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港湾労働者でありながら哲学者。ただ、考えているだけではなくて労働しながら考えている、というのがすごいと思う。真の哲学者。
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エリック・ホッファーの真面目な箴言集
エリック・ホッファーが自分の人生経験や多くの本から学んだ事柄を短い箴言としてまとめた本。
自分が行き詰まった時や悩みがある時に、この本から彼の言葉を拾い出してみると良いかもしれない。
たとえば、自分自身に思い当たる箴言を拾い出してみると、
「空っぽの頭は、実際は空ではない。ゴミで一杯になっているのだ。空っぽの頭に何かを詰め込むのが難しいのは、このためである。」
「われわれを最も疲れさせるのは、終わっていない仕事である」
「われわれはたいがい、見ず知らずの人間を憎悪している」
「自分がどれだけ無価値な存在であるかを思い起こすと、重圧から開放されるものだ」
「つまらない人間ほど自分を重視するものである」
ちょっと頭が痛くなるような言葉です。
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本書には、1930年代当時に書かれた「情熱的な精神状態」と73年に発行された「人間の条件」とが併録されているが、特に前者の「情熱的な精神状態」は、ヒトラーやスターリンが抬頭した背景であるファナティックな人間精神を分析していて興味をそそられる。(以下一部を要約)情熱的な人間の特徴は、逃亡者として自ら放擲した「自尊心」の代替物を、熱狂できる対象(大衆運動)に切望しようとする。そのような人間は「汚れた、不具の、完全ではない、確かならざる自己」からの逃走の欲情により、避難口(熱狂できる対象)を必要とするのであり、社会的変化に適応できない彼らの代弁者たる「指導者」に入れ込むことで、歴史の表舞台に現れる手助けをする。「自尊心」の代替物は、民族や人種問題などの聖なる大義を「プライド」として背負い込み、自己とは到底かけ離れた「大衆運動」に熱を入れる。そもそも「自尊心」とは、自身の潜在能力と実績から引き出した具体性のある精神なのに対して、「プライド」は、まったく個人から引き離され、架空のものから引き出された、集団や組織、指導者に自身を溶け込ませて一体化させるときに生じる精神をいう。「プライド」とは、騒乱の根底に据えられた大衆運動として噴出するその導火線であり、個人の危機を容易に超越してしまう「自尊心」の代替物として、自ら疎外した人間から発生する根のない精神である。(その対極にある「自立的人間」や「自律的人間」は省略する)
いま政治にこのようなことを切望している人間はどれだけいるか知らないが、今日のスポーツにおけるような一時的な「ナショナリズムの高揚」や「カーニバル的な祝祭空間」の出現も、自己疎外したものの「不満の捌け口」や「プライド」の現れとして見てとると、純粋にスポーツチームへの熱狂具合だけでは語れない何かをもっているのではないだろうか。一時的にではあれ自己遮断できる熱狂的な空間の出現が、個人はもちろん社会状況の混迷と照らし合わせてみると、スポーツの熱狂がまた違った視点から掴まえることができるようで、とても興味深い。(チームに肩入れすることでナショナリズムと個人の熱狂と鬱憤が容易に繋がってしまうところなど)
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1902年ドイツ系移民の子としてニューヨークはブロンクスに生まれ、7歳で失明し15歳で視力が回復、正規の学校教育を一切受けられなかった著者。
その後、自殺未遂を経て20、30代を港湾労働者として渡り歩く傍ら、働きながら図書館に通い、独自の思想を築き上げ49歳でカリフォルニアバークレー大学教授就任、81歳で死亡。アメリカ大統領自由勲章を受賞。正規の学校教育w
著者の経歴もさることながら、300篇以上収められたアフォリズムの数々は、喜劇であり悲劇であり、そして禅的に感じる。
以下は引用
「この世界において、若さを備えているのは人間だけである。他の被造物はみな深刻さを体現している。苦痛や恐怖の叫びは、人間も他の被造物も共通している。しかし、微笑み、笑うことができるのは人間だけである」
「完全に調和のとれた人間には、前進への衝動も、完全への向上心も欠けているのかもしれない。それゆえ、完全な社会は、つねに停滞する可能性を秘めている。」
「他人に対する不正を防ぎうるのは、正義の原則よりもむしろ思いやりである。」
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荷を運ぶ沖仲仕(港湾労働者)の膂力(りょりょく)と思想家の冷徹な眼差しが言葉の上で交錯する。港のコンクリートを踏みしめる足の力から生まれた言葉だ。エリック・ホッファーは言葉を弄(もてあそ)ぶ軽薄さとは無縁だ。
http://sessendo.blogspot.jp/2014/07/blog-post_74.html
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他の哲学書に比べ、すごく納得できる言葉が並んでる。
でも思うに、哲学者の言葉を読んでも、「納得」以上にはならない。
思索する、哲学する、その過程にこそ意味があるのだと、感じる
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アフォリズムというのは、特にそれが外国語で表記されているものとなれば、なかなかに翻訳が難しかろうというのは想像に難くないが、この著作についてもそれは随所に感じられた。
しかし、キラリと光る箴言も多く、どちらかと言えば練りに練って記されたものよりは、普通の文章のように記された長めのものの方が、より筆者の考えがよくわかるような印象は、箴言集としてはいかにも皮肉であった。
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Twitterの原型のような短いが濃縮された言葉を集めたもの。人間の本質を抉る言葉が満載である。何かの節目にこれを読み返すたび何らかの気づきが得られると思う。
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なんかトランプとコロナの時代にこれ読むのかあ、と思いながら読んでた。そうか、やはり自分で考えようね。
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アフォリズムとは、格言や名言のようなものを言う。つまり、この本はエリック・ホッファーの名言集なわけだ。
日本人からしたら、エリック・ホッファー誰やねんって感じだと思う。ボクもそうだった。
だけど、この人の歴史を知れば知るほど気になってとうとうこんな本まで買ってしまった。
読んだ感想。
マジで人間の本質的な部分を、見事に言葉にしていると思った。
しかし、そこは翻訳本。まぁ、なんというか言葉が難しい。そのせいで短い文章なのに理解するのに時間がかかる。
だから疲れている時は読まないことをおすすめする(笑)
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魂の錬金術 エリックホッフアー 作品社
三次元時空間という摩擦界に生きるということを通して
この世の真理に取り憑かれた人
社会性をもった哲学でもないし作詩でもないし宗教でもない
個人的な内面を見つめる目は東洋的でもある
情熱には自己からの逃避が潜んでいるという
確かに立ち向かう相手に集中している状態は全体観を無視している
絵を描くように言葉を並べて遊ぶ
詩という世界にさまよいこんでいるうちに
真理探究の遊びに流れ着き
閃きを記録することに喜びを発見するのは
人生の一時を消費する楽しい時間
それが表現行為
字でも絵でも粘土でも木材でも
素材は有り合わせの何でもいい
只全部の出合いが実を結べばご機嫌様だ
その場限りのアフォリズムで
無限に近い調和を感じるほど満たされるし
ズレを感じている間の身体は重苦しい
そこに割って入る強欲というこの世の矛盾
有って無いモノとココロ
作るってことは壊すこと
短いのか長いのか
人生ってたわいないものだよね
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格言集ということで。座右の銘なんか探している人にはちょうどいいのでは。
この本は、エリックホッファーが書いているようで、書いていない。要は、彼の魅力ある文章を木っ端微塵にして、ただ並べている。並べているのは、彼ではない。
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痺れる箴言の数々は普遍的なものも多く、今読んでも色褪せない力強さがある。
生活や労働、人生についての言葉だけではなく、戦争や政治について語った言葉も多い。
それは決してアメリカだけに当てはまるものじゃなくて、今の日本でも危機感を持って受け入れられるような言葉で、空恐ろしくなる言葉も多い。
今後も生活の折にパラパラと捲りたくなるような本だった。
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一節読むごとに自分のことが書いてあるような気がして赤面したり微笑んだり勇気づけられた、と訳者あとがきにあるがまさにそれで、人間について考察すると必ず通る道の先にいるのがエリックホッファーである、と言った感じ。翻訳も含めてとても良かった。