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紙の本

英米ファンタジーへの手頃な入門書——卒論の作品・テーマ選択に困ったときにも

2003/05/04 11:58

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:西下古志 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、標題の通り「児童文学ガイド」である。しかし同時に、英米のファンタジーへの簡便な案内書にもなっている。「児童文学」=「ファンタジー」という図式は、いささか乱暴なものだが、両者は重なりあう部分も大きい。
 とりあげられている作家は、英国が26人、米国が13人、さらにカナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった、これまであまり注目されてこなかった地域の作家が3人、そのほか現代の挿絵・絵本作家たちも紹介されている。また作家・作品についての解説だけではなく、それぞれの地域の児童文学史の概観や、「歴史小説」などのジャンルの解説、用語・文献など、さまざま有益な情報が詰まっている本である。
 編者の定松正は、英米児童文学研究をリードしてきた研究者であり、『英米児童文学の系譜』(こびあん書房、1993年)等の著書がある。
 本書は、それぞれの作家の生涯と作品を紹介し、さらに代表作を一つとりあげて解説する、という構成になっている。本書の特徴は、その代表作の解説部分で、「論文のテーマ例」というコーナーが設けられていることである。
 たとえば、英国のラドヤード・キプリングの『ジャングル・ブック』では、「ジャングルの掟の意味」「動物物語のファンタジーとリアリズム」といった主題例が提示され(佐久間康夫執筆)、米国のアーシュラ・K・ル=グウィンの『ゲド戦記』では、「「ゲド戦記」における魔法」「アイデンティティの喪失をめぐって」「フェミニズム的アプローチ」といった例が示され(松本祐子執筆)、議論の観点やアプローチの方法などが解説されている(キプリングについては、_Kim_(『少年キム』)をとりあげるべきでは、と思うのだが)。
 卒業論文や修士論文にとりかかろうとする際には、作家・作品の選択やテーマ設定などであれこれ迷うものだ。本書のこの「テーマ例」は、そうしたときのひとつの糸口として、助けになるものである。また、巻末には、とりあげた作家に関する参考文献のほかに、英米児童文学全般についての「卒業論文作成に役立つ主な参考文献」(洋書・和書)一覧が掲げられていて、これも便利である。
 大学の教員のなかには、論文の主題は自分自身で考え出すものだ、と決めつけているものもいて、そうした人は本書のような試みを不当に非難する傾向にある。しかし、実際に論文にとりかかってみれば判ることだが、与えられた主題を最後まで維持することなど、ほとんどの場合ありえないことであり、その主題を出発点に作業をすすめていくなかで、借り物ではない自分自身の主題へとたどりついていくものだ。本書の「テーマ例」は、その出発点としてたいへん有効なものである。卒論・修論を執筆しようとする人たちは、大いに活用するべきであろう(ついでに一言。論文にとりくむ人たちには、ウンベルト・エコ著『論文作法—調査・研究・執筆の技術と手順』(而立書房)や沢田昭夫著『論文の書き方』(講談社学術文庫)といった本をぜひ座右に置いて欲しい)。
 本書への注文を言えば、作家の解説部分で紹介されている作品について、邦訳の有無、邦訳があればその標題(できれば翻訳者と発行所)といったデータを挙げて欲しかった。さらになんといっても、索引がないのが惜しまれる。また、評者の手許にある初版第1刷には乱丁があり、161ページから176ページまでの部分が二重に製本されている。関係者は注意されたい。
 最後に、本書で英米児童文学に関心を持たれた方は、この春に刊行された安藤聡著『ファンタジーと歴史的危機—英国児童文学の黄金時代』(彩流社)も併せ読まれてみてはいかがだろうか。

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