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紙の本
綺麗に騙されたい人に
2003/03/14 21:49
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:逢坂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「10が二つ、4が二つある。どんな順番でも良いから、これらを全部使って、足したり、引いたり、掛けたり、割ったりして、答えを24にしたまえ」
などなど、作中に事件の他にも様々なミステリィを供し、多層的に楽しむことの出来る本格推理小説を読ませてくれる森博嗣の著作。本書はS&Mシリーズの六作目として並べられていますが、シリーズを知らなくても充分に楽しめる嬉しい短編集です。
一般論になりますが、ミステリィに限らず短編というのは筆者の力量がストレート現れます。私は『臨機応答・変門自在』から森博嗣を読みはじめたという変わり種なのですが、作家としての力量は「本業は理系の研究者だし…」と正直たかをくくっていました。難解な理系の単語を並べて、難解に見せかけることで読者を煙に巻いているのだろう、と。
が。
巧い! と思わず膝を叩いてしまいました。いかに緻密で意表をついたトリックでも、拙く騙されたのでは読後感は悪いものになる。最悪、ミステリィそのものを嫌いになってしまうことだってありえる。だけれど、この本ではそういうことがない。よかった、と思いました。初めて読みだしたミステリィが森博嗣でよかった、と。
ミステリィを読むにあたって読者が切に望むことは「綺麗に騙される」ことでしょう。謎自体ではなくて、いかに綺麗に謎が配されているかが、推理小説の本当の要です。これらの短編は見事にその欲求を満たしてくれる心地よい秀作ばかりで、ミステリィビキナーにお勧めの一冊です。筆者は後に「森の持っている可能性の大多数が、既にここにある」と語っていますが、この一文を見た私が、頬を緩めたことは言うまでもないでしょう。
紙の本
心地よいずらし方
2024/02/13 23:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:忍者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
森博嗣は天才です、なんて何度聞いたことか。しかしそう言わざるを得ないのです。本作でも読者の斜め上を行く、心地よいずらし方の作品が勢ぞろい。やはり彼は天才だ。