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弟は小学五年生のとき、遠足に行ったまま行方不明になった。百貨店で働く姉の周子が出会う、居なくなった弟の物語。
久しぶりに心激しく躍るわけではないが、しっとりと好感を抱いた小説です。長野まゆみさんは独特の世界の人と思っていただけに、日常に近い世界は新鮮でした。
急に弟が居なくなる。弟の居る私には他人事じゃなく、切ない想いがしました。なんやかんや言うてても、二人っきりの姉弟、一番近く長い時をすごしてきたんだもんね。うんうん。
全ての出来事が最終的には収束する。内容は少し切ないけど、でも、すっきりした話でした。
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小学5年の遠足の時行方不明になってしまった弟の【舘真哉】隣りの家から聞こえてくるユーモレスクが大好きだった弟。老舗のデパートの勤める姉の周子24歳。いなくなった弟の記憶が紡ぎだす切ない物語。
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装画:長野まゆみ
装丁:中島かほる
“不在の人の記憶が紡ぎ出す切ない物語。”(帯文より)
珍しく女性が主人公のおはなし。
時代の匂いがする上品な作品です。
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ユーモレスクの旋律を背景に、「わたし」のまわりに姿を現す少年と青年たち。珍しく女性の主人公ですが、それが却って繊細な少年の姿を浮き上がらせているようです。スーツについてや少年の着るものについて記述がうっとりするほどうつくしい。しかしこれは確かに過去との別離のものがたりです。
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少年ではなく女性が主人公。勿論、少年(青年?)は出てくる。やっぱり長野まゆみさんの上品な世界が好き。
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長野さんの小説で、女性の視点から描かれているものをはじめて読んだ気がする。
綺麗で、切ない小説だった。
和くんと比和くんがすきでした。スーツを着た男性の襟元を、じっと見入ってしまいそうになるお話。
あと、お稲荷さんにお麩をいれたのが美味しそうでした。
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初の長野まゆみさん作品でした。最初ページを開いた時に言葉遣いや字体がとても印象的で、美しいと感じました。主人公が独特の世界観を持っていると思います。全体的に切ない感じかと。
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不在の人の記憶が紡ぎ出す、切ない物語-。弟は、隣家から聞こえてくるユーモレスクが
好きだった。六年前に行方不明になった弟・真哉。鏡合わせに一棟を分けた隣家は、
それ以来「近くて遠い」場所となった…。
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長野さんらしいんだけど、女性が主人公だったり現代くささがあったりで不思議なかんじ。ラストがちょっと分かりづらくて数回読んだ。ちょびっと切ない話なのだけど可愛いなぁ…と思えたり。
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死んだ弟を中心に繰り広げられる。
・・・っていう感じかなあ?
主人公の職場の女性が好きなんだよね〜
主人公と少年がよかったわあ。
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長野まゆみさんの書く文体や、描き出す人物ってどうしてこんなに甘美で色っぽいんだろう。いやらしいという意味ではないんだけれど。(笑)
読んでいてどきっとするような描写が幾度もでてくる。私も背筋をしゃっきり伸ばして生きよう。
長野さんの本はいつも束の間美しい世界を見せてくれます。
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不在の人の記憶が紡ぎ出す、切ない物語-。弟は、隣家から聞こえてくるユーモレスクが好きだった。六年前に行方不明になった弟・真哉。鏡合わせに一棟を分けた隣家は、それ以来「近くて遠い」場所となった…。
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女性視点の話なんですが、全体的な空気がすごく好きです。これくらいの時期の長野作品はピッタリくる。私も小学校の放課後流れる音楽が、ユーモレスクでした。
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実は、ユモレスクの曲自体が浮かばなくて…検索かけてMIDIを聴きました。あぁ、この曲という感じなんですが。
のどかな曲ですよねー。音楽はあまり詳しくないのですが耳にしたことは何度もあります。
今まで何作か読んでいる割には長野作品の傾向とか色々があまりよくつかめていなかったりします。
うん、それでも、雰囲気が好きですね、この人の作品は。世界観に時々むしょうに触れたくなります。
本のお友達のお勧めでしたし、装丁の魅力は大きかったですねー。でも、買って損なし、でした。
どこかでピアノの音がする。意識をそちらへ向けたわたしは耳を疑った。小母さんは入院中のはずなのにユーモレスクが聴こえてくる。すみれさんが、不協和音のようなピアノ曲の合間に弾いていた曲だ。
こんな感じの記述がユモレスクの流れる場面に出てくるのですが、これがなんとなく好きだなぁって思うんです。
最初に書いたようにゆったりしたこの曲が聴こえてくる様な気がします。
そして、そのままゆらゆらと思い出がよみがえって来るような想いがするのです。ユモレスクが好きだった
真哉。消えてしまった彼の思い出を語る瞳は誰しもが優しい。真哉の不在をどこかで持て余しながら、どうにか
折り合いをつけていこうとする姿が、生きているものに課せられた努力なんだと思いました。
私的には和の印象がとても強く残っています。特に、周子が描写する、和の持って生まれた育ちのよさというか
特徴に関しての描写がすごく好きでした。
小学生のころ、意識している男子の名前をこっそりノートに書いてみた。たったそれだけのことで、脂汗がにじみでて鉛筆を持つ手がすべった。秘密にしておくためにすぐ消すのだが、存在そのものを消す、という感覚に囚われてたじろいだ憶えがある。もしこれが名前を消すたびに寿命が縮まるという変なお呪いだったら、どうしようかと大まじめに考えた。
ふふ、と昔私もやったなーなんて思い出しました。試験の答案にね、好きな人の名前を書いてから解くといい点が取れる、というのをなぜか信じてて、そっとそっと書いては消してました…。懐かしい。
思い出すと胸の痛むような思い出が表れてくる、そんなお話でした。
(2003年6月10日)
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今回もやはり綺麗な表紙に惹かれて。
居なくなった人を巡って、綴られていく物語。
癖があまりなく大人しめの文体だったが、面白かった。
誰にでも薦められる。読みやすいが、時間がいつもよりかかった。
身近な花や小物が出てくる分想像もしやすかったので、細かく頭の中で思い描いてしまったのだと思う。
この人は本当に「水辺」が好きなんだなぁ、と思った。
やはり、銀河鉄道の夜の「カムパネルラ」に強く影響されている部分があるのだろうか?
生きているのか、死んでいるのか。その境目を行き交う魂に魅せられているの…か。
水死体とはどんなものだろうか?
そして少し人とは異なる性癖の持ち主が数人。…そして少年。
どういう理由があって、こういう話を書くんだろう。
私は文章を読むと、そちらに気をとられてしまうときがしばしばあるが。
長野まゆみの小説を読んだあと、こんな風に感想などを書いているときは、特にそう感じる。
…しかし、少年に関しては、なんとなく理解できる気も…しなくもない(笑)