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紙の本
なつかしい思い出を想起
2018/10/13 10:20
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投稿者:なお - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょうど時代背景が自分の学生時代と重なり合いなつかしさが湧いてきた。その当時はやっていたドラマや俳優、ゲームなどまさに鮮明に思い出される。そういった中で登場人物である若者たちが奇妙な形での共同生活が始まり、人間関係を構築したり、はたまた憎しみあったりして、その人なりに進むべき道を模索するところが当時の自分と重なり合ってくる。今ならシェアハウスみたいな感じでいっしょに生活することはめずらしくないでしょうが、それをこの当時に設定した著書の着想がすばらしい。
紙の本
私たちのコミュニケーションの形
2004/06/06 11:53
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投稿者:いばこ@25 - この投稿者のレビュー一覧を見る
《たとえば悔しさという感情を笑い飛ばすこと以外の方法で、乗り越えられる術はないのだろうか?》
うっ…。わかる、わかる。ね、ね? そう思わない? と誰かとこの思いを共有したい。そんな時、うわべの付き合いでもいい。チャットやシェアルームの同居人が、「うん、そうだね」って、そう言ってくれるだけでいい。私はこう思うんだけどってだけ伝えたいって時あるじゃない?
そんなシーンが続出だった。とにかく、実感があり情景がリアルに目に浮かぶ。物語りであるけれど、現実世界を覗いているような。
物語は、東京・千歳烏山の2LDKマンションに住む男女5人の同居生活。家族でも親友でもない、友達と呼ぶのもちょっと恥ずかしい…、家族や恋人の相談もすれば、進路の話も“とりあえず”する。でも、明日このマンションを出て行くと言ったとしても、誰も止めないし、咎めない。
そんなスレスレの人間関係の築き方、距離のとり方。
それをチャットやBBS上の匿名性のもとにつくられる距離感になぞらえて、5人の視点で物語りはすすむ。
読後、TVをつけると長崎の小6女児殺人事件が報道されていた。
自分のHP上掲示板を荒らされたから、殺そうと思って呼び出したという。
TVの街頭インタビューでは、大人たちが口をそろえて「今の子供の考えていることがわからない」と言っていたが、パレードはそんなチャットやBBS上でのスレスレの距離感と、現実世界の鋭角で不可逆な事実を描いている。そのパレードのラストと長崎の事件の現実がリアルに重なってしまった。
不安定で、一時的であろう人間関係とその場に合わせてつくった人格。それを客観的に見ているもうひとりの自分。はけ口・爆発先はどこに?
25歳の私は、この登場人物世代の真っ只中。
これが現代の青春小説だとすれば、学生時代に腹を抱えて笑った村上龍「69」の爽快感や、宮本輝「青が散る」の敗北感と完全燃焼からくる達成感という清清しさを感じることは微塵もない。時代が違うのだ。変わってしまったのだ。コミュニケーションの形が。
長崎の加害者少女は殺害された少女に「会って誤りたい」と言ったという。
現実ともうひとつの世界の倒錯に、一瞬、頭が追いつかなかった。
パレードのラストシーン。それでも変わらぬ日常が続くリビングで、直輝は思いをめぐらす。この先、どんな展開がおとずれるのか、それは読者に任されている。
紙の本
華やかなパレード、演じるのは悩める若者達。
2002/05/26 19:20
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投稿者:青月堂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マンションのベランダで、旧甲州街道を見下ろしながら、良介君が感想を漏らすシーンから話は始まる。これだけ多くの車が、事故一つ起こすことなく走っている。赤信号になれば、走ってきた車は停止線で止まり、後ろの車も、そのまた後ろの車も、微妙な車間距離を取りながら止まる。
この微妙な車間距離が、事故を起こさない秘訣なのだろう。そして、それは人間の関係にも当て嵌まる。人と人との関係、それは車間距離よりも更に微妙で、時には偽りを演じ、時には正義に目を瞑りながら、維持されるものなのだろうか。
お気楽な学生である良介君にも、悩みがある。もっと気楽そうに見える絶世の美女・琴ちゃんにも悩みがある。イラストレーターの未来さんにも、多くは語られないがきっと悩みがある。最年少のサトル君は、一見既に悟っているように見えるが、きっとこれから悩むに違いない。そして、最年長の、既にモラトリアムを脱したかに見える直輝さんには……。
時間の経過とともに、視点が変わっていく。5人の視点が一巡して小説は終わるが、物語は終わらない。それどころか、悩み(あるいは問題)は何一つ解決することなく、逆に無視出来ないところまで発展している。
青春小説のような出足に騙されて、最後のミステリーには動揺してしまった。パレードはこれから先も続けられるのだろうか?
紙の本
祝!!山本周五郎賞受賞!!現代の若者の不安定さが見事に描かれた作品!!
2002/05/20 21:17
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投稿者:ふーにゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学生・良助、芸能人の恋人を待ち続ける美女・琴美、新宿の夜の街で男を相手にするサトル、イラストを描きながら雑貨店に勤める未来、映画配給会社に勤めるデキるヤツ・直輝の、男3女2、計5人の微妙な2LDKでの共同生活。そこで彼らは〈ふさわしい自分〉を演じ続けている。そうしないとそこで生活が送れなくなってしまうから…。
彼らの住む街の車道を沢山の車が適度な間隔でルールを守って走っている。それはまるでパレードのよう。だけど、誰かがそのルールを破ると事故を起こし、そのパレードから外されてしまう。それは現代社会を生きる私たちも一緒なのかもしれない。最初は若者のにぎやかな青春同居物語?と思って読み始めましたが、いやいや、そんな爽やかな作品ではありません。現代社会を生きる若者たちの対人関係が描かれた、とても奥が深い作品です。現代社会の一面が良く表れてます。ラスト、緊張感があって良いです。彼らの生活は続いていくのでしょうか?