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紙の本
月刊佐野眞一(但し写真なし)
2002/05/24 20:59
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投稿者:tangency - この投稿者のレビュー一覧を見る
『本コロ』は、出版不況を「事件」として捉え、ルポタージュしたものだったが、その出版そのものも反響を呼び、著者にとっては「事件」となった…。本書は、『本コロ』出版後に、著者が、教育機関や業界関係者の集まりで行った講演6本、雑誌等で発表された対談・座談会・インタビュー7本、そして各種新聞・雑誌等に掲載された『本コロ』にする書評(33本プラス1つの四コママンガ)を集めた、いわば「『本コロ』顛末記」である。『本コロ』では、出版関係者の肉声を見事に拾い上げた佐野さんだったが、本書では、他ならぬ佐野さん自身の肉声がひしひしと伝わってくる内容だ。
佐野さんは、ある書評で「戦後派大正知識人」(p.328)というレッテルを貼られているように、「本をたくさん読んでいる人が、とくに偉いとは僕は全然偉いとは思いません。しかし、本をたくさん読んでいる人は、やっぱり、どこか違う」(p.32)という「読書信仰」の持ち主だ。「とくに偉いとは全然偉いとは思わない」という前置きをするあたりがかえって、いやらしいという印象をもって、佐野さんのこういう部分を突付く書評がこれから出てくるかもしれない。小泉信三も、「読書をしている人は顔つきが違うので分かる」というようなことを言っているというのをどこかで読んだ記憶があるが、私にはそういうのは全然分からない。しかし、私は一読して、いや、読んでいる途中から、佐野眞一という人物を大いに気に入ったのだ。彼自身のエネルギッシュぶりをとてもまぶしく感じたのである。これはもう、抜書きして伝えられるようなものではない。
また佐野さんは、この業界では口にするのがタブーである(とみんなが思っている)「再販制度廃止論」を明確に掲げている。しかし、その論拠は必ずしも明確にはされてないように思われる。もし私が著者であったならば、次の1点には触れることだろう。すなわち、本の値段を書店が自由に決めることができるのならば、例えば、ミニモニの写真集とミニモニのCDを組み合わせて、セットで値段を付けることができる(別に、小澤征爾指揮のCDと、大江健三郎との対談本のセットという例でも良いのですが。ちなみに、本書のどこかで、佐野さんがモーニング娘。のファンであるらしいことが示唆されています)ということである(ここでは、CDも取り扱っている書店を想定しています)。もちろん本は値段が全てであるはずがない。しかし、そういう形で地道に知恵を出していこうとする姿勢そのものこそが、出版業界に求められているのだと佐野さんは訴えているのだと私は読んだ。
いずれにせよ、『本コロ』同様、出版業界にとりわけ関心がない人でも興味深く読める本になっている。
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