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祥伝社ノン・ノベル創刊30周年記念特別作品。
消息、刻印、抱擁、業火、使徒、遺言、行方、の7つの連作長編。
真壁修一、通称ノビカベ。
深夜、寝静まった民家を狙い現金を盗み出すのを専門にする「ノビ」と呼ばれる忍び込みのプロの真壁が、刑務所から出所するところから物語りは始まる。
◆消息
自分がつかまった時の状況に疑問を持つ真壁が過去の事件を調べる。
◆抱擁
真壁の恋人だった久子が、勤務先の保育園の積立金消失事件の犯人として疑われることに。真壁が隠された真実を暴く。
◆業火
盗人ばかりが襲われ、瀕死の重傷を負う事件が続き、真壁も襲われる。誰が、何のために?
そして本当に狙われているのは誰?
◆使徒
塀の中で、一人の少女のための「サンタクロース」の依頼をされた真壁が、痕跡を残さずに家に侵入し、プレゼントを置いてくることに。
◆行方
久子の見合い相手の兄が、久子にストーカー行為を働き、久子は真壁に救いを求めるが・・・。
真壁の心の中に住む、双子の弟・啓二との関係や、真壁が立ち直るのを待ち続けているかつての恋人・久子との関係などが、じっくり描かれている。
最後には、啓二が母親に無理心中をしかけられ亡くなったときの「隠された真実」が弟自身の口から語られる。
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個々の話は、よく考えられていて、常に意表を突いてくる。真相にたどり着く真壁の勘が良すぎる気がしないでもないけど。好きな話は『使徒』『業火』。やるせないのは『抱擁』。
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深夜寝静まった民家に忍び込み現金を盗み出す泥棒のことを警察用語で「ノビ」という。
ノビの真壁=ノビカベ がこの物語の主人公。
15年前のある事件を境に 真壁は法を捨てた。
死んだ時から真壁修一の頭の中に住み続ける双子の弟啓二。
その啓二の他人には聞こえない声に助けられながらさまざまな謎を明らかにするために走り回る真壁。
真壁にとって啓二の存在とは何だったのだろうか。きっと影だったのだ。
人は誰も自分の影を踏まれまいとして生きているのかもしれない。
日陰に入って見えなくなったように思えても 一歩日の中に出て行けば どこまでも着いてくる影。逃れることのできない自分の影を踏まれないようにして生き延びなければならないのだ。きっと。
それにしても 警察と昔気質の腕一本で稼ぐ泥棒たちの関係たるや ホームズとルパン、銭形警部とルパン?世 のごときあたたかき信頼関係――と言ってしまっては身も蓋もないが――で結ばれているようで 羨ましくさえ思えてしまうのはなぜだろう。
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警察小説ではなく、警察によって捕まえられる犯罪者の立場を描いたものです。双子の弟が自分の中に存在している主人公の内面を描いたもので、推理小説ではないです。他の横山氏の小説よりもちょっとむずかしめな感じがしました。
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「ノビ師」の兄と死んだ弟を中心としたハードボイルド連作短編集。兄弟の会話シーンは非科学的だが、それがこの物語の核でもある。最終作で語られる、弟の思いと兄の反応はやりきれないものがあるが、心地いい風が吹いたようなラストは印象に残った。
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短編集だけど全体の流れもある。主人公のノビカベの勘が良すぎる気もするけど、面白かった。タイトルがやっぱりうまい。警察が出てくるシーンが印象的で得意の警察モノを読みたくなってしまう
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今度の主役は、「ノビ師」(忍び込み窃盗のプロ)。母親に無理心中させられた弟の魂が、主人公の頭の中で生きているという設定。う〜ん・・・。こういうのも、たまにはありかな。とにかく横山作品は、出版されたものは全部読むことにしております。
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横山秀夫の真骨頂ってかんじです。
さすが警察内部のことはリアルですごい。でも、何より話の内容もうまいなぁ!と。
兄弟の話だから、この前読んだ重力ピエロとちょっと重なった。やっぱり兄弟愛っていいなぁ。
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初めて読んだ、彼の作品。
全体的に暗いトーンの話だが、ずっしりと次第に引き込まれていく。他の作品も読んでみたいと思わせてくれた一冊。
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窃盗罪での服役を終え出所した真壁修一(34)が真っ先に足を向けたのは警察署だった。二年前、自らが捕まった事件の謎を解くために。あの日忍び込んだ家の女は夫を焼き殺そうとしていた―。生きている人間を焼き殺す。それは真壁の中で双子の弟・啓二の命を奪った事件と重なった。十五年前、空き巣を重ねた啓二を道連れに母が自宅に火を放った。法曹界を目指していた真壁の人生は…。一人の女性をめぐり業火に消えた双子の弟。残された兄。三つの魂が絡み合う哀切のハード・サスペンス。
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図書館で借りました。
死んだ弟が中耳に住んでいる(?)真壁修一、忍び込みのプロ。出所後の様子を7つの物語で繋ぎます。。8つ目の物語で、久子さんと幸せになってもらいたいと思うのは、私だけじゃなくて、耳の中の啓二さんも同じだよね。
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窃盗罪での服役を終え出所した真壁修一(34)が真っ先に足を向けたのは警察署だった。二年前、自らが捕まった事件の謎を解くために。あの日忍び込んだ家の女は夫を焼き殺そうとしていた。生きている人間を焼き殺す。それは真壁の中で双子の弟・啓二の命を奪った事件と重なった。十五年前、空き巣を重ねた啓二を道連れに母が自宅に火を放った。法曹界を目指していた真壁の人生は・・・ただの泥棒なのに、切なくて、カッコいい!!ルパンの日本人バージョンのよう。
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2008/03/02
藤原伊織の「蚊トンボ白髭の冒険」をちょっと思い出した。
ほんの少しだけ、設定が似ている。
が、こちらの主人公のほうが非常に鬱屈としていて(そうなっても仕方ないだけの過去があるが)、読んでてちっともスカっとしない。連作短編の体をなしているが、それもさほど効果的ではない気がする。救われない気持ちのまま終了。横山さんの作品はそういうの多いけれど、これはあまり好きになれない。
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ノビカベ(通称)真壁修一。双子の弟の啓二の精神と共にある。寝静まった民家を狙い現金を盗み出す。取調べに対して決して口を割らない。出所した修一と恋人久子との関係、双子の兄弟の過去。ベースとして事件を追ったり、事件に巻き込まれたり、真相を探ったり、正義のために動いているようにもみえる。仕事は盗みだが。警察や同じような仕事の世界にいるものの力を利用しながら。設定はかわったいたが違和感なく楽しめた。2008.3.29
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横山作品らしくないといえば、そう言える。
寝静まった夜、住宅街を襲い空き巣をする「ノビ師」
双子の弟・啓二は15年前、啓二の境遇を苦にした母親によって焼死させられてしまった。
その内耳に響く弟の声との対話が話の重要な部分を占めている。
複雑な兄弟の想い、同じ女性への愛。
心理描写はさすがで、タイトルの「影踏み」にもグっとくる。