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紙の本
最後が知りたくてページを捲る手が止まらない。寝不足覚悟で読むべし
2004/07/01 15:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭から読者の心をグっと掴みそのままラストまで一気に読ませるそのスピード感と吸引力に思わず参りましたと頭を下げたくなる作品。
帝王・波潟を陥れようとする三千隆は言う。
「この異常な好景気も遠くない将来必ず終わりを迎える。それまでにどれだけ稼ぎ、終わりが来る寸前にゲームから足を洗えるかどうかが勝負だ」と。
バブル崩壊直前、金の亡者達の騙し合い、抜き合い、そして誰が最後のババを掴まされるのかが最後まで見えてこない面白さがあります。
読んでいて彰洋と一緒に体温が上がりまた下がる感じがしました。
しかし彰洋の周りは金の為なら人の心など容赦なく捨てれる、また陥れれる何とも「ロクデナシ」ばかり。
しかも波潟の愛人・麻美がこれまた同性ながら何とも愚かで浅ましい、基本的にこういうキャラは好きなのだが自分のことを「マミ」と呼ぶのがどうしても腹が立ってダメでしたね。
ゴージャスで美人で賢いはずなのに全くその姿が想像できなかったんですよね〜。残念ながら。
誰も彼もが騙されたことに激怒し更なる罠をかけようとする様子が似たもの同士過ぎて面白かったですね。
実際にこの物語の世界がどこかにあったんではないか?と想像できましたし。
私の場合はバブルが崩壊した後で社会に出たのですが(お陰で就職難、氷河期の時代を経験されられましたけど…)あのバブル時代を経験した人なら主人公達の高揚感をもっと味わえるのではないでしょうか。
最後が知りたくてページを捲る手が止まらない。
久々に私を寝不足にした本です。オススメ。
紙の本
バブルの時代に舞い狂った若き男女の野望の行方
2003/07/18 01:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シュン - この投稿者のレビュー一覧を見る
馳星周がデビュー前に良く言っていた言葉が、ぼくには思い出される。「へなちょこ野郎」という言葉だ。彼は良く大好きな『ブルー・ベル』あたりを持ち出して「バークは本質的には、とんでもないへなちょこ野郎なんだよ。へなちょこ野郎だからこそ好きなんだ」馳の作品で踊り躍らされる主人公たちはやっぱりへなちょこ野郎であり続ける。
へなちょこ野郎なのに身の丈に合わぬ夢を見る。傍らから見ると、それはまるで幻視だ。コークがもたらす強烈なキックがもたらす幻覚だ。体温が上がってゆく、と感じる。上がってゆき、昂進されてゆくものが、へなちょこ野郎の中に育って膨らんでゆく幻視感なのである。
身の丈に合わぬ夢を現実の世界に這わせようとすれば、大きな逆襲に合う。無理が祟って、恨みを買い、吐き気を催し、震えおののく立場に追い込まれる。出口のない袋小路に追い込まれ、狂気が近づく。馳星周の筆は一貫してここを書く。この緊張感の集積を書きつつ、主人公も読者も常に感じるのが空しさと薄幸と矛盾。大いなる空虚のなかにしか夢は存在しないかのように。
いつもは組織の暗闘の中で破滅してゆくタイプの物語、馳の得意なストーリー・ラインがものの見事にバブルの夢とシンクロした。これまで不明だった部分……夢・空虚・動機・痛み……が、わりと明快になった印象のある小説。長大な割に登場人物が少なくシンプルだということもあるのかもしれない。
確かにいつもと同じタイプのストーリー。馳星周は脱け出せない。あるいは脱け出さない。リフレインを駆使した巧妙な煽り文体。シンプルで独特の語り口による疾走感。馳の長所も短所もすべて詰め込んだごった煮のような真夜中世界がここにある。都会。金。セックス。暴力。いつもの馳の材料。
それでもいつもと少し違う。そこがこの作品の味噌である。それを明かすわけにはゆかない。
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