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著者は、これが初めての小説だそうです。
収録作は「雪の手紙」「本町・エレキギター」「ウェディング・キャンドル」「中の島・緑」「tokyo・ブルー」
「雪の手紙」
なんかセンチメンタリズムばかり強くてふわふわした感じだな、というか、イマイチ盛り上がりに欠けて、恋の盛り上がる楽しさとか皆無だな、とか思ってたら、最後はなんだかんだで良い感じの小説だった。
「本町・エレキギター」
こういう話、好きだなー。
令子みたいな人は、たくさんいると思う。
人を馬鹿にしてるのに、本当は羨ましくて口惜しい、みたいな。
そして、自分が変われるきっかけを探している、とも思う。
「ウェディング・キャンドル」
収録作の中では一番長い。まあ、表題作でもあるし、これが一番気合入ってるな、と思う。
「私、結婚して、はじめて彼だけで生きていけない私を見た。」
という言葉に、「あ、なるほど」と思う。
恋愛はお互いがお互いの方を向いていて、君が一番あなたが一番、って「あなたがいないと私だめなの」とかやっていても良いけど、結婚したらお互いがお互いを向いているだけじゃ生きていけないものね。
いや、それでも恋愛の時ほどじゃなくてもよいからちゃんと向き合わなきゃいけない時もあるんだけど。
「中の島・緑」
分かるんだけど、分からない、話。
バブル未体験世代の私としては、バブルという例えが出てきたところで「ふーん」程度なので良く分からなかったのかもしれない。
「tokyo・ブルー」
今までのが「物語」だとしたら、これは「描写」とか「記述」だと思う。
最後を飾るには相応しい気がした。
気に入った部分は以下。
昔は、誰かを心から、羨んだことも憎んだこともなかった。
嫉妬も憎しみも、所詮手のひらに乗るサイズで、何かを必死でやることが、自分も他人も傷つけることも知らなかった。若くて恵まれ、人並みには何もかも持っていて、そして何ひとつ持ってはいなかった。