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科警研で声紋の研究をしていた著者の、長年の研究から声そのもの、そして日本人の声の特徴についての考察をまとめたもの。
実のある話でわかりやすく面白い。ただ、勘に頼って書いてしまっていると感じる部分も散見でき、そこは面白くなかった。
声についての知見を拡げてくれる一冊。
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[ 内容 ]
「女性の声は低音化し、男性の声は高音化している」や「子どもの声が低くなった」というのは本当だろうか?
「海外ではこぶしやだみ声が受け入れられない」や「仏教と声には意外な関係がある」というのは事実か?
あまりに身近すぎてふだん意識することのない声を理解するために、発声のメカニズムといった声の基礎知識から、人を癒したり、安心させたりする声の不思議な力までを解読。
発する人の体格から気質、生活環境、時代状況までを反映する声を通して日本人を浮かび上がらせる画期的な試み。
[ 目次 ]
第1部 声の科学(声とは何か
声から何がわかるのか)
第2部 声と日本人(日本人の声を知る)
第3部 声の力(声にできること)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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編者の鈴木さんは、警視庁で声紋分析を手がけてきたエキスパート。他の二名も工学系で、声の個人認証などを手がけている人たち。
第一章 声とは何か
声について何も知らない、わたしのような読者にも、基本から知ることができる。
周波数が高ければ声が高いかというと、そう単純ではないという話が面白かった。
フォルマント(基本周波数のまとまり方)次第で、基本周波数の高低とは違う印象につながることがあるという。
第二章 声から何が分かるのか
声を周波数で分析する手法を考えたのは、フーリエ。ゆえに、周波数によって声を分析することをフーリエ分析という。
声から出身地域や年齢や体調が読み取れるというのは、何となくそうだろうと予見できたが、職業までとは・・・。しかし紹介される事例が少なく、まだ納得がいかない気がする。
第三章 日本人の声を知る
本書によれば日本人は声が高い、という。
体格の小ささと、湿潤な気候(声が響かない)のため、コミュニケーションのために高い声が選ばれたのだか。
東アジアの人々が一般に声が高い、とまで言ってしまうと、住環境の違いが大きすぎて、ちょっとその仮説正しいのかな、と思えてしまうが。
近年の傾向としては、男性は高音化し、女性は低音化しているという。その理由として、女性の身体が大きくなり、声帯、共鳴体自体が変化したとする。しかし、男性の場合は、社会的な説明(社会進出してきた女性とコミュニケーションを取る機会が増えたため)としているが・・・。これまた他の仮説も成り立ちそうだ。
ただ、音域の高さとは別に、周波数的に高いかというと、日本語はそうではないという話は面白かった。
英語やスウェーデン語などは、子音の部分に、音として認知できない高周波な音が含まれているという。
それから、日本人はいわゆる「だみ声」も、枯れたいい声という評価軸があるという点も、非常に興味深い話だった。
第四章 声に何ができるのか
1/fゆらぎを持つ声とはどのようなものかが解説され、それを持つ歌手としてエンヤ、美空ひばり、ナット・キング・コール、バヴァロッティらだという。
元ちとせのこぶしや、宇多田ヒカルのちりめんビブラートの秘密にも切り込んでいて、お話として楽しく読んだ。