紙の本
斬新かつ有効なパラダイム、だが各紙の書評で高い評価を得ている理由は判らない
2003/06/01 14:35
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投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般向けに書かれた、進化医学の概説書である。 最近は 進化医学という言葉が、新聞紙上にも見られる様になったが、非常に新しい学問分野であるようだ。人間と病原体とが、互いに相手を環境の一部として捉え、その環境に適応しようとして互いに機能が変化する自然淘汰による過程で、現在の病気があるという考えで、ダーウィンの進化論を医学に応用したものである。朝日新聞と日経新聞の書評で好評だったので読んでみた。私達が病原体と戦う適応、私達の適応を出し抜こうとする病原体の適応、非適応ではあるが、私達の適応に伴う必然の損失であるもの、私達の体の設計と現代の環境との間のミスマッチなど、自然淘汰による適応ということを中心に議論が進められている。斬新かつ有効なパラダイムであり、興味深い分野であることは分ったが、各紙の書評で高い評価を得ている理由は判らなかった。
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進化医学の一般向け概説書。訳文に若干硬さは見られるが、この手のものとしては読みやすい。私のような門外漢にとっても興味深く読め進めた。ヒトや動物の行動・心理を進化という切り口から研究なさっている長谷川眞理子・寿一夫妻はほかにもわかりやすくて面白い著書や訳書を一般向けに数多く手がけており、科学にまつわる専門家と一般市民との間のコミュニケーションが乏しいといわれる日本にあっては貴重な存在である。
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病気の神秘
自然淘汰による進化
感染症の徴候と症状
終わりなき軍拡競争
ケガ
毒素―新、旧、いたるところ
遺伝子と病気
進化史の遺産
文明化がもたらした病気
アレルギー
癌
性と繁殖
精神障害は病気か?
医学の進化
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人体の構造・機能は進化の結果つくられてきたわけで、進化は結局その場その場でたまたま適応的だったものが選ばれるにすぎないので、環境が変わるとむしろ病気を引き起こしてしまうかもしれないねという話。
多くの事例が示されています。
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ダーウィン医学ってのは名前からして胡散臭いんだが、新しい分野なのか、ただの妄想なのか、全体的にただよう後出しジャンケン感はすごい。
単純に鵜呑みにするのは危険な気がする。
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はたして人間にとって病気は憎むべき存在なのか? 進化生物学で得られた知見を医学に応用すると‥、ダーウィニアン医学から病気やケガ、老化などを読み解くとどうなるか。遺伝性の病気や感染症ばかりではなく、アレルギー、精神障害、さらには嫉妬や妊娠といった性の問題にまで踏み込んでいる。
――2009/09/30
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進化生物学の見方で「病気」について考えた本。1995年発行なので、少々記載が古い部分が散見されます。乱暴に要約すれば、「病気にもそれが生き残ってきただけの進化論的なロジックがつけられる」っていうハナシ。
大学院で「進化生物学からみた発癌」をネタにした自分の目からは、「研究室で茶飲み話として語った話」の延長に見えるんですけど(既知の話も多かった)、ぼけっと読む分にはまあまあ面白いかと思います。でもどうなんだろ。専門バイアスがかかってるかも。いや、かかってるな。
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迷惑な進化と同じような内容を扱っていて、内容はいいのだが、外人特有の言い回しがうざい。訳者が下手?半分ぐらいでやめた
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何故人は病気になるのか。
風邪をひかず、老いを知らず、子孫に遺伝病を残さない人間は何故生まれないのか。
この単純だが奥深い疑問に対して進化医学という視点からアプローチしたのがこの一冊。
進化医学というだけあって部類としては医学書になるのだが、作者が序章で述べているように、多くの人に理解してもらえるように注意して書かれている。なんとも読みやすい!医学書なんて難しそうと考えている人はまずはその偏見を払拭して読んでみてほしい。
恐らく、日本のような医療の発展した社会においてでも、病気に対する恐怖心をまったく抱いていない人はいないだろう。そして、そのなかの少数しか病気がどのようなメカニズムで発生するのかを知らず、さらにそのなかの少数しか病気が何故存在しているのかを知らない。
つまり思うに、多くの人は病気を“理不尽”なものとしてとらえているのではないだろうか。
そして、本書を読むとそのような認識が一変するに違いない。何故なら、病気が存在する理由がわかるからだ。理由がわかれば病気は理不尽な存在ではなくなる。個人的な感想としては病気がただ恐怖すべき対象ではなくなった。
病気に対する恐怖心を持っているのであれば、是非とも一読してもらいたいと思える良書であった。
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進化医学の知見により、病気や環境への不適応の原因を「人類が進化史の大部分をすごしたサバンナ環境」に求める。老化は一見不利益な進化だが、実は青年期に繁殖力を上げるなどの理由で淘汰上優位であった、などの興味深い指摘。
特に目を引くのが、子どもが野菜を嫌う原因についての記述。”この敏感さの進化的な説明は、石器時代には子どものときにもっとも有毒な植物を避けるのが有利であったということかもしれない”
子どもに「野菜を食え」と説得する場面で、ぜひこのような知識を伝えていきたいものだ。同時に、「現代の野菜は栽培環境により毒性が弱まっていること、また野菜を食べると生物としての人体に(例1)(例2)の利益があること」なども伝えていけば、家庭内でも実りのある議論ができそうだ。
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体の完全さは妥協にもとづいている。
進化も常に妥協していかねばならない。
感染のチャンスが少なくなると、ウイルスの毒性は弱くなるよう進化する。
デザインには、歴史的なものと機能的なものがある。
歴史的に進化したデザインは、賢明な計画のもとにではなく、既にあるものをわずかばかり変更して進んで来た。
女性が魅力的な男性を望む。彼女の子供を繁殖に有利にするためだ。
身体は遺伝子を運ぶ容れものにすぎない。そして、遺伝子は個体の幸福や健康に関心はない。遺伝子が興味を持っているのは繁殖だ。遺伝子は少しでも繁殖に有利になるためなら、少しくらいの不都合には目をつむる。
感情も繁殖や適応に有利になるよう進化してきた。
子供の十人に一人が発達障害を背負っている。発達障害は、遺伝的要因が大きい。発達障害を引き起こす遺伝子が、適応や繁殖、生存に有利に働くから淘汰されずに残されてきたのか?
何かの間違いじゃない?どうかしてる。十人に一人は多すぎる。その十人に一人が、どうして私の母親なんだ。
Q.こんな遺伝子がなぜ遺伝子プールの中に維持されているのだろうか?
A.場合により、または、他の遺伝子との組み合わせにより、そのような遺伝子は、何らかの利益をもたらしているのだろう。
Q.適応度を下げるような遺伝子が、なぜこんなに高い頻度で残っているのだろうか?
A.精神分裂病を引き起こす遺伝子にかかる淘汰は非常に強いので、突然変異と淘汰のバランスだけに依るのならば、その頻度はもっとずっと低くて当然のはずだ。さらに、精神分裂病の頻度が比較的一定していることから、この遺伝子は最近現れたものではなく、何万年にもわたって維持されてきたと示唆される。精神分裂病を起こす遺伝子は、その強度な損失にもかかわらず、何らかの利益をもたらしているに違いない。
愛着理論 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9B%E7%9D%80%E7%90%86%E8%AB%96
遺伝子について、もっと知りたくなった。
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進化医学について包括的に描いてあって、とても面白かったです。
個々の問題について深くというよりは、全体について広く浅く易しくといった本です。
そのため今まで自分が興味がなかった分野など、見識が広まったと思います。
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教授からお借りして読んだ。二度読んだ。とても興味深い内容だった。三周しようと思ったが、流石に教授に返さねばと思い、返した。でも、また読みたい。
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病気について、それはまるでシーソーのように、一面では利益をもたらし、一方では不利益をもたらすことがわかった。
つまり、何かしらの病気にかかったときに、素人判断は一番よくない。
そして何でもかんでも症状をなくしてしまうことがよいことではない。
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たとえ話をたくさん入れてくれてあるので、作者さんがたの意図や説明が分かりやすい。
(ただし自分は脳内変換で『はたらく細胞』のキャラクターになってしまう)