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混沌。混乱。ナイトメア。多層に分かれた現実世界。東京を徘徊する生きる屍?いや…。どちらにせよ、私はきっと最後まで「見えない」人間であることは間違いない。この著者にはどんな世界が視えているのだろうと、ふと気になった。
たとえて言うなら、深夜の連続アニメのような印象を受けた。陰鬱で、刺激的な視覚の連続。しかし、謎が謎のまま放り出されたりしているので、広げた風呂敷は畳んでほしい私としてはすこし消化不良だった。
古事記のイザナミの話とマライ・ポリネシア神話の類似性についてはとても興味深かった。あと両性具有とか。そういえばこの著者は男性らしい。はじめは男性と思っていたのだけど「少年トレチア」のカバー裏の写真を見て「女性?」と思い違和感を覚え、しかしこの本の解説で男性と判明してスッキリした。
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樓主には読みやすい文体だった。
これを読む気(買う気)にさせたのは、登場人物紹介欄。
尾瀬郁央 幽霊。
主要な犬
ダリア イングリッシュブルドック
ケルベロス ボルゾイ
クド ラブラドルレトリヴァー
ってとこ。
いや、普通の人間紹介もあるんだれけどね。
最初が尾瀬君なんだね。で、終わりが犬の紹介。
両性具有という噂のヴォーカリストやら、けっこうそそるネタ満載。
主役は一応美少女二人。
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情報ナシになんとなく購入した1冊。津原氏は初読み、ずっと待機してる1冊はあるものの、2冊シリーズの後半がないため長期間の待機状態。
ホラー系らしく最近ホラーづいてるためいいかな~と思いつつ読み始めました。序盤からなかなかスピード感ある展開、得たいの知れない何か?に対する恐怖、グロ描写もまずまず…と思ってるうちに、あれ?なに?もう終わり?
この作品を理解するに自分はどうやら役不足だったようです、もう少しはっきりした終わり方が欲しかった。
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ただのホラーと思って読むと後悔する、そんなお話。
この人はかつて少女小説でSFと少女小説の融合をやってのけた人だけど、ホラー作家としての処女作で今度は東西のホラーと伝承を見事に融合させた。
なんとなく、劇場版エヴァンゲリオンと似ている気がする。旧作のほう。
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「五色の船」で知った津原泰水さんですが、そうそう、これこれこんな感じ!
という、飽きの来ないキレの良さが有りながら丁寧に描写していく職人風。
少女小説家からの再デビュー作として、著者の書きたい物を詰め込み過ぎなんじゃと思う(笑)ホラーらしい幕切れも素晴らしかった。
ハードカバーで読んだのですが、
表紙2、3のコート紙にも意味ありげなイラストが入っていたり、
装丁デザインが凝った本だなと思ってみたら京極夏彦でした。
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1/30 読了。
一九九七年、東京がネクロポリスに変わる。両性具有が生と死のサイクルを自己再生によって飛び越えたとき、二重写しになった世界は生きながら死に絶える。二十世紀末の東京、「消費の快楽と恐怖。欲望の内燃する」東京をリアルタイム(一九九七年)で描いた幻視小説。
これ発表当時「チェシャのモデルは誰か」ってV系界隈で評判になったりしたのかなー。すごく当時の皮膚感覚を思い出した。最後の渋谷センター街で聞こえる雑音とか。
今まで津原さんの小説を読んでも思ったことなかったんだけど、今回初めて古川日出男に近い文体だと思った。文体というか群像劇の書き方?キャラクターの切り替え方とか、スイッチングの仕方が近い。チェシャはどこか「沈黙」の燥を連想させるし、東京幻視小説だから「サウンドトラック」のことも思い出す。でも二十一世紀に近々未来小説として書かれた「サウンドトラック」の陽気な終末に比べて、「妖都」のそれは地下世界からの復讐のような闇の色を帯びている。
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語彙の選び方なんかがモロ好みで、やったら雰囲気あるんですが。
なんかチグハグ~。
ストーリーの収まりがつかなくても、それはそれでいいお話もあるけど、この話の場合、プロットの中心である「チェシャは実はxxで雛子をxxした」は、もっとSFな背景がないと辛いのでは??
さらに情けないのは、これだけ世界作っていながら、「ロレックスの腕時計」みたいなのがぽろっと出てくる。あーあ。
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20190928
死者が溢れ、見えるものも見えないものもどんどん死んでゆき、まさに妖都と化した東京。
巻末の神話解説を読むと多少分かりやすくなるが、それでもいまいちよくわからないまま終わる。幻想ホラー。雰囲気は好きなのだけども、風呂敷を畳まないにもほどかあるので、思わせ振りな登場人物は思わせ振りなまま終わり、彼らは一体なんだったのか?描写必要だったのか?と疑問に思う。