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紙の本
マンガを面白く読むための本
2002/04/12 09:34
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投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段僕らは、どのようにマンガを読んでいるのだろうか。もしこう問われたとしたら、すぐには答えられないはず。昔から当たり前のように読んでいて、意識して読むことなどない、という人が意外と多いのではないだろうか。一体マンガはどのようにして作られ、何がマンガを形成しているのだろう。そんな疑問に答えてくれるのが本書だ。この本をはじめて読んだとき、僕がマンガの面白さを半分も理解していなかったことを思い知らされた。いままでなんてもったいない読み方をしていたんだろう、と。
一般の人、と言い切ってしまうのはどうかと思うが、マンガを読んでいる大多数の人は、<マンガ>よりも<ストーリー>を重視して読んでいる。<マンガ>という土台のうえに乗っている<ストーリー>の優劣だけで、マンガそのものを評価している。しかし、それは間違っていると著者はいう。間違っているし、とてももったいない読み方なのだ、と。確かにストーリーは大事だ。しかし、ただ「面白い話」だけを読みたいのなら、別にマンガだけを読む必要はない。小説にだって、映画にだって、面白い話などいくらでもある。<ストーリー>を読むだけでは、マンガの真の面白さを理解したことにはならない。
そこで著者は、マンガを構成している要素を、描線、言葉、コマ、オノマトペ、形喩(これは著者が作った造語)などに分け、それがどのように作られ、そしてどのように発展してきたのかを詳しく説明する。
一番わかりやすい例として、どのマンガにも多用される「汗」という記号がある。人の顔にタラリと流れるあの汗ね。この「汗」、普段僕らがマンガを読んでいるときには気にもとめないのだが、実際にはマンガのなかで大きな役割を果たしていることがよくわかる。この本のなかで、汗がある絵と、汗が取り除かれた絵とが対比されるのだが、それがまた、印象が全然違うのだ。ただ「汗」という記号がひとつ、あるかないかだけで。他にも、同じ絵でも使うペンによってマンガはまったく違ってくるとか(ペンが何種類もあるって、知っていましたか?)コマの配置は読者にどういう効果を与えているのだとか、普段無意識に読んでいるマンガが、いかに複雑に出来ているかを教えてくれる。
この本を読めば、いままで以上にマンガを深く楽しく読めることになると思う。僕自身、これを読んで、マンガはストーリーを読むだけじゃない、ということに気づき、前に読んだマンガを読み返して、マンガの新たな面白さを再発見したのだった。
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