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ニュースだけの報道を見るだけでは
彼らの本心は決して見えてこないのです。
そもそも、メディアは悪いところを誇張しますからね。
でも、別に読んだ本を
この本を読む前に読んでいたので、
彼らが悪の権化ではないことは
分かっていました。
彼らは、大国に踏みにじられた
国を守りたかっただけ。
隣国の不条理に立ち向かっただけ。
だけれども、かの二大国は
それを認めません。
愚かなものですね。
人の欲がいかに人を追い詰めるか
分かる一冊です。
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【ノート】
・南郷の古本屋で。と思ったら千夜千冊でも。何かちょっと嬉しい。
・タリバンってのは「学生」って意味だそうな。何だか冷戦の構造やらその後の経緯を知っていくと切なくなっていく部分がある。今頃になって「虐殺器官」が説得力を持って迫ってくるような感覚がある。
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2001年発行なのに、ちょうど歴史が一回りして、アフガニスタンは再びタリバーン支配下に。大国アメリカと隣国パキスタンにいいように利用されてるのだね。
最近の著者は自分のサイトで「コロナワクチン注射でHIV感染する確率が高まる」などというトンデモ説を書き散らしてるよ。3.0
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「タリバン」というタイトルから何かいつもの様な得体の知れない恐怖や危険を感じてしまうが、内容はアフガニスタンとそれを取り巻く米ソおよびパキスタン間の情勢に関するものだ。ご存知の通り米ソ冷戦時代にはソ連からの干渉を受けたアフガニスタンと、それを防共目的で支援したアメリカ。アメリカはベトナム戦争後の国民感情があるため、容易にアフガニスタンへの派兵ができず、パキスタンを通じてアフガンゲリラを武器の供与などで支援する構図となった。その後は言うまでも無くアフガニスタンに混乱を招き、アメリカ支援を受けた組織の中からビンラディンがいよいよ西欧の脅威となって台頭していく流れだ。この自分自身の敵を育てるアメリカのやり方が、イスラム世界の住人から見れば非常に滑稽に見えるし、現にそう考えるのが正しい。なぜこの様な複雑な背景になるかといえば、アメリカやソ連だけで無くパキスタンなどの大国・周辺国の利害関係が複雑に絡み合う地理的な要素であると考えられる。ソ連(ロシア)からすれば旧ソ連邦諸国であるアジアを通過してアラビア海・インド洋への出口となるし、それを防ぎたいのがアメリカ。さらにパキスタンはインドの脅威に常に晒されつつ、北からの圧力には耐えられないから、北方面での混乱は却って都合が良い。パキスタンに至っては、混乱したアフガニスタンからの難民(実質的にはただの労働移民)による労働力や武器・麻薬の密売は国家経済を支える重要な要素となっている。よって経済的にも地政学的にも重要な位置にあるアフガニスタンが、文明の十字路として平定されない理由はそこにある。
時を逸せずスーダンから亡命してくるビンラディンをタリバン側が受け容れ、同氏の強力なカリスマ性が組織内に浸透していくには時間を要さない。ビンラディンの厳格なイスラム主義は古い体制の農村部にも受け容れ易い考え方だし、本来的にはイスラム世界は平和で人々が支え合う社会であるから、混乱したアフガニスタンが支持するのは必然の流れだ。
2001年9月11日の同時多発テロは無辜の市民を聖戦に巻き込んだ非難の対象としては明らかだが、要因を作ったのはアメリカそのものであり、その攻撃対象を作ったのもアメリカ自身であると考えれば、何かもっと大きなアメリカの描くグローバリズムのシナリオがあるのではないかと感じる。
アメリカの繁栄を非難するわけでもないし、彼らが世界に与える平和的な要素や人道支援的立場も評価されて当然だとは思うが、世界の動きを掌の上で思い通りに動かす力も彼らは持っている。
イスラエルとの関係を見ていても明らかだが、手綱を緩めたりムチで強く尻を叩いたりと、目的地へ向かうための腕の使い方、それ自体に世界が翻弄されているという言い方がしっくりくる。
その煽りを受けたアフガニスタンは、その地理的重要度の高い位置にあると言う理由で、混乱して平穏なき日常が延々に続く羽目になっている。
ただ一方で弱い側の立場にある人々が徐々にその生活や経済に依存していく一面もあり、中々双方がその状況を打開し辛い状況になり、問題は更に複雑化する。
そして積年の恨みを果たせとばかりにイスラム教の様々な勢力がこの地を聖戦の足がかりとして強大化していく。宗教・経済・社会問題が二重三重にも複雑な多層構造で成り立つこの地域に真の平和が訪れるのはいつになるだろう。