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紙の本
「喰らわれし者」アルハと、西の魔法使いが出会ったとき、平和の腕輪が取り戻される
2006/03/12 12:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kou - この投稿者のレビュー一覧を見る
大巫女の生まれ変わりとして見出された少女・テナーは、その名を奪われ“喰らわれし者”アルハとなって「名なき者たち」の地下墓所を守っていた。
しかし土地の権勢は既に大王のもとに集まり、対して、アルハの仕える主なき玉座の神殿は、その死の気配を濃厚に漂わせ、すべてが静寂と闇に支配されているかのようだった。
名なき者たちに犠牲を捧げ、祈りを捧げる毎日を紛らわすように地下に広がる大迷宮を探求していたアルハは、ある日、迷宮にいるはずのない存在—ひとりの男に出会う。
彼は、はるか過去に失われたエレス・アクベの腕輪、平和をもたらすという腕輪の半分を手に入れるため迷宮にやってきた魔法使いだったのだ。
アルハは神聖な空間を汚された怒りと、見知らぬ外界の空気をまとう男に惹かれる気持ちとの間で揺れ動くが…
今回の主人公はゲドではなく、ゲドがこわれた腕輪を探しに行った先で出会う少女です。
少女テナーは、記憶も残らない幼い頃に神殿に連れてこられ、名前とともに自分という存在すべてを奪われ、“喰らわれし者”アルハとして生きてきました。
けれどゲドに出会い、彼を助けるという選択をなすことで、テナーという自分の名前を、自由を取り戻します。その自由は重く責任をともなうものでもあることが、この第2巻のテーマとして描かれていました。
冒頭からテナー視点で物語は進み、ゲドは中盤まで影もかたちも見えません。
なのでゲドの物語として期待して取り掛かる読者はちょっと戸惑うかもしれませんが、このテナーの物語も充分読み応えがあります。
私は自分が女性だからなのか、1巻も好きでしたが、この2巻のほうがむしろ感情移入はしやすかったです。
紙の本
自由の重さ
2004/05/13 00:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書で一番心に残ったシーンは、大巫女から解き放たれたテナーが、ようやく知り始めた「自由」をどう扱っていいのか、かえって不安に駆られて思い悩むところです。そして、「自由の重さ」について記した次の文章が、ずしんと重く胸に響きました。
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なんでもしたい放題していったらいいってことは「自由」の本来ある姿ではなく、何をどう選択していくか、その時その時、自分自身で決断していかなくちゃならないところに、「自由」の扱いにくさと重みがあるんですね。作者が読者に向けて語った「自由の重さ」についてのメッセージ。そしてそれを、テナーがどのように受け止め、厳しい試練を乗り越えていったか。そこに本書の、深くて重い読みごたえを味わいました。
ゲド戦記シリーズ第2巻の話のあらましは、こんなふう。
アチュアンの大巫女アルハ(真の名はテナー)が、墓所の地下迷宮で、ハイタカ(真の名はゲド)と出会います。それまでは地下の大迷宮の闇の世界に囚われていたアルハが、真の自分を取り戻していくんですね。新しい一歩を踏み出していくテナー。その姿は、第1巻のゲドの姿と重なり合うようでした。
「試練と苦難を乗り越えてこそ、真の解放を手にすることができる」。
魔法の空気が働くこの作品の底を地下水脈のように流れ、貫いているテーマ。それをこの作品にも強く感じました。
紙の本
奥が深い…
2002/07/31 01:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゲド戦記シリーズの2作目です。いや〜、読めば読むほど深いファ
ンタジーですね、このシリーズ。
今回は、前作の「影」を追う冒険の途中で手に入れた謎の腕輪に関
するお話。とは言っても、これがまた一筋縄ではいかないのです。
普通ファンタジーで宝物をめぐるお話しといえば、ドキドキハラハ
ラの胸躍る展開を想像しますが、いたって地味〜にストーリーは、
進みます。舞台は「名なきもの」が祭られている、アチェアンの墓
所。そこに唯一絶対の大巫女として、名なきものに仕えるアルハ。
巫女が暮らす神殿の下には地下迷宮が広がっていて、巫女以外には
誰もそこから無事に帰ってきたものはいません。地下迷宮の中には
ものすごい宝物が隠されていると言われています。唯一絶対の大巫
女とは言え、墓所内でも巫女同士の権力闘争があったりして決して
平穏な日々が続いているというわけではありません。そこに大魔法
使いとなったゲドがやって来て、宝物の中にあるはずの、世界に平
和をもたらすという腕輪を手に入れようとしますが、なんとゲドは
真っ暗やみの地下迷宮に閉じこめられてしまいます。
良くあるファンタジーならば、捕らえられるのはたいていお姫さま。
しかしゲド戦記では、主人公であるゲドが地下迷宮に捕らえられ、
魔法を使うことすら出来ず、ただただ衰弱していくのを、大巫女で
あるアルハが助けるという設定になっています。この設定だけでも
かなりびっくりものですよね〜。書かれたのが1976年、う〜ん、
そういう時代背景だったのでしょうか?とても女性を啓蒙する内容
が濃い作品だと思います。本当にこのシリーズ奥が深いです。