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紙の本
思考停止はご多分に漏れず
2004/05/07 23:03
18人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オウイン - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本において「戦争」というと、多くの場合、大東亜戦争(あるいは太平洋戦争)が議論の対象となる。事例研究の対象としては絶好の素材であり、失敗事例として学ぶべき点は多々ある。しかし、教科書問題に象徴されるように、「戦争論」=「歴史認識」であり続けた日本は、「歴史認識」の論争でこの半世紀以上の時間を浪費し、戦争に対して思考停止に陥ってきた。現代日本における武力の位置づけを真剣に議論しないままに放置してきたのである。「戦争論」と銘打った本書も、ご多分に漏れずその轍を踏んでいる。
戦争を論じる上で不可欠なのは、守るべき日本の国家像であろう。近代国家としての日本は明治新政府から始まったが、これは欧米から輸入された極めて人工的な統治システムである。封建国家のイメージを引きずる小林氏の言うところの「クニ」とは全く異質なシステムだ。にもかかわらず、封建国家における地域共同体の防衛と近代国家における国家防衛とを混同した、ムチャクチャな論理展開となっている。国家防衛は地域防衛の延長ではないし、そうであってはならないことは、しっかりと認識すべきである。
その他にも論理の破綻は随所に見られるが、漫画という表現手法を用いることにより、論理ではなくエモーショナルに読者に対して訴えかける。戦争を含めた外交戦略を論じるには、徹底的に冷徹かつ論理的に国家の利害を検証する必要があるにもかかわらず、である。
現代における国家像は大東亜戦争当時からは大きく変貌している。また、日本という国の国際的位置づけや、諸外国から期待される日本の役割も大きく変わっている。このような中で、日本国家のグランドデザイン(とどのつまりは日本国家のアイデンティティ)を思い描きつつ、この国をどのようなシステム構成で再設計するのか?その際に国家間の問題解決において武力をどのように位置づけるのかを論じることが現代における真の「戦争論」である。このような思考に本書は全く参考にならないばかりか、いたずらにナショナリズムを煽り立てる悪書であると断定する。
紙の本
珍論愚論のオンパレード
2002/04/20 23:32
12人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:沖 海明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
噂には聞いていたが、なんてバカげたマンガだろう。大東亜戦争肯定論や南京事件デッチ上げ論などカビの生えた珍論愚論を墓の下から引っ張りだした大本営御用達のプロパガンダ・ポスターみたいだ。こんなゾンビもどきのマンガがベストセラーになり若者に人気があるとゆうのだから暗澹たる思いだ。
大東亜戦争はやむにやまれぬ防衛戦争などでは断じてない。
当時のエスタブリッシュメントである軍部が植民地政策という帝国主義政策を暴走させ、アメリカとのアジアをめぐる利権で衝突し、ネックである石油を断たれ「座して死を待つより〜」となかばヤケクソで始めた戦争である。そこに至る過程には戦争などやらないで国を発展させようとか、いきづまった帝国主義政策を見直そうという、発想のカケラも無い。
それは何故か? 彼らが軍人だからだ。軍人の仕事は戦争をすることである、武力を使えばどんな問題もたちどころに解決できると思いこんでいる。軍人の思考回路にはパワーポリテックス以外の選択肢など無いのである。ミリタリズム最大の欠陥がここにある。ミリタリズムという視野狭窄にして単純かつ短絡的な不毛な荒野のごとき頭からはいかなる思想も生まれてこない。
あの時、日本を取り巻く状況を様々な分野の専門家を加えて問題を洗い出し、考えうる全ての選択肢を検討したのだろうか? 否、思想統制の世では そのような優れた人はおろか発想すら芽生えないのである。日本敗北は必然といえよう。
これらのどこが防衛戦争なのだろうか? 巻き込まれた人達はたまったものではない。近隣諸国の権利を踏みにじっておいて自分達の権利をシャアシャアと主張するのはバカ者することだ。小林とその一派には「恥じを知れ!」と言いたい。