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紙の本
原平さんの魅力、たくさん、たくさん!
2009/08/26 10:54
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
点と点がつながって線になった。
私にとってはそんな一冊、だった。
なにしろわが敬愛する赤瀬川原平さんが全面自供!なのだ。
おもしろくないわけがない。
『新解さんの謎』で心をぐわっとつかまれ、『老人力』で大いに納得し、それから、宮武外骨さん関係やら、路上観察やら、尾辻克彦さんの小説やらで、ますます原平さんワールドにくらくらとひきづりこまれていたのだ。
自分で言うのもなんだが、この本を読んでいなかったのが、不思議なくらいだ。
言うまでもなく、原平さんワールド全開で、嬉しいこと限りなく…。
幼少時代の話や、伊勢湾台風に遭遇した話や、あの裁判の話や、美術学校で教師をしていた頃の話や。初めて読む内容が多いので、なおさらだ。
中でも印象深かったのはお兄さんの話。
「兄貴は本当に偉い兄貴だったよ。ぼくは尊敬していましたね。」と原平さん。
戦後、家が相当落ち込んだときには、払いのたまっている八百屋さんに頭を下げて野菜を借り行くこともやっていたというお兄さん。「両親も兄貴を尊敬していたんじゃないかな。『こいつは偉い』と。」ここを読みながら、原平さんのご両親もなんだかすごい、立派だと思ったのでした。そのお父さんが一回だけ怒ったエピソードが忘れられない。なんかこう笑うシーンではないのに(しかし原平さんも笑いながらこの話をしていた)、じわりと笑いが込み上げてきて、しまいには大笑いになると…。いやはや面白すぎ、です。
それにしても原平さんはそのときどきを大いに楽しんでいる姿が感じられる。
被告として裁判を楽しんだり、
メディアで遊ぶ野次馬だったり、
優柔不断な教師だったり、
肩の力を抜いて小説家をしたり、
そのどれもが魅力的だ。
冗談が現実になる面白さや趣味が仕事になる幸せをいつも体現している。
読んでいる私まで、ふつふつと幸せ気分がわいてくるような…。
まるで清涼剤のような一冊、これからは原平さんの本をさかのぼってあれこれ読んでみようと決意(^^)を新たにしたところです。
たちまち原平さん著『わかってきました。』を読みたいな。これを読んで一気にファンになったと紹介してあった『言わなければよかったのに日記』(深沢七郎さん著)も一緒に。
そうそう、勢い勇んで借りてきた平安寿子さんのエッセイと彼女のオススメの翻訳エッセイ。パラリと読みましたが、『幸せになっちゃ、おしまい』ほど夢中にはなりませんでした。本一冊、一冊が出合いですねぇ~。
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