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熊打ちの小十郎と、熊の物語。オノマトペがすごく良く使われていて、子供でも想像できるほどの情景描写が、素晴らしいと思いました。
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05-04-05
白樺、青空、南風
こぶし咲くあの丘 北国のああ北国の春
4月のはじめに、白い花を咲かせるのがコブシです。研究所の通用口の前に植栽されています。
コブシはモクレン科の落葉高木で、葉が展開する前に花弁が6枚の花を咲かせます。コブシとよく似た樹木にタムシバがあります。タムシバはコブシと花期を重ね、同様な白い6枚の花弁をもちます。コブシは花のつけねには1枚の葉がついていますので、タムシバと区別することができます。
コブシの花を目印としたことわざがあります。農業にかかわったものが多いようです。
「コブシの花が咲くと畑豆*1をまかねばならぬ」(佐渡)
「コブシの花が咲いたら種芋をおこす」(栃木)
「コブシが咲くともみまきせにゃならぬ、散ると田植えを始めにゃならぬ」(石見)
「コブシの花の多い年は豊作」(全国)
コブシはサクラとも花期が重なるので、東北地方ではサクラと呼ぶ方言もあります。宮沢賢治の作品『なめとこ山の熊』の中に登場する子熊と母熊の会話の中にコブシが出てきます。さて、どこに出てくるのでしょうか。
「どうしても雪だよ。おっかさん。谷のこっち側だけ白くなっているんだもの。どうしても雪だよ。おっかさん。」
すると母親の熊はまだしげしげと見つめていたがやっと言った。
「雪ではないよ。あすこへだけ降るはずないんだもの。」
子熊はまた言った。
「だから溶けないで残ったのでしょう。」
「いいえ、おっかさんはあざみの芽を見に、昨日あそこを通ったばかりです。」
小十郎*2もじっとそっちを見た。
月の光が青白く山の斜面を滑っていた。そこがちょうど、銀の鏡のように光っているのだった。しばらくたって子熊が言った。
「雪でなけぁ霜だねえ。きっとそうだ。」
ほんとうに今夜は霜が降るぞ、お月さまの近くで胃(コキヘ)もあんなに青くふるえているし、第一お月さまのいろだってまるで氷のようだ。と小十郎はひとり思った。
「おかあさまはわかったよ、あれねえ、ひきざくらの花。」
「なあんだ、ひきざくらの花だい。僕知っているよ。」
「いいえ、お前はまだ見たことありません。」
「知っているよ、僕この前とって来たもの。」
「いいえ、あれひきざくらでありません。お前とって来たの、きささげの花でしょう。」
「そうだろうか。」子熊はとぼけたように答えました。
月夜の晩に、雪が残っているように見えるコブシの林ってあるのでしょうか。そんな風景を眺めてみたいものです。
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ぜひ、声に出してよみたい。最期の「許せよ。」がたまらない。彼は目いっぱい、彼の世界を生きたと思う。幾つもの命と同様に。
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この物語のように
今生きている命も
死んでいく命も
お互いに敬意を払う関係が切ないけど
すごくきれいで理想的だと思った
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「ほかに生きていくてだてを持たぬがために、しかたなく熊を殺して生計をたてていた熊うちの名人が、やはり、人を殺したくて殺すのではない熊のために命をおとします。人間世界を修羅と見て、その克服を求めた賢治のこれは未完成ながら名作の一つ。これを、数10種類の木の肌合いと木目とを選んで絵の各部分をかたぬきし、組み合わせていく中村道雄独得の手法の“組み木絵”で絵本化。」