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紙の本
読者にも作者にも、発見がある
2001/06/16 22:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:春都 - この投稿者のレビュー一覧を見る
期待通り、『夏目房之介の漫画学』よりもつっこんだ批評になっていて、僕はこちらのほうがずっとおもしろく、楽しい勉強になった。あちらは作品を元にしてマンガ評を語るものだったのに対し、こちらは著者のマンガ学とでもいったものの具体例として作品をあげる形式だったからだろう。
「線」と「コマ」を中心に、さらには「言葉」も含めた批評スタイルは、やはり自らもマンガを描いているという経験からくるものだけに説得力がある。しかもおもしろい。
ペン(線)の違いによる絵の印象の変化、コマによる時間的/空間的な操作、文字であり絵でもあるオノマトペ(擬音語/擬態語。ドアが閉まるときのバタンッとかいうやつ)、他にもここには書ききれないほど多くの「マンガ表現」が列挙、というより「抽出」され、わかりやすく解説されていく。
普段、僕らが読んでいるものは、実は驚くほど複雑な構造をもっている。とくに少女漫画は、欧米などではどう読み進めばいいのかもわからないらしい。
日本の読者にそれが可能なのは、小さな頃から慣れ親しみ、複雑な構造を無意識のうちに理解してしまっているからだ。身に染みついている。
だからマンガはいかに面白いことをやっているのか、効果は感じていたとしてもなぜそう感じるのか、そこになかなか気づけないしわからない。
夏目房之介はそれをひとつひとつ解きほぐし、僕らにわかるように平易な説明で、気づかせてくれる。おそらくは実作者でさえ、慣習と経験により無意識に使っているかもしれないそれら、マンガ表現とはどれほど奥が深いものであるかを教える。
マンガ好きであればもちろん、マンガのことはよく知らんという人でも、同じように発見があるに違いない。僕みたいにあまりマンガを読まない人間にとっても、これはマンガ評論として優れていて、かつ面白いということはわかる。
マンガはなぜ面白いのか。面白くするために、これだけの技法を開発し、発展をめざし、洗練させていこうとしているのだから、そりゃあ面白くもなるはずだわ。
数多の先人と、現在もなお試行錯誤をくりかえしている創作者たちに、感謝。
しかしゴルゴ13が泣きべそかいてる顔はものすごく変だった。
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