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紙の本
あたしのロボット。
2003/06/09 10:34
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投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネコとネコ型ロボット(ドラエモンじゃない)の違いって何だろう。ネコ型ロボットは、ネコ缶を食わない。ウンコをしない。毛玉をはかない。そんなに気まぐれじゃない(プログラミングでいくらでも気まぐれにできるか)。年を取らない。でも、エネルギーが弱まれば、動きが鈍くなって見方によっちゃあ老化といえなくもないか。なら死は、エネルギー切れなのか。だけど、充電すれば蘇生するし。
ネコならばまだいいが、精緻に動く人形としてのロボットは、どうなんだろう。本作の一編に女優だった妻と寸分違わぬプロトタイプのロボットが登場してくるが、実際、やはりつくりもの以上の感情を抱いてしまうだろう。あたかも、双生児の姉か妹を見るような。
ちょっと前のことだが、アトムの誕生日とかで、盛り上がった。でも、結局、人間は鉄腕アトムをつくることはできなかったのに。ふだんはそんなに好きでもないのに「アトム、好きだったあ」とかいう便乗商法的人間が瞬間、たくさんいたはず。ぼくはアトムより鉄人28号の方が好きだった。「いいも悪いもリモコン次第〜」の鉄人の方が、ロボットらしいではないか。アトムは、なんか人間に媚び過ぎ。優等生すぎてつまんない。
アトムは天馬博士が亡くなった自分の子どもの分身としてつくったロボットだから「人間そっくり」なのは当然か。
作者がノンフィクション「ロボット21世紀」を書くにあたり、取材し、煮詰められたエッセンスをどう新しい小説に仕立てていくのかが楽しみだった。
作者が述べているように、一口にロボットといっても現時点では、多様化しているわけで、ヒューマノイドロボット1本で長篇はシンドイし、芸がないよね。ゆえに、本作は、連作形式でさまざまなロボットが登場する。イヌのペット型ロボット、ペット型通信ロボット、地雷除去ロボット…。
本作の設定は近未来だけに、いかにリアリティを感じさせるかが、この手の小説の生命線なんだけど、さすがに、うまいです。デビュー作を読んだときのワクワク感がある。SFやファンタジィの持つあたたかみややさしさ、哀しさ、ちょっぴり懐かしさも隠し味で入っていて、なんだか未来へ吸い寄せられてしまった。
登場人物、特にロボット開発者が、科学者のイメージではなく、町工場の職人っぽいとこもなかなか。ハイテクを支えるローテクってあたりが。
ロボットもので、漫画やアニメーションや映画に負けない、日本の小説が読みたかった。その願望は十分に充たされた。かなりのSF、ロボットマニア通にもおすすめだし、そうでない人にも読んでほしい。
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