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サー・ガウェイン、恩ある方の奥方からの猛攻を何とかしのいで緑の騎士との戦いに出かけ無事帰還。どっちがホントに手ごわい相手だったのだろう?
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『ガウェイン』だけかと思ったら『真珠』と『サー・オルフェオ』付きだった。この本がAmazonから届いて初めて見た時は分厚いハードカバーで面食らったが、案外すんなり読めてしまった。『ガウェイン』と『サー・オルフェオ』は読んでみると意外と面白くて満足。『サー・オルフェオ』はそもそもなんで王妃がさらわれたのかも分からなければ、連れて行かれた所がどういう場所なのか、連れ戻されてその後どうなったのか、とか分からなくて変な話だった。『真珠』はあまり興味が持てなくて退屈だった。(07/06/11)
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先日読了したトールキンの伝記の中でも「ホビット」、「指輪物語」、「シルマリル」と同じぐらい特記されていた「サー・ガウェイン」。 そんな作品なのにこれまでなかなかこの本をちゃんと読んでみようという気分にならなかったのは、偏にこれが「日本語訳」だからです。 と言うのも、本業が言語学者であるトールキン先生はいわゆる古英語で書かれたこの作品を現代英語訳をされたわけで、それをさらに極東の言葉に移植したものにどの程度読む価値があるのかなぁ・・・・と懐疑的だったんですよね。
一方で「アーサー王関連」の本は我が日本国にも何種類もあるわけで、敢えてトールキンに拘る必要はないのかなぁ・・・・と。 英文学を学んだ人間が読むとするなら、やっぱりトールキン先生が書かれた「英語版」であるべきなんだろうと思うけど、それに手を出すほどには興味もない。 ま、そんなわけで、長らくこの本は KiKi にとって積読本でした。 (大学時代に斜め読みしたことはあったけど ^^;)
そんな本を今回読んでみる気になったのはあの伝記を読み、トールキン先生の言語学者としての生涯に感銘を受けたからにほかなりません。 あの伝記読了以来、人知れず「久々のトールキン祭り」を開催中の KiKi です。
さて、この本には表題作の他に「真珠」という詩と「サー・オルフェオ」の2作も掲載されています。 そこでそれぞれに対して簡単に感想をまとめておきたいと思います。
「サ・ガウェインと緑の騎士」
KiKi が過去に読んだアーサー王関連本(これまでに Review を書いた中では岩波少年文庫の「アーサー王物語」)に描かれていた同じ題材の物語と細部はともかくとして大筋に大きな違いはありませんでした。 この物語に描かれているのは恐らく現代のイギリス人であってさえも心の中のどこかで抱き続けているのであろう「高貴さ ≒ 中世の騎士道精神」みたいなものと「キリスト教教義」の落としどころ・・・・みたいなものだろうと感じます。
結構面白いなと感じたのはこの物語の中で「「この世」と訳されている言葉には「ミドルアース」とルビがふられているところです。 こういうところに触れると、彼の中で「トールキン神話」の神髄みたいなものはどんな仕事をしている時にも常に心の中で息づいていたことがヒシヒシと感じられます。
「真珠」
これは詩の形をとった神学論という印象です。 そこかしこにキリスト教の精神やら聖書の文言が散りばめられています。 この詩で描かれる「パール」と呼ばれる幼くして他界した少女の姿はあたかも「汚れなき清らかな乙女」の象徴のようです。 敬虔なクリスチャンではない KiKi にしてみると個人的には「幼い ≒ 無垢 ≒ 清純」という方程式には胡散臭さを感じるし、そういうことを高らかに謳い上げる文化にもある種の欺瞞を感じるけれど、この詩がキリスト教支配が絶大だった中世に書かれたものであることを考えると、「なるほど、さもありなん」と納得できるようなところがあります。
この詩で面白いのはダンテの「神曲」以来、KiKi なんぞはキ��スト教では人が亡くなると「天国」か「煉獄」か「地獄」へ行くということになっているように思っていたんだけど、どうやら「天国」には別の名前もあるらしい・・・・ということです。 その1つが「新しいエルサレム」(しかもこれには2つの都があり、その1つは「神の都」でもう1つは「平和の影像(すがた)」と呼ばれるものらしい)で、もう1つは「妖精の国」らしい・・・・。 まあ、後者は敬虔なクリスチャンだったトールキン先生個人が自らの中で見出した落としどころだったのかもしれませんが・・・・・。
ま、それはさておき、詩の世界はやはり原語でないと味わいつくせないようなところがあるので、この本に収録されている3作品の中ではこの作品がもっとも「日本語訳の限界」を感じさせる作品だと感じました。
「サー・オルフェオ」
こちらはギリシャ神話の「オルフェウス」の物語。 ギリシャ神話では毒蛇に咬まれて亡くなった妻のエウリュディケーを追って冥界に辿りついたオルフェウスが冥界の王ハーデースとその妻ペルセポネーに竪琴を演奏して感動を与えたうえで妻の帰還を懇願し、「冥府から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならない」という条件で地上に戻る事を許される・・・しかし・・・というお話でした。 ここで話はちょっと横道にそれるけれど、この物語は古事記のイザナギとイザナミの黄泉の国における物語と類似しているので、個人的にはその類似にかなり興味があります。
話を元に戻して、この「サー・オルフェオ」ではどうやら「冥界 ≒ 妖精の国」らしい・・・・。 妖精ってホントあっちにもこっちにもいるんですねぇ・・・・。 でも、こういうところにトールキン先生が描いていた妖精のイメージが垣間見えるようで、そこに面白さを感じました。
3作品を読了してみた今、彼が創造した創造主、精霊、エルフ、人間というトールキン神話の世界にはギリシャ神話から中世の叙事詩・英雄譚、さらにはキリスト教の教義といった余りにも多くのものがその精神性という意味では混在しているということが再認識できたように思います。 ミドル・アースの準創造において彼の哲学(というより創造主の哲学か?)の根幹を醸成したのは「聖書」の精神であり、「ギリシャ神話」のみならず西欧各国の神話群であり、「叙事詩」である・・・・・そんな印象です。 そして新たな神話を作るにあたって様々な言語で書かれたそれらの物語に通じる「神の言葉」、「精霊の言葉」が必要だったが故に生まれたのがクゥエンヤ語やシンダール語だったような気がしています。
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(「MARC」データベースより)
「サー・ガウェインと緑の騎士」「真珠」「サー・オルフェオ」という、イギリス中世に書かれた3つの物語を、ト-ルキンが解釈した形で現代語訳したものを日本語に移した作品集。
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ブログにレビューを書きました。
http://yo-shi.cocolog-nifty.com/honyomi/2005/03/__ecfd.html
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非公式正誤表あります(登録 2 件)
http://public-errata.appspot.com/errata/book/4-562-03605-2/
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この本は、『指輪物語』の作者として有名なトールキンが、イギリスの中世に書かれた三つの物語「サー・ガウェインと緑の騎士」「真珠」「サー・オルフェオ」を現代英語に訳したものを、さらに日本語訳したものです。
アーサー王の円卓の騎士の一人として有名なガウェイン。ある日、突然やってきた全身緑づくめの騎士の一太刀勝負を彼が受けるところから物語は始まります。その勝負の約束として、旅に出ることになったガウェイン。その道中、狼や巨人などとの戦いや、お世話になっているお城の夫人の誘惑にも立ち居振る舞う姿は、まさに騎士道で、見ていてすがすがしい。
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大学図書館にあったので。夏休みだし本を読もうということで貸出し。通学電車3日位で読了。ガウェインイケメェン!アーサー王熱また来てる(笑)
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借りたもの。
トールキン独特の『アーサー王物語』になっている。
独自の設定、創作を織り交ぜ、読みやすく面白い。
熱血漢のイメージがあったサー・ガウェインが紳士的な騎士として描かれる。
『アーサー王物語』のひとつ、サー・ガウェインの物語の「この世界」という単語には”ミドルアース“とふられ、『ホビット』『指輪物語』の延長世界のようになっている。
韻文の形式や魅力は、翻訳では割愛され、わからないが、いつか拝読してみたい。
そんな興味を持った。
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トールキンが訳した3篇の短編が主に収められた作品集。
トールキンは、14世紀頃に韻文で書かれたそれら原作の雰囲気を損なわないよう、頭韻を多用したとのこと。もちろん日本語で頭韻は表現できないけれど、少なくともトールキンのファンタジー世界が醸し出す雰囲気をよく表したような日本語訳に感じる。
『サー・ガウェインと緑の騎士』はアーサー王物語のひとつで、円卓の騎士のひとり・ガウェインの冒険を描くもの。文章は美しく、ガウェインは気高く、一風変わった勝負はとても雅びやかで、読んでいて楽しい。ただ、キリスト教的な発想が強い作品でもあり、それが物語を彩る部分も曇らせる場所もあるように感じた。
2作目の『真珠(パール)』は幼くして娘を亡くした父親が、娘の行った神の国を幻視する詩で、詩篇や黙示録など聖書からのイメージの引用も目立つ。
3作目の『サー・オルフェオ』はギリシャ神話のオルフェウス物語をイギリス風に翻案した作品で、読後、すっきりしない部分はあれど、面白く読めた。
映画『グリーン・ナイト』(『サー・ガウェインと緑の騎士』を基とした作品)公開に先立って読んでみたけれど、他の作品も読み応えがある作品集だった。