紙の本
ピクシー〔妖精)はテロにも負けない
2000/09/30 19:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ロブコップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2000年J-リーグの東西対抗戦を見た。まさにストイコビッチのための試合であった。この試合ではじめて、私は彼が世界でも最高のフットボールプレイヤーの一人である事を認識した。華麗なドリブル、ピンポイントの正確なパス。まさにピクシー〔妖精)の名にふさわしい彼の動きに驚嘆した。政治に振り回される事を人一倍嫌った彼が、名古屋グランパスにいるのはまさに、祖国ユーゴスラビアがクロアチア、ボスニア、セルビア等と分かれて戦火を交えたという国際政治のせいである。スポーツが政治によって蹂躙され、翻弄されるピクシー。のみならず、彼の故郷の部屋には銃弾で頭を打ち抜かれた彼の写真が残されていた。彼はテロリズムのターゲットでもあったのだ。多くの殺戮と憎しみ、ユーゴスラビアの過去の悲惨な歴史が再び繰り返された。しかしそのことがわれわれがこの日本で真近に彼のプレーを見ることができる幸福につながっていたのである。歴史のめぐり合わせの皮肉をおもわざるをえない。分断国家ドイツはすでに統一を果たした。南北朝鮮は今年はじめて歴史的和解と交流の道が開けた。1つの国という意識が両国にあったからその意識が憎しみを克服させた。しかし分割独立したユーゴスラビア諸国に憎しみを克服する時は来るのだろうか。政治に翻弄されながらも、ピクシーはユーゴスラビア代表としてフランス大会に奇跡のカムバックを果たした。ピクシー、あなたのプレーは本当に美しい!あなたの活躍が平和をもたらす、そんな時代に私は生きたいと思う。
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明確な意図に基づいて行われる華麗なプレーで魅了するのがピクシーの本質。けれども、政治や不正、監督との関係、祖国に対する責任を乗り越えてプレーしていたことが何よりも彼を一層輝かせていた。
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木村元彦氏のユーゴスラビア書籍第1弾ですね。悪者見参とともに、サッカーファンにはお勧めですね。儚くも美しいユーゴスラビアサッカーとその裏側にあるもの…
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ストイコビッチ(以下ピクシー)のプレーで覚えているのは何より糸を引くような強烈なスルーパス。
サヨナラゲームでピクシーの娘さんだか息子さんだかが日本に愛着を覚えて日本語をこれからも勉強するというコメントが紹介されたことを覚えている。
ピクシーの激動の人生の中でささやかな平穏の日々を日本で過ごすことが出来たことを幸せに思う。
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いまさらながらですが、この本読んでストイコビッチのことが好きになりました。
国家や民族に翻弄されながらも、そのことから逃げず、淡々と受け止め、自分の道を進んだフットボーラー、ストイコビッチ。
いまは叶わぬ望みだけど、全盛期、ワールドカップのピッチで彼を見たかった。
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しかしまぁ僕が無知過ぎるんだけどユーゴ紛争というのは大変。本当に何もしらなかったよ。ストイコビッチがマルセイユ(フランスリーグのチーム)に行き、八百長疑惑に巻き込まれ(ストイコビッチはほんとに巻き込まれただけ)、リーグの審判の未熟さ故にイエローを出され、監督と衝突し、その後ベンゲルにあって、活躍して日本を好きになったことなんて。
内戦によるチームの分裂、国際試合の禁止、そんなことを経験した人が口にする
「次のワールドカップは誰のために戦いますか?」
「…祖国のために」
という言葉は重過ぎる。
ベンゲルと出会った後の、グランパス快進撃時代の彼はほんと楽しそう。びっしゃびしゃの芝の上での平泳ぎ、「なんじゃそりゃ!?」という感じのパス。ほんと絵になるなぁ。ガッツポーズも、シュートはずした後の「次は決める」という機関銃ポーズも。
(大体この動画で見られます。ほんと「え!?」って声が出てしまう)
ほんといい選手だ。そして醜い戦争だ。
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彼が優れたサッカー選手であることは誰もが知っていることだけど、彼の波乱万丈の生き様はあまり知られていない。
この本を読んだらもっともっとピクシーを好きになること必至。
ユーゴ紛争についてもすごく勉強になる一冊。
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以前、ユーゴスラビアと言う国が有りました・・・。
『悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記』と共にどうぞ。
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2007/6/17 阪神百貨店LIBROにて購入。
2017/3/29〜4/11
10年ものの積読本。オシムの言葉で有名になった木村元彦さんの初期作品。主役はそう、あのストイコビッチである。華々しいデビューから、内戦によるユーロ直前の締め出し、失意の中での日本への移籍、フランスワールドカップへの出場、と表面的なサッカーの出来事はよく知っていたが、その後ろにはこんなに悲しい事実があったとは。本当に人間は哀しい存在だ。
そういえば、私はフランスワールドカップで、ドイツ代表対ユーゴスラビア代表の試合を生観戦したんだった。凄い試合だったのを覚えている。確か翌日は、本書にも頻出する因縁のクロアチア代表と我が日本代表の試合であった。あの日のナントの風景は良く覚えている。
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この天才プレイヤーのプレースタイルを描く上でセルビア人の背景として描く事は避けられなかった。後に内紛、祖国空爆というバルカン情勢に詳しく取材した「悪者見参」を書くまで行った木村氏だっただけに、スポーツノンフィクションの域を超越したドキュメントに仕上がる事ができ、読むものに感動を与える結果となっているわけです。
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木村元彦のバルカン三部作
政治的な問題が無ければバロンドールやビッグイヤーを間違いなく得ていたであろうピクシー
優れたキャプテンシーを発揮し、注意深い言動で人間として尊敬を集めたピクシー
そんな彼が、
なぜフットボール発展途上国の日本にやってきて、
そして長きにわたってい続けたのか、
本物の戦争を知る彼が日本にいるということを通じて、
この国の持つ特異な性質に気づいた気がした
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ピクシーとユーゴの物語。
大学での勉強とリンクして、ユーゴで起きたことへの
問題意識を更に新たにするきっかけになった。
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名古屋グランパスの名プレイヤー、そして現監督、PIXYことストイコビッチの伝記的な本。
彼のプレーは当時のJリーグでは、別次元の凄さだった。
改めて、彼がよく名古屋に来てくれたなぁとww
祝白星スタート。
ぜひとも優勝を!!
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初めて生で観戦したJリーグの試合に出場していた。
一人別次元だった。その当時、彼が誰か把握できていなかったけど、思い出すのはピクシーのプレーばっかりだ。
この本を読んでピクシーは様々なものを背負いながらもあんなプレーを見せてくれていたんだなと…。
戦争なくなれ。
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ワールドカップやオリンピックが近づくといつも読み返したくなる本。
少しでもユーゴ紛争のことか、ストイコビッチのことを知っている人であれば、まえがきの
-ワールドカップは誰のために戦いますか?
「祖国のために」
これだけで良い作品だと感じてもらえるはず。
あと作品を読みながら思い出すのは、深夜にかじりついて見てたEURO2000の中継。3点ビハインドを追いついたスロベニア戦でのユーゴスラビア!ユーゴスラビア!の大合唱。祖国を追われた移民の母国への純粋な想いと、ユーゴスラビア紛争により敵となったかつての同胞への異常なまでの敵意の爆発。
youtubeなどで探せば動画も見つかると思いますので、作品と合わせて観るのも良いのではないでしょうか。