紙の本
あなたも「そっち側」?
2004/04/06 21:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕のようなオジサンが、恩田陸のジュヴナイル小説と言っても良いミステリ群に夢中になって読み漁るのは、ひとえにこの作家の巧さ、筆の確かさによるところなのではないかと気づいた。語彙の豊かさや表現力の多彩さと言った高度な点ではなく、まず語順や読点の打ち方の適切さ──作家としては当たり前のことかもしれないが、意外にちゃんとできていない人も少なくない──これがあるからこそ、書いてあることがすんなりと頭に入ってきて、読んでいて疲れない。読書が滑らかになるのである。無論語彙も表現力も申し分ない。会話は会話らしく、決して会話で説明しようとはしていない。
この本でのトリックや謎解きは茶番なのかもしれない──しかし、他のところにも書いたことがあるのだが、僕はトリックや謎解きの巧拙にはほとんど興味がなくて、確固とした全体像があるかどうかという点に魅かれる。そういう意味ではまさに確固たる世界が確立している──重く淀んだ、謎に満ちた世界。
この小説は『麦の海に沈む果実』の続編である。シリーズ物が好きなのも僕の特徴である。2年前に書いた『図書室の海』の書評に「読む前に嵌れ」というタイトルをつけたが、文字通り僕は読む前から嵌ってしまっているのかもしれないし、そういう意味では公平でない書評なのかもしれない。しかし、それにしても主人公の理瀬は魅力的な少女だ。亘が理瀬や稔に嫉妬して言った「そっち側」に僕もいるのだろうか。いずれにしても、僕と同じように嵌ってしまう人も少なくはないはずだ。
by yama-a 賢い言葉のWeb
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こちらも理瀬ちゃんシリーズ(?)。洋館の描写が素敵です。自分の中では山手の洋館のイメージ。海も出てくるしね。
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「麦の海に沈む果実」に続く1冊。あのリセが帰ってくる----。さらに冷酷&冷静さを増して。ちなみに自分なら絶対だまされる自信有り(笑。目的のために全てを切って捨てる女に魅力を感じてしまうダメな男子全員にお勧め。って方向性が違う気もするがまぁいいか。
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「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上住まない限り家は処分してはならない」
そういう遺言を残し死んでいった祖母の遺言を守り、理瀬は「魔女の館」と呼ばれる洋館にやって来た。
幼い頃少しだけ母親代わりの祖母と過ごした古い洋館へ。。。
そこには怪し気な行動をする血の繋がらない叔母二人が既に住んでいた。
そして理瀬は兄稔と共に密かに託された、秘密を探る。
そして。。。
初めはなかなか読み進まなかったけれど、中盤からグイグイ引き寄せられとても面白かった。
洋館の怪しげな雰囲気、謎の行動を取る叔母達。。。
果たして祖母から託された秘密とは??
そして気になる事。。。
どうも闇の世界に身を潜めているらしい理瀬と稔。
でもこれは最後までわからなかった。
何故ならこの本はまた別な本の『麦の海に沈む果実』の続編だったから(^^;)
読まねば!!
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『麦の海に沈む果実』『図書室の海』そして少し趣は違うが『三月は深き紅の淵を』の水野理瀬のその後の物語である。高校生になっている。
抗えない力によって進むべき道を決められている理瀬とその一族(と言っていいのかよく判らないが)の ひとつの区切りとも言える物語なのではないかと思う。理瀬自身が 自分が水野理瀬であることにもうすっかりなれているようであり、頼もしさ――裏を返せば空恐ろしさ――さえ感じられる。
周りの誰をも信じることができない彼女にとって雅雪の存在が 唯一心和むものだったことを喜びたい。
明日 理瀬はどうしているのだろうか。
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「麦の海に沈む果実」と話が繋がっているので、先にそっちを読んだ方がいいかも。
洋館内の雰囲気が、読み手に伝わるほど奇妙なものでまるで自分がそこに住んでいるかのように恐ろしい、びくびくした気持ちになってしまった。 最後は想像もしなかった展開で、あるいみ落ち着いて読めない本。
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「麦の・・・」の続編。さらに美しく、賢く成長した理瀬に出会えます。このシリーズ、こうなったらヨハンと結婚するとこまで読みたい。謎がいくつも散りばめられ、最後まで気が抜けない、相変わらずの「恩田ワールド」です。
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「麦の〜」に続く理瀬の物語。覚醒した理瀬の、少女と女の間のような危うい魅力が満載。
「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」そう遺言で残した祖母。この家には何が隠されているのか。そして誰が敵で味方なのか。
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「麦の海に沈む果実」の続編です。前作に比べてだいぶミステリー色が濃い印象でした。ラスト、二重のどんでん返しにびっくり。
このシリーズの話は恩田さんのほかの短編や長編ともちょこちょこつながっていて、共通して登場するキャラクターなんかもいたりして、ファンにはけっこう美味しいと思うんですが、この一冊だけを単独で読むとよくわからないんじゃないかなあと思ったりしました。って、私が心配してもしょうがないかこんなこと。
順調に強く悪くなっていく(笑)主人公の理瀬ちゃんの今後に期待してみる。(2004/10/31)
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亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬はやってきたー。
「麦の海に沈む果実」の続編みたいなもの。思い起こすものが多かった。
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理瀬の本領発揮というところ。
色々な箇所で吃驚しましたが、作品全体の、舞台となる街の雰囲気が濃厚で、すごく魅力的です。こういう理瀬も好きでした。
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「魔女の家」と噂される洋館に隠された秘密…。「自分が死んでも理瀬が半年以上住まない限り、家は処分してはならない」という亡き祖母の遺言の意図とは? 洋館の周りで次々に事件が! 『メフィスト』連載を単行本化。
【感想】
http://plaza.rakuten.co.jp/tarotadasuke/diary/200504020000/
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理瀬とそこに住む彼女の血の繋がっていない、正反対に見える叔母二人。
隣に住む友達、その弟、そしてその親友。帰ってきた従兄弟たちのお話。
わざわざ留学から一時帰国して住むことにした、洋館。
帰国したのにはある「理由」があった
その「理由」のせいでか洋館で起こる、「不運な」出来事・・・・・
「麦の海に沈む果実 」の3月の国の重たくも暗い雰囲気が詰まっていて
あのままの流れで、読む事が出来て幸せだな〜と思いました。
これは是非続きで読んで欲しい。
登場人物は、みんな見たままの人物ではないような気がして
怪しめば全員怪しい。
壊れかけの洋館というのも雰囲気を盛り上げてくれます。
思えば最初から犯人は・・・・・(言わないでおきます)
ヨハンや黎二の名前も作品中には出て来て
今後もこのシリーズが出そうな気がして
楽しみになってます。
成長したヨハン!!
想像するだけでも、わくわくしちゃいますね〜♪
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「自分が死んでも半年以上水野理瀬がこの家で暮らさなければこの家を処分してはならない」という祖母の遺言に従い留学先のイギリスから長崎の祖母の家にやってきた理瀬。近所から"魔女の家"と呼ばれる洋館で一緒に暮らすのは理瀬と彼女の伯母である梨弥子と梨南子の二人の姉妹だ。祖母の一周忌を前に近所に住む友人、朋子の家の猫が毒殺された。更に魔女の館の付近では朋子に言い寄っていた男子高校生が行方不明になり、一周忌当日には家に残っていた梨弥子が奇妙な事故死を遂げる―
+memo+
『麦海』の続編です。この作品は読み終わった後、「女って怖い!」とぞっとします。そして冬の長崎に行きたくなる。
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待ってました…!麦の海に沈む果実の続編であります。高校生になって黒さ(?)を増した理瀬の物語。図書室の海の「睡蓮」に登場の従兄弟たちも出てきます。装丁も三月シリーズではお馴染みの北見さんでキレイ!
結構本格ミステリ寄りのつくりだと思います。二転三転する結末に吃驚。タイトルの妙。心の底から楽しめました。待ってた甲斐が有った!毎度のことながら新登場キャラの方々も大層魅力的であります。続編と噂される「薔薇の中の蛇」が楽しみでなりません。
■関連作■「麦の海に沈む果実」「睡蓮」(「図書室の海」収録)「水晶の夜、翡翠の朝」(「殺人鬼の放課後」収録)