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ブラフマンの埋葬 みんなのレビュー

第32回泉鏡花文学賞 受賞作品

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みんなのレビュー115件

みんなの評価3.6

評価内訳

113 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

詩だね、これは。解釈してはいけない。味わうための本だ。

2004/06/08 22:07

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 詩だね、これは。解釈してはいけない。味わうための本だ。
 あっけないくらいに早く読み終わってしまう本だ。ブラフマンはあっけないくらい素早く読者の脳裏を駆け抜けて行く。そして、タイトルから明らかなように、最後にはブラフマンは死んでしまう。それだけの話だ。映画『未知との遭遇』と同様、タイトルがストーリーの全てである。
 『未知との遭遇』の場合は未知の異星人と巡り合うまでの長いプロセスが丹念に丹念に描かれていた。最後の最後に生身の異星人と相対し、「さて、彼らはこれからどうなるんだろう?」という大いなる余韻を残してこの映画は終わった。『ブラフマンの埋葬』の場合、この謎の小動物は最初のページの最初の行で、もう主人公の裏庭に現れていた。そこからブラフマンの外観や生態や性癖についての丹念な丹念な描写が続いている。しかし、終盤のページでブラフマンはあっけなく死んでしまう。死んでしまうと当然のことながら「これからどうなるんだろう?」という類の余韻はない。しかし、確かに別の余韻がある。
 作者は、既にタイトルで種明かしをしてしまっており、この可憐な小動物の突然の死で読者の涙を誘おうという意図は放棄してしまっている。いや、むしろ死はストーリーの初めのほうから、登場人物の設定の中に暗示されている。 では、作者は何を意図したのか? ──いや、解釈しないで良い。これは詩なのだ。
 優秀な詩は単に作者の感性の産物であるのではない。その裏には圧倒的な筆力がある。余韻の種類は読む人によって異なるだろう。ただ、この本は誰が読んでも1行1行に作家の力量を感じずに読み進めないのではないか?
 すごい詩だと思う。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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紙の本

死のにおいに満ちたおとぎ話

2004/09/23 18:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とみきち - この投稿者のレビュー一覧を見る

一見、軽いおとぎ話のようだ。しかし、そこは小川洋子の世界、タイトルによる暗示が、小説全体を支配している。日常からかけ離れ、時間のとまった、死と隣り合わせの世界。大事件は起こらず、声高に主張する人もおらず、しんとした、生と死のみに支配される現実。そんな中、僕の一人称で描かれるのは、ブラフマンがやってきて、ブラフマンと別れるまでの短い時間。

舞台はこのように描写される。

『〈創作者の家〉は村の中心から車で南へ十分ほど走った、田園の中にある。畑と草地が広がる風景の中に、所々こんもりと茂った林があり、たいていその中に一軒ずつ農家が建っている。このあたりの土地特有の季節風を避けるためだ。〈創作者の家〉はそうした古い木造の農家を改装して作られた。』

ぼくは、〈創作者の家〉の管理人である。

この小説には死が満ちている。ぼくが心を寄せる雑貨屋の娘が、列車に乗ってやってくる恋人と手をつないでデートをするのは、古代墓地である。ぼくが唯一心が通じ合って話をすることのある相手は、〈創作者の家〉に工房を持つ碑文彫刻家である。来る日も来る日も墓石に碑文を掘るのである。ぼくは、骨董市に出かけ、身寄りのない年寄りのところから集めてきたという、アルバムからはがしたような、変色した写真を一枚買って、部屋に飾る。既に死んでしまったであろう見知らぬ家族の、古ぼけた写真を部屋に飾るぼくの、壮絶な孤独感。

ぼくの日常は、どこにも向かっていない。ブラフマンがやってきたこと、そして娘に淡い心を寄せること、このことだけがほんの少しだけ生きていることを感じさせていたのに、その二つが皮肉なことに最後には……。

根拠のない人生礼賛や、明日が同じように訪れることを徹底的に否定する、死のにおいに満ちた閉じた世界。ブラフマンに寄せるぼくの愛情の深まりが、孤絶した精神世界を際立たせている。

小川洋子ワールドがまた一つそこに。


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2004/11/06 01:27

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2004/11/30 19:55

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2005/02/03 18:26

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2005/04/03 22:11

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2005/04/30 12:23

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2005/07/04 13:45

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2006/04/13 01:24

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2005/11/03 13:50

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2005/12/01 20:18

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2006/01/06 19:57

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2006/01/09 18:02

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2006/01/24 00:02

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2006/02/16 18:59

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