紙の本
通りすぎたもの、忘れなかったこと
2003/01/26 00:34
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投稿者:KANAKANA - この投稿者のレビュー一覧を見る
つくづく、勝手な女(ひと)である。だけどそれが、いとおしくて素敵だ。
坪ちゃんと恋愛して、結婚して、末井さんに恋をして、家をでて、離婚して、結婚して…でもそれからも末井さんのことを坪ちゃんに相談し続けたり、『Uの真相』対策会議と称して三人で顔合わせしたり、一つ前の作品集『たまゆら』の企画でチアガールに女装してもらった二人を撮影したり、一緒になるか・離れるかしか恋愛の選択肢はないはずなのに、「特別な関係」でいるために、神蔵さんは、走る・撮る・話す。
1997年。ひとり寝の坪ちゃんを撮って家に戻ると、台所ではエプロン姿の末井さんが一人、料理をしていた。
2000年12月11日。「この頃は環七をクルマで方南町(坪内祐三さんの家)と三軒茶屋(末井昭さんと暮らす家)をいったり来たりして、夕食を二度食べたことも」あった。
それでも、時間は確実に流れていく。坪ちゃんには新しい恋人ができ気鋭の評論家として活躍を始めるし、「ぼくには家庭というもののはっきりしたかたちがよく解らない」という末井さんとの生活は、ときどきひどく困難になる。
だって愛しちゃったんだもん、と恋愛至上主義でいられるなら、ヒトはどんなに楽に生きられるだろう。でも自分がおかれている世界の中で正直にいたいから、この『たまもの』の中に棲む三人は、うろうろ・オタオタする。その姿は、写真にも文章にも、そのまま写しこまれている。ヘヴィだけど、おかしい。
すべてをプリントして残せる写真家という職業が、うらやましく思えた。
そして、坪内祐三さんの本を読みたくなった。『靖国』や『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲がり』は、こういう生活の中から産まれたのかぁ。
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今は無きABCにてこの本の表紙を見たとき目が釘付けになり、後日この本を購入した。その中身は表紙の写真以上にデープ重い
文章が詰まっていた。アマゾンレビューにも書いてあるけど、人によっては嫌悪感をあらわすこともあるとあるかと。魚喃キリコの漫画好きな人にはお薦め。ただノンフィクションなので、魚喃に比べようも無く重く、痛々しい内容の本だと思いますが。
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表紙の女性(写真家)の2番目の夫と3番目の夫との間を揺れ動く感情を写真と文で残した作品です。ものすごくドロドロした愛憎関係なのにおとぎ話のように感じるのは、この女性の周りの人(夫となる人物を含めて)異常にいい人達だからでしょうか?それとも彼女の中で浄化されているのか?しかし、実際の恋愛って、映画のように美男美女とはいかないもんです。
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“まほちゃん”を図書館で読んだときと一緒のとき。ぱらぱらとしか読んでいないが
はじめの泣き顔たちにひどく感銘を受けて、自分はセルフポートレイト、それに自分の泣き顔を撮るようにした。
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好き嫌いが分かれそうです。
こういう『感情丸出し、自分勝手系 赤裸々日記風』なものは
評価が難しいところですが、これは何故だか良かったです。
大の大人たちがゆらゆら揺れ、表層の感情と深層の愛憎、
汚かったり、キレイに見えたり、浮き沈みし、
滑稽でありながら、どこか笑いきれない。
人間の垢のようなものが
ぽろぽろはがれてくるようなイメージを持つ。
しめくくりも、決意と希望に向かっていて◎。
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何度見返したか、わからない。どろどろしがちな情況だが(実際、するが)、三者そろって見事に浮世離れした人たちなので、妙にさわやか。私は、嫌みのない、純粋で正直な写真集だと思う。とても好きです。
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彼女も彼も、また彼も、自由である。
けれども自由さに苦しめられてもいる。
この関係を奇妙だと誰が言えよう。
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いま、『絶対毎日スエイ日記』を読んでいて、読みたくなってというか見たくなって再び図書館で借りました。前に読んだときは、写真に感情が揺さぶられるようなところが多かったのだけれど、今回は文章の冷静さがズシンと来た。写真は残酷でセンチメンタルなもんだと、つくづく思った。
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あまりに激しく惹きつけられ、思わず一気読みしてしまった。こういう感覚って映画や小説じゃ絶対に体験できないと思う。ただ、読後あまりに自分の人生がつまらな過ぎて、なんとなく寂しい気持ちにもなった。本の中に出てくる「隠されていた聖書 なるまえにあったもの」という本がとても読みたいけど、今は売られていないようだ…、残念。古本屋をあたるしかないかなぁ。。。
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背景をまったく知らずに手にしたので驚きが強かった。
人物と、身近な風景写真、そして日記のつながりで
次第に神蔵さんの生活を一緒に体験している気分になった。
そして彼女にはふたりが必要だったことを実感した。
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ペーソス→末井さん→神蔵さんの流れで、この本に着陸。
危ない…、自分が坪ちゃんと離婚して末井さんと結婚したような気になってしまう。アムステルダムで憂鬱に過ごしたような気にもなる。
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10年ほど前、雑誌の新刊紹介コーナーに注目していた時期があった。そこでたびたび見かけた印象的な表紙。そのまま忘れていたのが、『素敵なダイナマイトスキャンダル』の映画が公開されるのにともなって、いろいろ検索しているうちに再会、読了。
読んでいる間中、ずっとヒリヒリ感が止まらなかった。わけのわからない沼に分け入っていく気分になる。末井さんのあまりにも無防備なポートレートを何枚も見るにつけ、その人となりに触れてみたいような、怖いような、そんな気分になった。
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読了。末井昭の結婚を読んで知った。
どんな心境だったのか知りたかった。わからないでもないかなと思った。
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なんでこの本買ったんだろう・・・。やはり表紙のインパクトの強さか。
でも、買って以来、たぶん5年以上ちゃんと読んでなかった。なんとなく読んだ。うーん、むちゃくちゃだ・・・。でもそれは、当事者じゃないからむちゃくちゃだと思うってことなんだろうな。
今も末井さんとはうまくいっているんでしょうか?