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スタートレックディープ・スペース・ナイン 5 究極のゲーム みんなのレビュー
- 丹羽 正之 (訳), 岸川 靖 (監修), S.スコフィールド (著)
- 税込価格:713円(6pt)
- 出版社:角川書店
- 発行年月:2001.2
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文庫
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紙の本
宇宙ステーションの密室劇
2002/02/27 22:25
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投稿者:キイスミアキ - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビドラマ『スタートレック』『新スタートレック』に引き続いて制作された第三のシリーズ『スタートレック ディープ・スペース・ナイン』のエピソードをノベライズ。
宇宙ステーションDS9で星域最大のポーカー大会を開く──フェレンギ人のクワークは、エンタープライズの副長ライカーをはじめとする名うてのギャンブラーたちを一堂に集め、大金を賭けさせることで自分の店が潤ういつもの《大儲け》を企てていた。ところがそんな中、正体不明の攻撃をDS9が受け、一時的に照明がダウン、その間に参加者の一人が殺害されてしまう。大会が終わるまで死体を隠そうとしたクワークだったが、扉の開いた先には保安主任の姿が……。
謎の衝撃波、ギャンブラーの中に潜む殺人犯、さらには対立する種族同士がDS9を挟んで戦闘を開始しようとしている。シスコ司令官たちはこの危機を乗り越えることが出来るのか?
多くの人々に愛され、それを愛する人々の熱狂が時には嘲笑の対象ともなる、偉大なSFシリーズ『スタートレック』。それなりに厳密な科学的根拠や推測に基づいて構築された世界観を持ちながらも、ハードなSFとしてではなく、宇宙船を舞台としたファミリードラマとも言うべき作品となっているところが最大の魅力。『大草原の小さな家』みたいなものなのだ。
『ディープ・スペース・9』というシリーズは、前シリーズなどに比べても、一つのファミリーが苦難を共にするという構図がより鮮明となっている。舞台が宇宙空間を自由に飛び交う宇宙船ではなく、ただ漂う宇宙ステーションであるため、多くの種族が訪れる渾沌とした街であり、ステーションで働く人間たちにとっては一つの大きな家となっているためだ。
そのような設定の中、本作ではスタートレックシリーズでは伝統的に珍しくはないミステリ的な趣向が盛り込まれている。ステーション全体が衝撃波によるダメージを受け、環境システムに影響が出てポーカー大会の会場では照明が消えて暗闇に、その間を利用して人が殺され殺人犯は再び自分のテーブルに戻って知らぬ顔。
さらには、ポーカー大会の主催者が金もうけの専門家であったために、クライグ・ライスの傑作ばりに死体を隠そうと行動してしまい、極め付けにはその現場を彼にとっては天敵である保安主任に見つかってしまうという徹底ぶり。
スタートレックだからといって侮る事なかれ。宇宙ステーションという《離れ小島》で、さらにはコンピューターに制御された《密室》を舞台に実行される殺人と、とても本格ミステリっぽいのだ。
そして、ポーカー大会の会場にはコンピューターで管理された扉しかなく、出入りした人間は完璧に把握され、犯人は会場内に留まっていることが確認されている中、保安主任はポーカー大会に参加することに。ポーカーという心理的なゲームを通して犯人を捜しだすという、ポワロやファイロ・ヴァンスを彷彿とさせる展開までが待っているのだから、このエピソードの脚本を書いた人間は相当にミステリ好きであることは間違いない。
スタートレックに関係する人間に、ミステリ好きが多いことは事実。『新スタートレック』では艦長がハードボイルドの世界をヴァーチャルアリティで楽しみ、アンドロイドがホームズに扮して立体映像のモリアーティと対決している。また、スタートレックの脚本や監督を務めたニコラス・メイヤーは『シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険』とこの続編『ウェストエンドの恐怖』を書いている。気がつけばミステリ好きというよりはホームズ好きか。
深刻な危機あり、ファミリードラマあり、ドタバタあり、さらには、ミステリファンとしても密室殺人やトランプゲームを通しての犯人探しが十分に楽しめるなど、雑多な要素がふんだんに盛り込まれたエンターテイメント作品。
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