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紙の本
異常な炎がシアトルの夜空を焦がす
2002/07/21 17:46
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投稿者:エンドルフィン - この投稿者のレビュー一覧を見る
子どもが事件の重要な目撃者で、その事実を知った犯人から目撃者である子どもをいかに守るかという物語は、映画やミステリではお馴染みの設定である。そこに、特異な手口による連続放火殺人事件をからめたのがリドリー・ピアスンの「炎を記憶」である。
閃光とともに火災が発生、極度の高温と燃焼速度のあまりの速さに全ての証拠が焼き尽くされるという放火殺人事件が起きる。しかも、火災調査官へ送られてきた奇妙なメッセージ。はたして、同じ手口で二人目の被害者が発生する。既知の爆発物では説明のつかない新しい手口に消防局や警察の捜査も行き詰まる。そんなおり、継父に虐待されている少年ベンは、手に火傷をおった怪しい男の車のなかで奇妙な物を発見するが…。
孤独な少年ベンと彼を助ける女占い師エミリーの関係、主人公ボールトの家庭内の問題などで、物語に肉付けをしているものの、なんといっても物語の中心はこの放火の手口にあって、それをいかに解明し、犯人を絞り込んでいくかが焦点と言える。その意味ではベンが犯人につかまって以降の展開も多少強引で、盛り上がりに欠けるだろう。物語に子どもを持ち込んだのが余計で、むしろ連続放火事件だけで押したほうが良かっただろう。
なお、この物語の舞台はシアトルでありまして、主人公が野球を見に行ってイチローがヒットを打つシーンでもあればと期待したいところですが、残念ながら本作は97年に書かれた作品ですから、そんなシーンはありません。
なお、海外ミステリに関心のある方は、小生のホームページThe day of wine and mysteryを一度のぞいてみてください。
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