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紙の本
社会について考えた
2003/03/23 04:57
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
収入のある身から、不本意にもホームレスへ転落する。本人による多少の過失と、たび重なる不運。誰にでも可能性のある現実が描かれている。
著者がホームレスに至るまでの過程は、過失も手伝ったが、不運によるところが大きいと書かれている。しかし、果たしてそれだけであっただろうか? 行間から伝わる感覚は、「運が無かった」だけではないような気がしてならない。いくらでも回避する手立てが考えられたのではないだろうか。生死を彷徨う苛烈な体験をした著者に投げかけるにはドライすぎるかもしれないが、「努力不足」という言葉が頭に浮かぶ。読者に同情を誘おうとするアプローチが、そう思わせる。
ただしホームレスの生活ぶり、心境の描写という点では、体験した者にしかできない描き方で、体験記として読めば秀逸だと思う。そういう意味では、第三者によるホームレスの描写には真似のできない迫力がある。
著者は誇りある生活を取り戻そうという気力を失っていないため、社会性を完全に放棄した路上生活者とは明確に異なる。完璧なホームレスとは言いきれないだろう。しかし、本書に登場した妻子を隔離しようとするケースワーカーに象徴されるように、社会は結果のみを重視するという現実。社会性を失うことの容易さと、社会に復帰することの過酷さは、誰にでも当てはまるということを、身をもって教えてくれた。
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