紙の本
20世紀初頭のヨーロッパ風
2002/07/07 00:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くゅずにえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
レンズ精製をやっていた主人公は双色の瞳を
隠し、貴族として生活することになった。
身分・階級が顕著に表現され、軍人や、差別があった頃の
人々の苦労が露骨に伝わってくる。
女性による優しい文体と女性特有のタッチで描く戦争は
残酷であり、時に愛情・友情を美しくみせたりもする。
投稿元:
レビューを見る
衰退した未来、人為的に生み出された大量の毒素の影響で、奇形部分を持たない人間はほとんど存在しなくなっていた。大きな勢力を誇るヘルズガルド公国では、完全な形態を保持する人間だけが優良種として貴族、王族に連なることが出来た。そんな時代。 王国でも比較的汚染の激しかった東部で生まれた少女デフィは、7歳まで完全なまま育つ。しかし、それを過ぎる頃、ついに瞳の色が変わってきてしまっていた。このままでは、軍属として戦死するか、工房で働くしか道はない。それを憂いた母親は、レンズ職人である腕を生かし、魚鱗からコンタクトを作り、欺くことを思いつく。首尾よく貴族の幼女となったデフィは、ウナと名を変え、瞳を誤魔化し生きるため、光学技術を扱える軍人となり、戦に赴く。いつか明るみに出てしまうだろう秘密を抱え、敵将に知られてしまうリスクも背負いつつ。 寺田克也のイラストと相まって、濃厚な空気を感じさせる世界観。一押しの一冊。
投稿元:
レビューを見る
人類が滅びかけた未来、地上には毒が満ち、人は遺伝子を侵され、命を育む力を失いつつあった。15歳まで健やかに育った子ともは、「選ばれし子」として、特別に帝都で恵まれた暮らしを与えられる。
俗民ゾフィは本来なら「選ばれし子」にはなれない、双色の瞳であった。しかし、光の技術でレンズを作り、目の色を偽ったゾフィは、「選ばれし子」として臣民ライツ家の養女となり、ウナと名付けられる。
レンズを作り続けるため、光の技術を学ぼうとするが、そのためには軍に入らなければならなくて…。
双色の瞳を持ったため、幸せになりきれない少女の、悲しい戦いの物語。
(2008.1.31)
投稿元:
レビューを見る
最近のライトノベルに足りないのはこういう硬派なファンタジー成分である。
まず主人公が女なのが珍しい。美しくないのも珍しい。ハルヒや俺妹あたりからスペック高い美少女と自称平凡な男子のラブコメばかりで飽き飽きだったので、主人公の女の子が美しくなく、ヒーローが地位のあるカッコイい男なのは良い。物語もテンポよく、何より終末SF的な設定がとても良い。ライトノベルというより、読みやすいSFといった方がいいかも。