈絡の欠けたストーリーは、読む者をそこはかとない不安に陥れる。
少女まりんを誘惑しようとする気味の悪いアメリカ人青年や、反日運動で日本製のテレビが壊されている光景など、当時が偲ばれるような風刺描写は、今読むと非常に新鮮である。また、パソコンが普及しバーチャルリアリティが当たり前になるずっと昔に、このようなアンチロマンを創作した楳図かずおの想像力は国宝級と言える。
『寄生獣』や『ドラゴンヘッド』、『バトルロワイヤル』等の作品など、楳図かずおの『漂流教室』や『神の左手悪魔の右手』を前にすればかわいいおとぎ話のように見えてしまう。たぶん、書いている本人が途中から自己同一性を失ってしまっているようにしか思えないところが恐怖の原因だろう。
なお、このマンガを好きだったため、元電気グルーヴの砂原良徳が「まりん」と名乗るようになったことは有名である。
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投稿者:虚ろう人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『漂流教室』とちがい、かなり難解かつシュールな作品です。読者の理解などまるで考えていないかのような、斜め上の展開の連続に追いつくので精一杯です。しかし、何とか読み終えたとき、「圧倒される読書体験とは何か」を知るでしょう。
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「マリン ボクハ イマモ キミヲ アイシテマス」
「サトル ワタシハ イマモ アナタガ スキデス」
小学生のサトルとマリンの手によりロボットが自意識を持つ。
離れ離れになった2人の愛をロボットが届けようとするが・・・
感動の名作。
【奇跡は誰にでも一度おきる だがおきたことには誰も気がつかない】
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このエネルギーにあてられたら、人は普通ではいられなくなる。被爆したと言ってもいい。
東京タワーを見ると、エネルギーを感じる。産業ロボットに話しかけたくなる。カタカナ言葉に哀愁を感じる。
誰にでも奇跡は起きる。なんとかそれに自分だけは気づきたい。そう思える、切ない物語だった。
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楳図かずおの凄いところは、ちゃんと、「子どもの視点」があるところだと思います。私がこの漫画を初めて読んだのは小学生の時でした。道に落ちていた、半分破けてしまったスピリッツでした。主人公の二人・さとるとまりんが、家出を決めて逃げるところだったのですが、それが何なのか意味もわからずに、もの凄く胸にくるものを感じました。なんだか、凄い!と思ったのです。
その時はそれが「わたしは真悟」であると知らなかったので、大人になって読んだ楳図かずお漫画の中に、ずっと気になっていたそれを見つけたときの衝撃は、なんとも言えないものがありました。
子ども心に凄いと感じた、それこそが、楳図かずおが尋常ではない目を持って漫画を描いている、ということだと思うのです。信じられないような表現であらわされる数々の現象、奇跡のような‘子どもの終わり‘。
絵が駄目だという人もいますし、容赦なく残酷な描写が苦手だという人も多いでしょう。そういう人に無理に勧めることは出来ない内容ですが、漫画表現のひとつの極限として、読んでみるのもいいかと思います。
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子供から大人へ。
その階段はいつ上ったのでしょうか?誰しもが忘れてしまった感情や感覚。そして、純真無垢だったあの頃。
主人公はただの機械工場のロボットと出会い、それが後に一瞬の奇跡を起こす物語です。
奇跡の価値が分かる一冊だと思います。誰しもが考える奇跡ではないことは断っておきます。
それがこの作品の最大級の美点であり、どこからともなく湧き上がってくる感動をきっと忘れないことでしょう。
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大人になって改めて読んでみると感慨深いものがあります。突拍子もないストーリー展開、ありえない程のテンションの高さにグイグイと引き込まれていきます。
手塚治虫が「天才」と称したこの人の発想は一体どうやって生まれて来るんでしょう・・・。
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楳図かずお最高傑作。全ての流れがぶっとんでいる。「なんだかよく分からんが凄く鬼気迫るオーラ」を放つマンガ…めっきり減ったなぁ…
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わけわかんない。怖い。女の子がかわいい。楳図かずおの三大要素。これって小学生低学年男子の真実だと気がついた。世界はわけわかんない、怖いところで、女の子はかわいいのだ。道理も、筋道もなくって、謎はなにひとつ解明されなくて、時間はけっして等しくは流れず、間延びしたり、縮んだりして、なにもかもが果てなく、愛と意思だけが遮二無二で、きっと、きっとどこかに真理へ至る秘密が隠されていると信じている。純粋で勇敢な、小学生男子の目。
ほんとは誰もこれ以上のことなどわからないのです。
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楳図かずおはホラーだけだとおもっていました
そんなことはない!
むしろ何でもかけるけどホラーをかいてるのだね!
と確信した作品です。
このイッてしまった世界観、
そして機械の山!見開きページの多さ、壮大さ!
どアップの多さ!巻数!
どれをとってもびっくり作品です。
私の理解の範疇を大幅にこえてしまったために、
悲しいです。わからないわたしが悲しいです。
けどすごいのは分かる!
もっと成長したらわかるようになるのかな。
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大傑作。ホラー、ギャグ、恋愛、SF、ミステリ、純文学、などなどあらゆるジャンルを網羅しつつそれらがまったく相殺されないという奇跡の漫画。
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これもSFなんだよね~。出だしは全くSFらしくないけど(笑
自我を持って逃走しだす頃から徐々に狂気が宿っていく作品。
少年真吾が東京タワーの登って行くシーンが凄いです。
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さとるとまりんの2人が吹き込んだプログラムによって、機械は意識を持ち始め、自分で考えるようになる。しまいには、感情までも持つようになり人間のようになっていく。「わたしは真悟」それは、機械自身が考えた自分の名前だ。真悟はさとるの深い愛をまりんに伝えるために、また、まりんの愛情を伝えるために動き始める。大人から見たら馬鹿げたような、子供の恋愛模様が胸に刺さる。東京タワーに上れば子供ができると本気で信じて2人で登るところは感動すらした。そして、楳図先生の絵は驚くほどに繊細で目を見張る場面も多々あった。
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楳図かずおのもつ子供への畏敬、希望が結実した最高傑作だと思います。たくさんの楳図作品を読んでから、最後に読んで欲しい。
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全7巻。1980年代にコンピューターを題材に取り上げ、これを描いていたなんてすごすぎる。
ストーリーもぶっ飛びすぎてすごい。自分には理解できなかったが。