投稿元:
レビューを見る
下敷きである「ボートの三人男」は、以前読んで期待はずれだった。しかし、この作品は充分に楽しめる。
美しい景色の描写といい、魅力的な登場人物といい、章ごとに二転三転するストーリーといい、連続のTVドラマに最適と思うのだが、実現しないだろうか?ブルドッグのシリルと、猫のプリンセス・アージュマンドを見付けるのは困難だろうけれど。
大袈裟なばかりで価値のないものにも、時間と記憶は意味を持たせる。過去からやってくる「無意味なもの」が何かを知り、胸が熱くなった。
SF的説明は若干難解。「航路」の方が人には薦めやすいかも。
投稿元:
レビューを見る
ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめとして、ドイツやイタリアで数々の賞に輝いた、抱腹絶倒のヴィクトリア朝タイムトラベル・ラブコメディ、と後書きにあります。
第二次世界大戦中のドイツ軍の空襲で消失寸前のコヴェントリー大聖堂に、2057年から「降下」したネッド・ヘンリーは「主教の鳥株」と呼ばれる、花瓶を探していた。
2057年当時、既に時間旅行は完成していたが、過去からはどんなものも持ち帰れないと言うことが証明されてマイナーな学問と成り果てていた。そして、オックスフォードの航時学部は、コヴェントリー大聖堂を在りし日の姿そのままに復興しようと言うレディ・シュラプネルにこき使われていたのだ。
ネッドは、短期間に過度の時間旅行を繰り返して「タイム・ラグ」と呼ばれる症状を引き起こし呼び戻される。2週間の静養を命ぜられたネッドを休ませるべく、ダウンワジー教授は彼を「静かな」ヴィクトリア朝に送り出した。ごく簡単な任務とともに。だが、タイムラグで自分の任務が思い出せないネッドはシリルと言うブルドッグを連れた若者とテムズ川をさまよう羽目にに陥った。その途中、彼は研究室で出会ったナイアスのように美しいヴェリティにめぐり合う。彼の任務は果たして?・・・・
「犬は勘定に入れません あるいは、消えたビクトリア朝花瓶の謎」・・・・このタイトルを読んだときには、あんまり食指が動かなかったんですが(笑)茶葉さんが楽しんで読まれたようなので、試してみました。
コニー・ウィリスは初読。「航路」や「ドゥームズデイ・ブック」などタイトルと評判は聞いていて、シリアスなSF作家と言うイメージを持ってたんですが、これはほんとに楽しかった!
このネッド君、なんだかとってもいいヤツなんですよね〜。ハリエット・ヴェイン好きのヴェリティも生き生きと魅力的。ネッドとヴェリティの恋、二人の追い求めるワガママお嬢さんのトシーの恋人は誰なのか、おっそろしいレディ・シュラプネル、などなど、登場人物と、そのストーリーのどれもこれもが魅力的なこと!
タイムパラドックスの解説はいかにもSFだし、ドタバタコメディの面白さもたっぷり、ラストにきてミステリらしい解決もあるし、と面白さてんこ盛り、でした。
ブルドッグのシリルと、日本から取り寄せられた高価な金魚をパックリ食べちゃう猫のプリンセス・アージュマンドが可愛い!
投稿元:
レビューを見る
タイムトラベルものだが、ゴリゴリのSFではないので、誰でも楽しめるのでは。つじつまあわせに奔走する主人公達の姿が笑いを誘う。ブルドックもかわいい。
投稿元:
レビューを見る
記念すべき初ブクログ本♪
なんだかのんきだなあ。
キャラクターが良い。
最初の方はいったいなにが起きたんだか頭がこんがらがっていたけれど、それを乗り越えたらむちゃくちゃ面白かった。
(2006/03/23読了)
投稿元:
レビューを見る
コニーウィリスの真骨頂が出たタイムスリップビクトリア朝ドタバタコメディ。どんどんずれまくる史実をつじつま合わせるべく奔走する主人公たち、さっぱり言うことを聞いてくれないその他大勢・・。楽しすぎる♪
投稿元:
レビューを見る
コニー・ウィリスのチャーミングな大傑作。
内容はタイムトラベル物なので、ジャンル的にはSFでしょうか。
「消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」という副題が示すように〜歴史ミステリに近い感触がありますが…
「犬は勘定に入れません」というタイトルは「ボートの三人男」の副題だったもの。
犬も一緒にボートに乗ってテムズ川下りをするわけですが、三人というのに犬は入ってない、という意味合いでしょうね。
近未来のオックスフォードから時間旅行へ旅立つ若き研究者ネッドとヴェリティが主人公。
つまり、中世へのタイムトラベルを描いて荘厳なまでの迫力のあった「ドゥームズデイ・ブック」と舞台設定は同じです。
今回は主な行き先が19世紀の平和な時代で、恋愛の要素も強く、楽しめる仕上がりになっています。
この話の中では時間旅行は十分可能になっているけど、費用がかかるのでスポンサー無しでは成り立たないものとなっているんですね。
ネッドとヴェリティは、スポンサーの好き勝手な要請にしたがって何度も行き来を繰り返します。
時差ボケならぬ時間旅行ボケという症状に悩まされながら、歴史に誤った影響を与えないように奮闘することになります。
歴史の過誤を理論的に研究しているのは日本人の藤崎といい、最近読んだ小説のあちこちで見かける日本人像の中でもマトモな名前と役割を与えられている方だと思う‥(^^;
未来では絶滅種となってしまった猫を巡っての物語でもあります。
プリンセス・アージュマンドというたいそうな名前の猫にネッドは振り回されます。
この猫が後書きで「性格の悪い猫」と表現されているけど、猫としてはごく自然にふるまっているだけで性格は全然悪くないのも可笑しい(^^;
旅の道連れのブルドッグも良い味出してます。
投稿元:
レビューを見る
犬猫がかわいい。最初の章を読み終えたときに「うわーやられた!」と思わされる。人間もなかなか良い。特に、任務を一瞬忘れてボート上でまどろむ場面は印象的。[2005年前半読了]
投稿元:
レビューを見る
謎の花瓶を求めて、21世紀と19世紀のあいだを行ったり来たり、タイムトラベルで歴史を縦横に駆けめぐる史学生ネッドとヴェリティの活躍をユーモアたっぷりに描く冒険譚。
ジェローム・K・ジェロームのユーモア小説『ボートの三人男』にオマージュをささげつつ、SFと本格ミステリを絶妙に融合させ、ヒューゴー賞
・ローカス賞のほか、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞したタイムトラベル・ユーモア小説。
投稿元:
レビューを見る
暗くて重たい内容が多いコニー・ウィリスの作品の中では珍しい、軽やかなSFユーモア小説。
くすくす笑って読み進んでいる内に、ヴィクトリア朝期の貴族の生活や文化を勉強できてしまうのです。
流石、ヒューゴ賞ローカス賞クルト・ラスヴィッツ賞の三賞受賞は伊達じゃない。
面白いです♪
投稿元:
レビューを見る
謎の花瓶を求めて、21世紀と19世紀のあいだを行ったり来たり、タイムトラベルで歴史を縦横に駆けめぐる史学生ネッドとヴェリティの活躍をユーモアたっぷりに描く冒険譚。ジェローム・K・ジェロームのユーモア小説『ボートの三人男』にオマージュをささげつつ、SFと本格ミステリを絶妙に融合させ、ヒューゴー賞・ローカス賞のほか、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞したタイムトラベル・ユーモア小説
投稿元:
レビューを見る
なかなか面白い本だったんだけど、何故か読むのに結構苦労しました。
前半部のネッドの疲労によるグラグラ感がなかなか理解できなくて、物語に入り込めなかったのが敗因かなぁ?
でも、このグラグラ感が良かったとも言えるし。
「主教の鳥株」の正体も最後まで謎。一体どんなものなんだろう?と、ず〜と思いながら読み進めました。
それなりに面白かったけど、入り込めない私が悪いのかと、よっと落ち込みましたが。
投稿元:
レビューを見る
コニー・ウィリス、1997年の作品。分厚いです。長いです。
しかし、それを感じさせない面白さ!
章が終わるたびに事件が勃発。
もうその事件の起こり方ときたら、おかしくてたまらない。
タイムトラベル・ラブ・コメディと言いましょうか。
この小説は、SFが好きで、ミステリが好きで、歴史が好きで、
犬が好きで、猫が好きで、文学が好きで、恋愛コメディが好きな人なら
夢中になること請け合い。底抜けに楽しく、はらはらどきどきできて、
そして最後は、楽しかった冒険が終わる余韻に、読者はちょっぴり寂しさを感じつつ、
それでも迎える大団円に拍手喝采。
これ映画化しないのだろうか。いや、それより連続TVドラマがいいな。
登場人物が魅力的で、若いっていいなぁ、大学生になりたいな、
なんて思ったりもした。ネッドとヴェリティの丁々発矢のやり取りの楽しさ!
テレンスの浮世離れしたおとぼけお坊ちゃんぶり。
そして、わがままトシーの自由奔放さときたら!
尋常ではない働きの、本好き執事のベインの細やかさ。
レイディ・シュラプネルやダンワージー先生ら大人たちも負けてはいない。
揃いも揃って魅力的過ぎる。日本流金まで出てくるし。
おっと、愛すべきシリルとプリンセス・アージュマンドのことを忘れてはいけない。
話の作りが、SFの要素が重要な鍵を握りながらも、ミステリの形式を踏襲している。
しかも、結構本格的だと思った。ミステリ「風」じゃなくて、まさにミステリ。
そのため、この本の中に出てきた数え切れないほどの事件について、
ここで述べることはネタバレになる恐れがあるため控えたい。
ただ、通読して、何箇所か納得のいかないことも実はあった。
が、先が気になって、その記述を軽く見過ごしてしまった可能性はある。
また再読して、その不具合を埋めて...いや、齟齬を修復してみたいと思う。
灰色の脳細胞を駆使して、主教の鳥株のありかを突き止めろ。
ボン・ボヤージ、よい旅を!
投稿元:
レビューを見る
ボートの三人男が好きなため手に取ってみたはじめての作家さん。とても面白かった。
タイムスリップもののSFかつラブコメ。時代のねじれを解消しようとした未来人がヴィクトリア朝を舞台にさらにこんがらがせていく様がウィットに富んだ表現でコミカルにつづられていく。ねじれた恋の行方とか、ハチャメチャな登場人物とか、言葉遊び的な修辞なども実に魅力的で楽しい。各章立ての部分にボートの三人男風の表現があったりと、細かい部分にも凝っている。
とても長い小説だけど(しかも重い!そして高い!)、毎日楽しく読み進めることができました。早く文庫にならないかしら。
投稿元:
レビューを見る
タイトルに引かれて読んだけど、大当たり!
文章もしゃれてるし(大森望・訳)、読後感もいい。
特に猫好きには超おススメ。
「主教の鳥株」、死ぬまでにひと目この眼で見たいものです。
投稿元:
レビューを見る
いい、これ。コニー・ウィリスのタイムトラベルもの、歴史とリンクするのが好き。あー、イギリスに行きたい。