紙の本
ブラッドベリ原作。不思議な味わいのある短編漫画8編
2001/12/02 21:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikako - この投稿者のレビュー一覧を見る
二人の少年の宇宙飛行士への夢を描く「ウは宇宙船のウ」、地中から助けを求める女の人の声が聞こえる「泣きさけぶ女の人」、灯台の霧笛がはるか長い間ひとりぼっちだった者を呼ぶ「霧笛」、思い出の中の少女が無言で呼びかける「みずうみ」、日常にひっそりと忍び寄る侵略者「ぼくの地下室においで」、数十年に一度の魔物の集会での孤独な少年を描く「集会」、少女と母だけの小宇宙「びっくり箱」、父の夢と母の切ない思いを見つめる少年「宇宙船乗組員」。
ストーリーで語りながら詩のような世界です。心の中に押し寄せる波のようなイメージの絵が素敵です。物憂げな雰囲気のものが多く、例えば表題作はわくわくするような憧れを語りながら非常に寂しげな雰囲気に包まれています。
一番のお気に入りは「びっくり箱」。母親は娘を家から一歩も出さずに育てますが、閉じ込められている風には見えず「小さな世界」が作りあげられています。窓から見える森、その向こうは死の世界であると繰り返し少女に教え込んでいるのですが、少女には死の意味がわかりません。少女の持つ死のイメージと、宇宙が宇宙を内包するような感じが面白いです。螺旋階段を上から見下ろす構図とかバルコニーに続く階段など、建物内部の巧みな絵にはいつもながらホレボレします。
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宇宙船に憧れる少年の多感な時期を描いた「ウは宇宙船のウ」、湖でおぼれ死んだ幼なじみを想い、永遠の少女に心を奪われた少年を描く「みずうみ」、母親が創る小さな世界のみで生きていた少女が本当の世界へでていく「びっくり箱」…他にも名作揃いです。
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レイブラッドベリの本を漫画で全然違和感なく書いています。これは素晴しいですよ。両方読んでみると面白いかも
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どこが、というわけでもないんだが、私の潜在的な郷愁をくすぐる。原作はブラッドベリだっけ?原作読まなくても充分だ、きっと。日本人ならちぐはぐに和訳された原作よりも、これを読むといいと思う。
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面白いといえば面白いんだけれど、こういうSFってちょっと苦手。ブラッドベリって、きっと好みが分かれる作家なんだろうな。後味が寂しい作品が多いような気がする。それにしても『R IS FOR ROCKET』の邦題が『ウは宇宙船のウ』とは、ストレートすぎではなかろーか。原作ではたぶん本文のなかでRをかけているんだろうが。(2007-09-07L)
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萩尾 望都の短編集の中でも、
本当に、本当にグッとくる1冊。
宇宙と人間と生命の神秘と、
そのなかで人間がおりなすせつなさと。
全部、1冊で、読める。
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初期作品がおおいからか、地味。
竹宮さんと比較して地味といわれるのもわかるかも。
でもこれはこれであったかくていいなぁ。
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ブラッドベリの同名短編集が好きなので買ってみた。
感想は、マンガと小説は別物だなあ・・・と。
絵がついたらイメージが固定化されるというか
ロマンチックになりますね。
ブラッドベリは空想をおもいきり膨らませながら読むのが
醍醐味だと思ってるので
よけいにそうおもったかもしれません。
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原作の透明感というか、実世界とほんの薄紙一枚だけ位相のずれただけの繊細なレイ・ブラッドベリのSF小説の世界を、見事に絵にしていて、すごい。これを読んで、ブラッドベリファンになりました。
「夢見る少年(少女)」が主人公の、全部で8編のSFポエジーが入っており、その一遍一遍が、異彩を放って忘れがたい。
特に、「ウは宇宙船のウ」と「霧笛」は何度読み返しても、心に響き、泣きそうになります。(最初に読んだときは号泣しました。しばらくこの本を手に取ることができないほどショック。)
コドモは共感し、オトナはかつての純粋な夢見る気持ちを思い出す。
心揺さぶられるマンガ!
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30数年に及ぶ愛読書です。
レイブラッドベリに目覚めるきっかけの作品でもあります。
「集会」がやはり一番好きですね・・・甲乙つけがたいけど。
2011年6月15日
再読
2013年7月14日
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萩尾先生らしい物語たち。
でも、原作は別の人らしい。
萩尾先生がこの物語たちを愛したのだということが伝わってきた。
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ブラッドベリ追悼読書第2弾。そして15年ぶりに再読。いまさら言うことじゃないだろうけど、ブラッドベリと望都センセのコンビはやっぱり最強。SFやホラー風味でも切なさが漂い、それを幼少期の遠い記憶を思い出させてくれるような味わいでくるんでくれる。エバーグリーンな一冊だ。
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【収録作】
「ウは宇宙船のウ」
「泣きさけぶ女の人」
「霧笛」
「みずうみ」
「ぼくの地下室へおいで」
「集会」
「びっくり箱」
「宇宙船乗組員」
解説・中島梓
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レイ・ブラッドベリとSFに興味を持つきっかけになった漫画です。
初めて読んだときは衝撃を受けました。
とくに「霧笛」を読むたびになぜか泣きそうになります。永遠を生きる孤独の悲しみ、途方もない時間待つにもかかわらず報われない愛。切ないです。
「ぼくの地下室へおいで」は読後しばらく考え込んでしまう作品。なにかがおかしい、じわじわと見えない何かによって変化させられていく怖さを感じ取るロジャー。でも何も根拠はなく、不安も漠然としているので「そんなこと気にしてもしょうがない」「疲れているんでしょう」と取り合ってくれないのが普通。でも人はいつもそういうサインを見逃し、また先送りにして本当に困ったときに慌てて対策を考えるはめになるのは何とかならないんかな?とか考えてしまう。そしてマニーの考えはほとんど的を得ているけどもあり得ないしあくまでも憶測。ラストになんとなくゾクッとします。
原作の方も読みたいです。
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さすが……さすが萩尾望都先生です。しっとりした雰囲気がブラッドベリにピッタリじゃないですか! しかもこんなにページ数が少ないのに原作の雰囲気壊さないまままとめてるー!! すげえよ! これが職人技か!!
「みずうみ」の奇麗さがたまらーん。
「びっくり箱」はたしか原作は男の子だったはず。でもドーナ可愛いしいいや!
「万聖節」10月のじっとりした霧の匂いが漂ってくる!!
小説の漫画化としてはすごい再現度じゃないでしょうか。ブラッドベリの文章と、萩尾先生の童話的な絵の相性があやしすぎて頭グラグラする。そのグラグラに酔っていたい、と思えるような短篇集です。