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冒頭の挨拶からして笑ったよ。あきらかにミルンの「赤い館の秘密」をパロディにしてるとしか見えなかった。事件の探偵役およびワトソン役もそれを髣髴とさせる。また事件の謎を解こうとするロジャーの迷走振りが面白い!まあまだそれも理性的というか分かりやすい迷走だったけど。事件の意外さは結構大きい。まあ今の時代の目から見ればたいしたことはないんだけどそれでも意外性はある。
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探偵ロジャー・シェリンガムの誕生、記念すべきシリーズ第一作。
10年ほど前に『毒入りチョコレート事件』に出会い、あまりのおもしろさに卒倒しそうになった。どうやらロジャー・シェリンガムという素人探偵を主人公としたシリーズの一冊であるらしい、ということで、ほかの本を探したのだが、残念ながら当時は見つからずじまい。それが、いつの間にやらどっさりと翻訳されていたようだ。たいへん喜ばしい。
が、これはおもしろい、さすが!というほどではなかった。本書が執筆された当時、探偵といえば無謬のスーパーヒーローであり、ロジャーはそれへの反発から生まれたキャラクターらしい。現在マヌケな探偵の話は山ほどあるが、そのさきがけなのだろうか。いや、ロジャーはそんなにマヌケではないのだが、とにかく内容そのものより、推理小説史上の意味のほうが大きいような気がする。
ともあれ、ロジャーがどんな探偵だったかわかってよかった。なにしろ『毒入り…』では大活躍とは言いがたく、ふだんはどうやって謎を解いているのだろうと思っていたのだ。
さあ、次を読まなくっちゃ。
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バークリー先生は予想外の真相というくくりで見るため、どうしても怪しい人物がわかってしまう。
警察の捜査ってこんなに杜撰でいいのかしら、という印象。探偵のために世界が存在するかのような世界観。
それでも密室の解決方法は満足できる内容。
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探偵シェリンガム(この時点ではまだ作家)の第一作。随所に「探偵」に対するパロディ精神が感じられると言いますか、揶揄しつつも探偵小説に対する愛が感じられる作品で楽しく読めた。
特に、「プリンス」のくだりでは声を出して笑った笑った。
シェリンガムが精力的に活動しまくってて愛らしいよ。
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ミステリーの読み方ってのが長らく私は分からないでいる。なぜならトリックを楽しみにミステリーを読むっという方がいるというのが私は信じられないのです。トリックとか犯人が誰だとか家の見取り図とか誰がなんか言ってたとか読んだ先から忘れてしまうからです。
それに多くのミステリを読んだわけではないからおそらくだけれど、主人公はきっと自慢げに「犯人分かっちゃったよ」って言うはずです。ミステリーを読む以上主人公のそれは避けることができない。故に読む気がしない。それを我慢したところで今度はその台詞が出る前に犯人が分かったという読者もいる。これは現実の人間だから煮るなり、焼くなり好きなように出来る。あなたが不幸にもそのような人に出会ってしまったその時は友人であるあなたの犯行を私が見事に正当防衛と証明してみせるから、ご安心を。
しかしながら不幸にも私の友人でない諸君は、こうするべきだ。つまりもしあなたの周りに多くの友達がいるのならばミステリーが好きという友人は切り捨てたほうが懸命だ。もし友人が少ないのなら嫌々ながらつきあえばよろしい、友人ほど尊いものは無いと多くの児童文学は語っている。
このようにマゾヒスティックに自分をいじめ抜くアスリートになったところで、さらに質の悪いのは自称ミステリオタクで、自分の現実に事件なんてものが無いがためにレビュアーという衣装で身を隠し仮想現実で自分の有能さをアピールする輩である。
あなたをそんな人にさせないために、ささやかだけれど役に立つレビュー
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探偵小説中の登場人物の不可思議な言動について突っ込むという点では、「名探偵の掟」を先取りしてる感。先に「第二の銃声」とか「最上階の殺人」とか読むともの足りない気がする
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ロジャー・シェリンガム・シリーズ、一作目。デビュー作。
バークリー作品を読むのは八作目。
さすがロジャー・シェリンガム、一作目から迷探偵らしさ全開でした。
ユーモアに溢れ、すいすい読める。
ロジャーの推理が崩壊すると共に、どんどん展開が変わり、意外な結末へ。
個人的に、最終章は心が震えた。
今のところ、著者の作品では『最上階の殺人』に次いで、二番目に好きな作品に。
(『毒チョコ』『殺意』『試行錯誤』などは未読)
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ともかく推理を間違えまくって、それでもめげずにと言うか、なんか自信にあふれるがままに突き進んで最後には何だかんだと真実に辿り着く。しかもいちいちハッタリを効かせたりと、妙に雑というか、適当な感じがある意味親近感をわかせて、これまた愉快な。
しかしこの時代の50年くらい後の推理小説だったら、間違える度にどんどん新たな犠牲者が生まれそうだけど、そうならないのは時代というか。考えてみりゃ殺人なんて1件でも酷い話なのに、段々と大量に殺されるようになって、ホント、人間の欲望は果てしないネバーエンディングストーリー。
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迷探偵ロジャー・シェリンガムの長編1作目で、初版の作者名は”?”でよく売れたそうです。▲レイトン・コートに滞在中、招待主のスタンワース氏が自殺した。額を撃ち抜かている上、不審な行動が目に付くことから殺人と睨み、友人アレックをワトソン役に2人でこっそりとアマチュア探偵を開始した▼リアル志向なので、怪奇趣味やドラマチックな展開はありません。探偵が大戦帰りのベストセラー作家、自信満々な上、思い込み、間違え、行き違いと迷走しまくりですが、常識的で飛躍の無い良いユーモア本格ミステリに仕上がっています。(1925年)