紙の本
世界帝国の歴史は面白い
2003/06/29 17:47
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投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史は、ローマ史や中国史といった、世界帝国の歴史が面白い。多民族、多宗教を包含した寛容性の文化を持つ、広域国家である。オスマン帝国も世界帝国である。学校の世界史では、西アジア史とヨーロッパ史とが分離して教えられているため、世界帝国としてのオスマン帝国が、ヨーロッパの近代化にどのような関係があったのか、具体的には掴めない。古代ギリシャ・ローマの文化遺産をルネッサンスに中継した、ということぐらいである。
ヨーロッパとの関係を中心に、オスマン帝国の歴史を概観している。個々の内容について、もっと詳細を知りたいと思うことが、幾つもでてきた。通史であるからやむをえない。しかし、今まで知らなかったことに関心が持てるようになった。知らないことを知ることは、楽しいことである。
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古代トルコ民族から17世紀のオスマン帝国までの歴史を、オスマン帝国、あるいはイスラーム文明とヨーロッパとの対立と交流を軸に描く。様々なエピソードが盛り込まれていて、読み物として非常に面白い。
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学校の歴史の授業では、大まかに欧州史やアジア史に分けられますが、そのどちらにも顔を出すトルコの歴史は簡単な記述で終わってしまってます。
アジアでありながら、欧州との関わりの方が多いのでアジア史からはほとんど除外されている。
そしてキリスト教中心の欧州史では、「イスラムの脅威」として語られることが多いです。
本書は日本ではマイナーな存在であるトルコの歴史を学ぶうえで、最良の入門書と言えるでしょう。
6世紀に東アジアに現れ、大帝国を築いた遊牧民・突厥から、ユーラシア大陸を西遷してアナトリアを征服したセルジューク朝、その滅亡後に世界帝国を築き上げたオスマン帝国と欧州との戦い。
帝国内の諸制度や、歴代スルタンの施政、イスラム教の実態、異教徒への処遇まで描かれています。
欧州史、とりわけ中・東欧史ではしばしば「トルコの脅威」が強調されますが、ではその「脅威」が欧州にもたらしたものは何だったのか?
20年程前、「共産主義の脅威」が叫ばれていた東西冷戦時代を思い出させます。
ただし、「トルコの脅威」は冷戦ではなく熱戦でしたけどねw
ニン、トン♪
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大学の課題本。徹夜で読んだため、意識が朦朧としておりましたが、良書です。オスマン帝国とヨーロッパ双方の歴史が描かれていて、包括的に学べます。この分野の本としては良い入門書になるんでしょうな。
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トルコの歴史がヨーロッパとの関わりを踏まえてわかりやすく解説されている。
また、トルコの本も読みたいと思いました。
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憧れのオスマン、古代トルコの歴史書である。
時代に沿って、トルコ民族の行方を紹介しており、
なるほど、巷で入門良書と言われる意味を知る。
しかし、入門書といっても、読み終えたあとの充足感は十分。
それゆえ、全くの素人なら数度読み直さなくてはいけないが、
数度読み直しさえすれば、おおよそ歴史をたどることが出来る。
一時期はヨーロッパ、アジアに広大な帝国を築いたすばらしき権力。
その帝国の生まれるから死ぬまでをたどり、
蛮族や略奪者といったイメージを払拭させてくれる一冊である。
ヨーロッパでありながら、イスラムでもある異端の帝国、
その苦節と努力、積み上げられた栄光に魅入られる。
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テンポがよく読みやすい文体が良い。
ただ内容は多少装飾的に過ぎる。
論の展開に首をかしげることもしばしば。
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オスマン・トルコ帝国の起源から衰退までの、対「ヨーロッパ」関係に重きをおいた通史。多文化・多宗教を構造化したオスマン帝国をめぐる複雑な外交関係は、単純な「キリスト教対イスラム教」「ヨーロッパ対アジア」というような二元論が空想にすぎないことを示している。特にビザンツ滅亡後のスルタンが「ローマ皇帝」としての自意識を有していたという指摘は重要だと思われる。
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オスマン帝国がなぜ近世に至るまで強大な国家として存続し、ヨーロッパに圧力をかけ続けることができたのか、また逆になぜ近代以降は急速に力を失っていったのかを説明する。オスマン概説史としては近代以降の内容が薄いが、それはこの本のが主目的とするところではないと思われる。
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トルコ民族の歴史を突厥あたりからオスマン帝国の崩壊の手前の19世紀あたりまで概説した本。
私たちは今まで世界史の視点を日本からの視点とヨーロッパかららの視点の2つの視点で習ってきている。これはオスマン帝国という中東やアナトリア半島を中心に据えてみた歴史である。ビザンティン帝国の崩壊後は世界の中心はオスマン帝国で、イタリアの教皇勢力、ハプスブルク帝国、フランス、スペイン、オランダ、イギリスなどはそのまわりの弱小勢力であったことがよく分かる。産業革命を経て、18世紀あたりからヨーロッパもようやく力をつけていくのだが、そのヨーロッパのありようを決めたのがオスマン帝国であったのだ。つまりオスマン帝国の意向に影響されてヨーロッパは出来上がったと言える。エジプトやイラク、ハンガリー、ブルガリア、アルメニア、シリア、ウクライナ、ジョージア、モルドバあたりもすべてオスマン帝国であり、それは決して単純なイスラムの国家ではなく、多民族、多宗教のまさに帝国であったのだ。そして音楽、料理、服装、文学などさまざまな文化を長年醸成していったのである。
フランス料理やイタリア料理とおもっているものの多くも実はオスマン料理が起源であるのである。