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日垣隆氏がビカビカ輝いていた頃の本。氏のことはこの本を手にとってはじめて知ったが、読んでみて非常に興奮したのを覚えている。
本書の冒頭にも出てくる触法精神障害者に関する日垣氏の主張に対しては、後に精神科医の岩波明氏が『精神障害者をどう裁くか』という本で専門家の立場から意見を述べている。
岩波氏の反論を要約すれば、精神疾患のある犯罪者が減刑されてきたのは歴史的に普遍なことであり刑法39条もこの延長。精神障害のある者も検察が不起訴にするのではなくきっちり裁判にかけよという意見には明らかに病気と分かる者を不起訴にするのは妥当で裁判所はそんなに暇じゃない、といったところ。
池田小事件などを受け、この本が書かれた当時に比べると触法精神障害者の処遇は現在では変わってきており、「殺人者が野に放たれる」ようなことは簡単には起きなくなりつつある。まだ改善すべきことはあるだろうけれど。
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なんか胡散くさいと思える世の中の「当たり前」「多数派」の真実を検証してくれる。
彼が資料として買って読む本の膨大なこと!
手に入れられるだけの資料を読み込み、裏を取り、おかしいと思ったことは権力に屈することなく糾弾する。
権力というのは国家だけにあるわけではなく、連載を持っている雑誌やレギュラーを持っているラジオなども彼に対しては権力があるわけで、いくつか仕事を失っているらしい。
だがしかし、買い物依存症なのではないかと思えるほどの本やブランド品を買いあされるだけの財力にはびっくり。
この商売、儲かるのか?
佐高信をこき下ろすやり方は、納得できる部分があるにしても、ちょっとくどくてげんなり。
長野オリンピック招致の裏話から長野県の硬直したお役所体質、そして田中康夫知事までの流れは、東京オリンピックがまだバタバタしている現在読めたのは良かった。
民主主義を守るために、反対派はひとりも赦すことはできないという長野県の論理はとても恐ろしいが、それは長野県だけの論理ではないのがまた怖い。
第六章の「クソ本を読む」は単純に面白かった。
クソ本と言いながらも褒めている本もあるのには笑ったし、何よりも本について書いてあるのを読むのが好きだ。
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前著「偽善系」に続く7章仕立ての評論集です。
4章までは前作並みの面白さでしたが、後半に息切れ。
作者のライフワーク的な評論「心神喪失による殺人」はやはり読みごたえがあります。また、今回第4章で佐高信をトコトンおちょくっています。そういえば最近みなくなりましたが、「朝生」「サンモニ」などでダジャレ付きのワンフレーズコメントのみでギャラをもらうという効率のいい仕事をしていましたがお元気でしょうか。彼に絡まれた日垣隆の反論やいかに。面白いので読んでください。