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「二つのものがあるだけだ、可愛い女の子との恋愛と、Duke Ellingtonの音楽、それ以外のものは消えてよい、醜いのだから」(序文)
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内容(「BOOK」データベースより)
小さなバラ色の雲が空から降りて来て、シナモン・シュガーの香りで二人を包みこむ…ボーイ・ミーツ・ガールのときめき。夢多き青年コランと、美しくも繊細な少女クロエに与えられた幸福。だがそれも束の間だった。結婚したばかりのクロエは、肺の中で睡蓮が生長する奇病に取り憑かれていたのだ―パリの片隅ではかない青春の日々を送る若者たちの姿を優しさと諧謔に満ちた笑いで描く、「現代でもっとも悲痛な恋愛小説」。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ヴィアン,ボリス
パリ郊外生まれ。39歳の若さで死ぬまで、作家、詩人、画家、劇作家、俳優、歌手、ジャズ・トランペッターなど20以上もの分野で旺盛な活躍をみせたマルチ・アーティスト。アメリカのハードボイルド小説、SF、ジャズを愛し、母国への紹介につとめ、同時に多大な影響も受けた。だが、文学者として名声を得るのは死後数年してからのことであった。ヴィアンが“サン=ジェルマン=デ=プレのプリンス”として君臨した時代から見守ってくれたサルトルやボーヴォワール、コクトーといった作家たちの支持によって、60年代後半のフランスは爆発的なヴィアン・ブームに沸いたのである。すべてのルールと理論を拒否し、自由自在な言語表現に徹した彼の文学は、若い世代を中心に現在も広く読まれている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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シュールだった。心臓が四角いとかウナギが水道管から出てくるとか色々奇想天外なんだけど、「それで普・通・なん・です!」って感じ。
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愛する故に、全てが狂ってしまう救いようのない人達の話。
ただ大切の人達を守りたかっただけなのに。
余りに辛すぎる。
でも凄く綺麗で純粋な作品なので、思わず何度も読んでしまう作品の一つ。
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(2010/01/29購入)(2010/01/31読了)
光と幸福の溢れる序盤と、破滅へひた走って行く終盤。
この対比が美しく悲しい。
物語全体は現実離れした美しさに満ちているのに、全ての悲劇の元凶が「金欠」という生々しく俗っぽいものにある点がこの物語の凄さかもしれない。
ハツカネズミがけなげで可愛かった。
━━ その他のものはみんな消えちまえばいい。なぜって、その他のものはみんな醜いからだ。
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ボリスヴィアンの頭の中はどうなっているんだろう?物凄い大恋愛物語なんだけど、狂っている。美しいまでに。
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非現実な描写が際立つ作品なので、それだけラストの"金欠"という現実的な問題が印象的でした
はじめは光溢れる幸福な生活
クロエの病気からはじまる昏い絶望の生活
最後の鼠と猫の会話もまた随分と異様で奇妙
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悲劇的な、あまりに悲劇的な恋愛小説。
これ以上に悲痛な作品を、ぼくは未だ読んだことがない。
"二つのものがあるだけだ。それは、きれいな女の子との恋愛だ。それとニューオーリンズかデューク・エリントンの音楽だ。その他のものはみんな消えちまえばいい。なぜって、その他のものはみんな醜いからだ。"
そんな序文に始まる物語の中で、登場人物はその醜いもの達に踊らされ、右往左往するばかり。醜くない二つのものを守ろうと、身を削ったところで、レコードは擦り切れ、金は尽き、血は流れ、人は死ぬ。
あらゆる恋愛感情は、突き詰めると性欲と依存心と虚栄心に因数分解される。未だ反証を見ないそんな持論を持つ人間にさえ、この作品は悲哀を抱かせる。
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数年前に、この小説を題材に書かれた岡崎京子さんの漫画と、この小説のオマージュ映画『クロエ』を観ていて、両方とも不思議なお話だと思った記憶があります。
特に漫画はこの物語をそのまま漫画化したもので、それが岡崎京子さんの独特のタッチとあいまって、とても印象に残りました。
小説は…たぶん、受け付けない人は全然受け付けないタイプの作品だと感じた。
軸は恋愛小説なのだけど、SFであり、ファンタジーであり、見方によるとサスペンスでもあり。
とにかく不思議。日本人が書く小説ではないなってすごく感じた。(ボリス・ヴィアンはフランスの作家)
ありえない設定も出てくるし、脇役はありえないくらいあっさり死んだり殺されたりするし(それなのに殺した側は捕まらない)、その辺りは完全にファンタジー。
空間がゆがむSF。
主人公コランが愛する妻・クロエが抱える病はサスペンス。(肺に睡蓮が咲くという奇病)
物語の冒頭では幸せだった人々が、物語が進むにつれて破滅に向かっていく。
悲しいまでに美しく退廃的なのに、文章のタッチが軽くて、奇妙なギャップがおもしろい。
悲しいしつらい物語だけど、日本特有の湿った情緒みたいなものがないせいなのか、それともこのヴィアンという人の書き方の影響なのか、終始乾いた感触で読みきった。
フランス映画は独特だとずっと思ってきたけれど、フランス小説も同じくなのかも。
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読みはじめたときは「リアリズム溢れるつまらんブンガクなのかなー」などと思ったのだが、読み進めていくと、私の大好きな「非日常との境目のあいまいな日常」が姿をあらわしてくる。こうして物語はおかしな現実によって、少しばかり装飾されるけれど、そこで描かれるのは、あくまで、ひたむきで純粋な愛。あまりにも儚い泡沫(うたかた)のような日々をえがいた傑作。
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幸せの絶頂から、ラストに近付くにつれてどんどん不幸になっていく登場人物の姿が痛々しい。
コランとクロエのカップルよりも、シックとアリーズの二人が心に残った。
(2011.5)
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綺麗な音楽のような小説だと思います。
イメージが現れては膨らみ、飛躍し、変化し、また現れるような感じ。
スケートリンクで頭が飛んでいっちゃう場面はちょっと笑いましたが、そういう突飛さも含めてイマジネーション溢れるのがこの作品の好きなところです。
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非現実と現実が混ざり合う一冊。
クロエの肺に睡蓮が咲くという奇病は悲しくも美しい。
貧乏が引き起こす数々の不幸。
いつも読んでいる小説とは違い、世界観に溶け込むのが難しかったけれど、本当に美しい小説だった。
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友人が大好きということで読んでみた。
クロエは可愛い。コランの献身ぶりとか、なれそめは胸キュンで確かに主人公夫婦は純愛。でもシックとアリーズのカップルが病みすぎじゃ・・・若干っていうかかなりヤンデレだよね。
コラン夫妻の愛だけを追えばかなり純愛物語で読後感は爽やかだったはず。
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卒論のテーマがボリス・ヴィアンでした。そのタイトルは「ボリス・ヴィアン」。丸谷才一氏の卒論タイトルが「ジェイムズ・ジョイス」であることを知り、真似をしたのであります。大それた奴です。
本書は「日々の泡」といふ邦題でも知られてゐます。こちらの方がより原題に忠実な訳と言へませう。(仏題L'ecume des jours)
裕福な生活を送る若者コランは、一目惚れした娘クロエと結婚しますが、クロエは肺に睡蓮が咲く病気に犯されてしまふのです。この二人の純愛物語を中心に話が進みますが、他にもコランの友人であるシック(お金に困つてゐる)とニコラ(コランに料理番として雇われてゐる)に、それぞれアリーズとイジスといふ恋人がゐて、都合3組のカップルが登場します。
そしてクロエの発病以降、この3組は悲劇的な結末にまつしぐらに向つてしまふのです。ああ。
まことに残酷な、切ない恋愛小説となつてゐます。
この早川書房の全集版は入手しにくいですが、ハヤカワ文庫版が出てゐるので、ぜひ読んでみてください。新潮文庫の『日々の泡』(訳・曾根元吉)も同じものです。
実はこの小説、日本でも映画化されてゐるのですね。私は観てないけど。
設定を日本に移して、登場人物も日本人ばかりですが、ヒロインの名前だけ「クロエ」と原作通りになつてゐる。そして演じるのはともさかりえさんだといふことです。どうなつてゐるのか。釈然としませんが、観てゐないので云々いふのはやめませう。
ではさやうなら。
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