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これはもう二度と繰り返してはいけない
悲しい歴史です。
恩という名目で連れ出されたエスキモーたち
しかしそれは一種のわな。
結局一人の少年、ミニックだけが残されました。
そして衝撃の事実が…
一人の少年にこんな重い事実は
あまりにむごすぎます。
特にひとりの探険家は嫌いになりましたね。
最後に貶められて至極当然です。
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20世紀初頭、ニューヨーク自然史博物館の研究対象として持ち帰られた6人のエスキモー(イヌイット)。
彼らは北極地方とは異なる環境に冒され次々と命を落としてゆき、父を失った少年ミニックは異郷の地で孤児となった。
10年後、埋葬されたはずの父が博物館で骨格標本として陳列されているのを見つけた彼は、遺骨を取り戻そうと手を尽くすが……。
アメリカ人にはなれず、けれどもうイヌイットとしても生きられない。
二つの世界に引き裂かれ、最期はインディアン墓地に埋葬されるミニックの人生が突きつける悲しい現実と文明と言う名の野蛮。
違う文化、習慣をもつ人々に対する無理解が、未だに民族間の間に大きな隔たりを作っている。
何が文明的でどんな生活を未開と言うのか。読んだ後に、そういった価値観について考えさせられた一冊。
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時代に翻弄されたエスキモーの子の話。今昔変わらず、文明という名を掲げて他人の人生を捻じ曲げても何とも思わない人たちの話。主人公よりもとりまきのどろどろに胃酸過多。著者が親戚。
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100年前にアメリカに連れてこられた、イヌイットの少年の物語
自分の利益しか考えない文明人の犠牲になった少年の魂の叫び
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「ホッテントット・ヴィーナス」と呼ばれた女性がいた。18世紀の頃
である。現・南アフリカ共和国に住むコイコイ族のサラ・バートンは
イギリスへ行けば金持ちになれると騙されて、イギリスへ渡った。
しかし、彼女を待っていたのは金持ちの生活どころではなかった。
その身体的特徴を見世物にされたのだ。
天然痘に罹りフランスで亡くなっているのだが、死後さえも安らか
ではなかった。遺体は解剖され、その一部はホルマリン漬けにされ
パリの自然史博物館に展示された。
彼女の体が故郷に戻れたのは2002年になってからだった。
本書を読んでいて、そんな話を思い出した。そして、こちらは
北極からニューヨークに連れて来られたエスキモーの少年の
話である。
一緒にアメリカに渡った6人のうち、父をはじめとした4人が病死し、
ひとりは北極へ戻った後に残されたのは少年ミニックだけだった。
研究の端緒についたばかりの人類学の為に、ニューヨーク自然史
博物館で研究材料にされたのに、ひとりぼっちになったミニックの
将来をどうするのか。彼らは責任逃れをするばかり。
そうして病死して埋葬されたはずの父の遺体が骨格標本にされ
博物館に展示されていることが分かる。
科学は人類に様々なものをもたらした、しかし、その裏側には
人種差別に基づいた人権の無視があったことも忘れてはならぬ。
孤児同然になりアメリカで12年を過ごしたミニックは、やっとのこと
でエスキモーの世界に帰ることが出来るのだがそこさえも彼には
安住の地ではなかった。
エスキモーの世界と白人の世界。ふたつの世界の狭間で引き裂か
れた人生は、ミニックを根なし草のようにしてしまった。
どこにも居場所がない。そんな一生を歩ませてしまった科学と
人間は、やはり残酷なのだよな。