紙の本
中国の活力を日本の復活の原動力に。ハードルは高いがその処方が明確に示されている。
2003/11/17 01:52
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投稿者:良書普及人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国の今後の成長は疑うべくも無く、大きな脅威に感じているのが一般の日本人であると思う。私のその1人である。
大前研一氏は、中国が沿岸部の東北3省、北京天津回廊、山東半島、長江デルタ、福建省、珠江デルタの6地域を中心に発展し、これらの地域は、メガリージョンとして、一つの国家の規模で大きく発展すると予想している。中国が朱容基改革で、一挙に世界の最先端産業を手に入れるに至った様子が、ドラマティックに描かれている。
例えば、珠江デルタには部品業者が5万社、長江デルタには6万社あり、しかも必要なものは最先端のものまで何でも生産できる体制にあり、欧州からもアルカテルやノキアなどの先端産業が進出している理由はここにあると。日本一の産業クラスターを形成しているといわれる東京都大田区ではこの数が8000社なのだそうだ。しかも、勤勉で頭脳明晰、賃金が安い中国人が億人単位でごろごろしている。
これにどのように対抗していったら良いのか。シンガポールはどう転んでも中国とは勝負にならないということで、中国と競争するのではなく、中国の発展に投資し、そのリターンで300万の人口を養っていこうという戦略に切り替えたのだそうだ。前首相のリー・クワンユーはシンガポール最大の機関投資家の年金基金会長に就任したのだそうだ。
では、日本はどうするか。放置すれば、やがて一人当たりのGDPが同じになり、人口比で中国の10%国家に転落してしまうと警告する。
大前氏は、日本としては、中国を一つの国家としてとらえず、地域国家の固まりとしてとらえ、日本も首都圏、関西圏、九州といった大きな固まりで、中国の各地域と戦略的に深く結びつくことを薦める。中国のメガリージョンごととの緊密な相互依存関係を日本の道州別に作ることを薦めている。まだ日本の各地域の経済力が上回っている今のうちに、と。そのためには、日本自身が今の中央集権体制を打ち破らなければならないと主張している。そして、そのことはEUや米国のアメリカ大陸全土を視野に入れた大経済圏思想と並ぶアジア全体の経済圏の形成に行き着くとしている。
国民国家が突出していたのでは、地域共通の通貨までも視野に入れた経済圏の形成は無理である、とも主張する。
大前氏の本を読むと、何時もの事ながら、視座の高さに圧倒される。そして、それ故に、その処方箋が、今の日本の統治制度の中では実現しにくい状態になっていることを痛切に感じる。
その中国も、一人っ子政策で大事に育てられた子供達が10年後に社会を支える時の事を心配し出しているようである。過保護で甘やかされた子供はハングリーではないというで。興味深いのは、中国人がそのことを日本を見て他山の石と自らを戒めているということだ。「成功するとあそこまで駄目になるかといういい例だ。今の日本を見ていると、何故あんなに成功したのか分からないですね」と日本人を前に平気で言うのだそうだ。これには苦笑せざるを得ない。ゆとり教育の文部科学省さん、よく噛みしめて聞いてくださいね。
最早、ボーダレス経済化におけるチャイナ・インパクトを日本の産業、社会の復活の原動力に使うしかないようである。日本には柔道というお家芸のスポーツがあるが、相手の力を利用して一本を取れるようにしていくということであろうか。これは、しかし、極めて高度な業になることは必定である。
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大前研一は天才だ。
文章もうまいし、発想力、創造力がすごい。
中国をひとつの国家ととらえず、メガリージョンという単位でとらえる。
なるほど。。。
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今となってはよく知られた話題ですが、出版された当時は、これを数時間で読破し、数週間後には上海に行ってました。
そこで出合った人、見たものから、かなりの影響を受けました
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中国の政治経済を専門に学んできたから反論したいところも沢山あるけれど、基本的にはよくまとまっていて面白い内容だと思う。
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2002年の出版ですが、今読んでも「インパクト」のある本です。最後に書かれているように「中国の衝撃(チャイナ・インパクト)をいかに自分自身の変革の原動力とするか」という事につきると思います。大前氏のすごいところは、実際に現地に赴き、あらゆる階層の人々と接することをその分析の出発点としていることだと思います。世界の変化変貌を実際にこの目で確かめなければと痛感させられます。
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今後の世界経済は、好き嫌いに関わらず、「中国とのつきあい抜きには、成り立たない」現実を突きつけられます。まずは相手の現在と未来を、よーく知ることから始めようと思います。
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これは面白かった。
でも分析だけで終わっていて、じゃあどうするのかはコンサル料よこせってことなのかな?
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中国についての本。中国には、地域ごとに大きな特色があり、地域ごとの特色を見極めた上で、中国と付き合っていくことが大事だとされていた。
なるほどと思ったのが、中国からの輸入品のほとんどは日本企業が現地生産したものであり、中国企業が作ったものが輸入されているわけではないということ。
だから、これは中国との競争というわけではなく、日本企業との競争なのだとか。
面白かった。
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中国を知るには良書だと思いますよ
ちなみに就活期には
この知識が
若干、助けてくれた・・・カモ(笑)
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中国脅威論から中国お客様という視点へ変わる必要がある。
中国が地方国家であるというのは新しい発見であった。
中国は今後アジア経済の中心として発展していくのは間違いない。
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中国を知るうえで参考になった, 2004/10/20
中国という国のイメージを一新させられた本。
7年位前友人が中国駐在であり、中国の話はちらほら聞いていたのだが、もうその中国とは全く異なる印象を受けた。また、中国をひとつの国としてみるのではなく、主に6つのエリアで異なる発展をしているのが興味深い。しかも、そのエリアごとに1億人単位の国があるので、このまま発展していけば、日本に匹敵する国が6個新たにできるという感じかも知れない。
中国のビジネスエリアガイドにもなると思う。
一方、日本の一極集中による経済の停滞と中国の動きの対比が鮮明だった。
日本でも著者が主張するように道州制を取り入れるべきだろうと思った。
例えば、北海道は、東アジアでNO.1のリゾートになれるだろうし、様々な対策をすれば日本もまだ間に合うのではないかと感じた。
2002年の本なので、既に中国は別の姿をしているかも知れないが、中国を知る初歩の本として面白いと思った
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・中国は資本主義である
・安かろう悪かろうは過去の話,技術も持っている
・ただし,使っているのは外国企業
・中国産の製品は日本企業が現地生産→輸入しているもの
・行政が率先してルール変更しており,経済の自由度が高い
・国家ではなくメガリージョンの集合体
→各地域が特色を出すことで生き残り
-部品から組み立てまでそろった地域
-日本・韓国向けのサービス行として特色を出す地域
・日本は中国に軽視されている
・メガリージョンとは道州で付き合え
・日本も地方独自色を
・産業空洞化は悪者ではない
-産業構造の転換(製造→サービス?)が日本の急務
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ちょっと古い本だが、中国市場を概観するには有用な本。
国に頼らず、地域国家、メガ・リージョンとして特徴ある発展を遂げる中国市場。日本の雛形となる考え方だと思う。
日本の製造パートナーとしての中国との関係は成熟している。次は市場としての段階であり、その場で日本がどの様な価値を提供できるのか、が今後考えるべき論点だと感じた。
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書かれたのは少し前だが、中国の今後の可能性について書かれた本。著者らしく、歯切れも良く、非常に分かりやすくまとめてある。個人的に中華系の人々と過去に接点があったが、彼らと接していた時の徹底的に実利を求めていた姿勢を思い出させる。後半の地域別にそれぞれ特色を出していきながら、発展していくという辺りが非常に興味深かった。実現したら面白いだろうな。
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2002年に刊行されたものであるが中国の国家の成り立ちを知るには非常に勉強になった。
中国とは一つの中央集権国家ではなく6つのメガリージョンからなる。このメガリージョンは6000万人から1億4000万の人からなり、欧州の国やアジア新興国一国分を優位に凌駕する。そして各々のメガリージョンは競い合っていると事実を理解しなければいけない。また中国製品は劣悪なイメージが強いが不良品率は0.1%以下という企業が多い。今では珠江デルタでは何でも作れてしまう。
また、東北三省(大連など)は上海や広東地区に負けないように日本企業の誘致を積極的に行ってきた。これは東北三省が元満州であり日本語が堪能な人が7万人もいる。加えて韓国に近いことから韓国語を話せる人も多い。日本、韓国にとって国外で日本語、韓国語を使える人は少ない中非常に有望な地域である。