紙の本
永遠のパーティーに飽きた少女の冒険
2004/03/16 06:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Okawa@風の十二方位 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『サイケデリックな色彩に彩られたドーム都市、昼も夜も永遠にパーティーは繰り広げられる。生体アンドロイドの完璧な奉仕による理想郷で、人間はジャングと呼ばれ半世紀ものティーンエイジを過ごしていた。やがてその乱痴気騒ぎに飽き、短い大人の季節の後に自らを消滅させる日まで。
ただ楽しみ、エクスタシーを感じることのみを期待されたティーンエイジャーの群れの中で、一人の少女が声を上げた。
「つまらない!」
少女のエキセントリックな行動はいくつもの波紋を呼び、最後にはこのドーム都市全体を巻き込んでいく。少女が触れるの世界の本当の姿とは?』
タニス・リーの初期のSF作品です。
何と言っても70年代の作品ですから、懐かしい70sテイストがたっぷり。出だしはフラワーチルドレン風サイバーパンクといった趣でしょうか(どんなだ(笑))。しかしさすがはりー、これが古くない。読み進めていると、自分の内面にピュアな少女が抱く、「世界」に対する怒りや切なさが伝わってきて、どんどん物語に引き込まれていきます。
そしてなんと言ってもこの作品の魅力は、鮮やかな色彩の数々、スカーレット色の炎につつまれたレストラン・ファイヤーピット、淡いターコイズブルーの光に浮かぶ翡翠の塔。そしてこのドーム都市のサイケデリックな鮮やかさも見事ですが、その後の展開の砂漠の自然の美しいことといったら。本物の世界に魅せられていく少女の驚きが、瑞瑞しい色彩として表されています。サイバー都市と自然、二つの世界の色彩の対比が実にドラマティック!
カバーイラストを含めてあえて冒険をしてまで、出版社さんがこの作品を新しい作品として送り出そうとした気持ちが分かります。この作品は、時を越えて繰り返される永遠の成長物語なのです。
あなたも世界への探検に出かけて見ませんか?
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タニス・リーの本が新装版になったので、図書館から借りてきた。平たい地球シリーズは文章がゴージャスだったけど、こちらはポップな印象を受けた。
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めくるめく異世界感。浮遊し墜落する繊細にして美麗な世界観。
ありがちと言えばありがちだけど、ここまで徹底して世界に浸らせてくれるのはさすがタニス・リー。
彼女の本の中で実はいちばん好きかも知れない。最後の胸が痛くなるようなラブストーリーの熱さもいい。
装丁もたまらなくツボ。ジャンク用語はしばらく頭の中から抜けませんでした。大好き。
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この世界好きです。一度行ってみたい。
自分の姿も性別も変えられるのはいいように思えるけど
思いっきり自分を見失いそうです。
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遠い未来。
体を変えることにより、永遠の命を得た人類。
故に虚しくなったりして、そんな時代に原始的に生きることを選んだ異端者の話。
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表紙のイラストレーションが凄く好きで買いました。話しの設定もすごく好きなのと、文章のドライブ感も好きです。ただ、ラストのところがちょと、ひっかかりました。
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表紙に一目惚れして買った本。
一度読んだだけではわからなかったけど、二度三度と読むとじわじわくる本。
三度目で涙。
主人公の名前が表記されてない。
主人公は読者自身なのかも。
アンドロイドたちが奉仕する完璧なる理想都市、フォー。
そこで暮らす人間たちには、制限のない快楽や、苦痛も病もない人生が約束されており、人々は好きな外見や性別を選び、永久的に生き続けることができた。
そんな魅力的な社会に歯向かい、太陽に噛み付く反逆者。
自分がこの世界に存在した時、主人公が最終的に選んだ道を
見つけられるだろうか?
現代の便利さに取り込まれてしまわないように何度も読み返したい本。
私にとってエンデの「モモ」のような位置づけ。
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近未来SFなのに夢見がちな雰囲気が素敵でした。
個人的には、とても好き。
ストーリー展開は少女漫画的かもしれないけど
いつの時代にも「女の子」はいるはず。
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タニス・リー作品としては珍しい(?)近未来SF。SF的なガジェットと世界を設定しても、随所にファンタジーっぽさが見える。
基本的には王道のストーリーで楽しめた。
共生関係を目指すというか、割とナアナアで完全に対立しない……というのは、SF小説としては珍しいラストかもしれないな〜。
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最初は、こういうあり得ない設定のヤツではみ出し者がめちゃくちゃする系、読んだことあるなぁと少しウンザリしていた。ページをめくる手も止まりがちで、やめようかと思ったりもした。
けど、中盤から面白くなり始めて、止まらなくなった。
人って結局、不便が好きなんだ。どんなに便利な世界に生きてても、完全に満足できない人は存在する。両方があって、どちらかを選択することが出来る方が、多くの人を満足させられる。
ないものを魅力的に感じる欲求を取り除けない以上、どちらか一方に偏ったものだけを供給し続けることは押しつけになってしまって不自由に替わる。ある程度の締めつけを残した上で自由を与えた方が、コントロールしやすいのかも。