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紙の本
テレビには映し出されることのない、もうひとつの戦場の姿
2002/08/20 11:49
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投稿者:森岡正博 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アフガニスタンやパレスチナでの戦争の模様が、CNNなどのテレビによって報道される。印象的なシーンは、何度も繰り返して放映され、われわれは戦場の真実を知ったような気になる。
しかし、テレビで流される映像は、様々な検閲を受けたあとのものでしかない。アフガニスタンの映像について、米CBSのあるディレクターは、アメリカ国民が見たくない映像は流さないと言っていた。
本書は、世界の紛争地帯に飛び出した独立ジャーナリストたちが、戦場のいわば裏側を描き出そうとするものである。テレビには映し出されることのない、もうひとつの戦場の姿が、生き生きと捉えられている。
たとえば、パレスチナで、イスラエルの戦車に石を投げて抵抗する運動(インティファーダ)が、集結している先進国のメディアを強く意識して行なわれていることがよく分かる。
戦場ではジャーナリストもまた襲われる。一カ月の収入が数ドルという国で、先進国のジャーナリストたちは一泊一〇〇ドルのホテルに泊まり、車と通訳を雇って一気に危険地帯を通過しようとするが、そういう彼らにかぎって襲われ、金品を奪われたりする。検問所でもカメラを奪われ、ときには従軍した兵士からも強奪にあう。
本書の著者たちは、一匹狼として、もっと質素な取材をしているようだが、こんな危険を背負ってまでも戦場に向かってしまうのは、やはりそこに彼らの血を沸き立たせる何かが存在するからであろう。
孤独に取材をつづけていると、一般メディアが潜入することのできなかった現場で、貴重な情報を得ることもある。著者の一人は、タリバンによる初期の仏像破壊の様子を写真に収めることに成功した。と同時に、タリバン支配下のアフガニスタンの人々が、いかに悲惨な状況だったのかをも取材した。
しかし、著者の取材を知った日本の大手メディアは、仏像破壊には関心を示しても、そこに住む疲弊した人々には目もくれなかったのである。このことは、著者も言うように、われわれ全員が深刻に受け止めるべき問題だ。
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