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紙の本
知らん間に漫才作者になってしまった笑いの天才
2001/11/24 15:53
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投稿者:Snake Hole - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和初期,上方漫才が現在の形になる揺籃期の傑作に,エンタツ・アチャコの「早慶戦」というのがあった。とゆーとまるでオレがえらい詳しいみたいだが,名前を知ってただけ。…海の向こうの似たような話芸,アボット・コステロの傑作がやはり野球ネタの「Who's on first? (誰が一塁?)」(実をいうとこれはちゃんと収録されているCDを持っている)なのと妙な符合であるなぁ,と思っていたんだけどね。この本は,その「早慶戦」を初めとする数多のしゃべくり漫才を書いた「漫才の育ての親」,秋田實の評伝である。
文字で漫才を読むと言うのは同じ話芸である落語を文字で読むのと同様,いやそれ以上にまどろっこしい行為なんだが,一応その「早慶戦」も全文収録されている。なるほどこういう話だったんか,と思いましたね,それだけでも捨てられない資料的価値があるぞ,この本は。
いやそれにしても,昭和初期,旧制大阪高等学校を出て東京帝国大学に進学,そこで社会主義の活動家になった秋田實が,大阪朝日新聞記者の白石凡の紹介で横山エンタツに逢い,当人の言葉を借りれば「知らん間に漫才作者に」なってしまうまでの経緯は大変興味深かった。
なんてのか,ジャンルを問わず新しいモノが産まれるその時に立ち合っているその興奮が富岡多恵子(もともとは詩人なんだよな,このおばはんは)の筆致で鮮やかに浮かび上がる。面白い本でありました。…とこれだけぢゃあんまりなので,「早慶戦」からちょっと引用しよか。
アチャコ:あの時に山下が盗塁したやろ?
エンタツ:盗塁をねぇ。
アチャコ:はぁ,滑り込んだがな。
エンタツ:レフトへ!
アチャコ:なんでレフトに滑りこむのやな?
エンタツ:いや,そこんとこ君,いうけどね。そこらが野球の作戦でっせ。
……どっかにCDないかなぁ?
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