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言葉を話すことのできないはずの動物の声があたかも聞こえてくるかのような主人公。
ブラフマンとの深い交流が描かれている。
至る所に「死」を暗示するキーワードがあり、
それはまた「生」を知る上でのキーワードになっているかのよう・・・
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芸術家たちが集う『創作者の家』の管理人をする僕とブラフマンとの静かな交流の物語。
小川さんの物語に流れる朝靄のような密やかな空気が好きです。
まだみんなが目覚めていない朝の冷たい空気が朝日に照らされて少しずつ温められていくような。
何かを押しつけるわけではなく、何かを説くわけではなく、何かを主張するわけでもない。
そっと触れると控えめに「ここにいますよ」と微かに触れ返してくるような、そんな物語。
09.10.12
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“僕”と“ブラフマン”のあたたかな交流が描かれており、全体的にはとてもあたたかで優しい。でも、それだけじゃなくて、ところどころに小川洋子独特のスパイス(残酷さというか・・・)が効いており、穏やかながらも飽きずに読むことができた。ブラフマン・・・あたしも飼いたい。
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タイトルからして、分かっていたはずの結末なのに、
その時が来たら、やっぱりとっても哀しくなった。
なんて説明したらいいのか分からない。
言葉だけでできているお話じゃなくて、ほんとにそれを知っている気持ちになりました。
私の中では、いしいしんじさんの作品にも通じるものがあります。
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(2004.08.02読了)(2004.06.24購入)
主人公は、<創作者の家>の住み込み管理人です。<創作者の家>は、ある出版社の社長が別荘として使っていた家を、遺言により、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家たちに、無償で仕事場を提供するためのものです。<創作者の家>は、古い木造の農家を改装して作られたもので、村の中心から車で南へ十分ほど走った、田園の中にあります。村は北を山に、南を海に、東を川に、西を沼地に遮られています。
主人公の仕事は、シーツの洗濯、床のワックスがけ、オリーブ林の剪定、芸術家たちの駅への送迎、郵便局へのお使い、病院の紹介、雑談の相手。宿泊予定者のリストは出版社からファックスで送られてくる。
夏の明け方主人公の下に傷ついた一匹の動物の子供がやってくる。主人公は、その動物を自分の部屋で飼い始める。その動物に、ブラフマンという名をつける。
動物は何なのか、最後まで書かれていないがかわうそではないだろうか?
かわうそを辞書(「広辞林」)で引いてみると次のようです。
イタチ科の哺乳類。頭胴長70センチメートル、尾長50センチメートル内外。体の背面は光沢のある褐色、腹面は淡褐色。四肢は短く、指の間に水かきがある。泳ぎはきわめて巧みで、魚・貝・カニなどを食べる。ユーラシアに広く分布するが、数が減っている。
ブラフマンに食事を与え、しつけをし、大きくなってくると外に連れ出し、運動させたり、池で泳がせたりします。部屋に一人で置いておくとあらゆる引き出しを開け、中のものを引きずり出し、齧ってしまう。ペットを飼う人というのはそんなことにはあまりこだわらないものらしい。
<創作者の家>に出入りの雑貨屋がおり、必要なものは頼んで配達してもらっている。主人公は、その雑貨屋の娘がお気に入りのようだ。でもその娘には、時々町からやってくる恋人がいるようだ。駅で芸術家たちを出迎えする時に時々見かける。
その娘の気を引くために、雑貨屋へ買い物に行ったときに、レジが混んでいれば手伝ってあげたり、車の運転を教えてあげたりする。
ある日、ブラフマンを池で泳がせていた時、雑貨屋の娘がやってきて、車の運転を教えてくれという。ブラフマンを遊ばせたまま、車の運転を教えていたら、ブラフマンが車の前に飛び出し、轢かれて死んでしまう。
<創作者の家>で長いこと仕事をしている、碑文彫刻師がいるので、彫刻師が石棺を作ってくれ、その石棺に入れて埋葬する。
それだけの話です。作者は、何が言いたかったのでしょうか。ブラフマンをほっといて、雑貨屋の娘の相手をしたのがいけなかったのでしょうか?
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ブラフマンが可愛いです。
詳細に描かれているブラフマンの行動は容易に想像できました。
そして、想像すると実に可愛い(笑)。
ブラフマンの容姿は鮮明に描写されていますが、はっきりと生き物の種類は書かれていませんでした。
名前からしてそうなので、はっきりとしなくても不思議はありませんが。
はっきりとはしていないブラフマンですが、可愛さだけは確かです。
どことも知れない町やそこにいる人々の雰囲気は絵本のようで、文章の雰囲気は詩的な感じがしました。
淡々と進んでいく物語の中で、ブラフマンだけは活き活きしていてまさに生きている存在に感じました。
満足度は★★★☆☆。
最後におばあさんが好きになりました。
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やはりどこか空想的な世界が広がっている物語。現実味が薄いところが好き。でもあまり動物好きではない自分にとってはいまいちブラフマンの良さは解らなかった。人はやはり人を一番に考えてしまう虚しさかな…。
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何の動物なのかまったくわからないまま
ずっと読み進めていく。
私的にビーバーのようなものがずっと頭の中にあった。
水かきってあったっけか。
彼女の書きぶりから感じ取れる暖かさが、読み手を安心させる。
同時に、一瞬の性的場面の生々しさが逆に露骨で
はっとした。
結末が分かっているだけに
ブラフマンの可愛さはひとしおだった。
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ブラフマンかわいい。
どんな動物かいまいちわからないけど、仕草は目に浮かぶ。
あまりに唐突なブラフマンの最期が哀しい。
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「ブラフマン」という独特のネーミングが何とも好きです。
ブラフマンと過ごした夏のことが優しく描かれていて柔らかい印象を受けました。
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淡々とすすむ話。淡々と語られる日常。
そこに温度はないようだけど、最後に感じるのは切なさ、悲しさ。
それと共に、不思議とあたたかさと愛おしさも感じる。
共存しないような感情が溢れてくる。
とても静かな話。
読後感がいい話。
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静かで優しい文章なのに、どこか怖い。
ブラフマンが登場すると思わずほっとする。
淡々としていて、いろんなことが結局
何だったのか分からずじまい。
とりあえず娘が嫌だ…(笑)
他の方のレビューを読んで
やっと気付いたんですが…
ブラフマンは犬って書かれてないんですね。
勝手に犬だと思ってた。
カワウソかな?
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ブラフマンというのはそのまんま、「僕」の持つ「娘」に対する謎の具現化したものだったんだろうか。あまりにも理不尽な最後。だけどとても綺麗。
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寓話とリアルを行ったりきたり、と言う感じ。
透明できれいすぎて、だからこそどこか怖い。
..芸術家のための建物、管理人の『ぼく』、不思議な生き物『ブラフマン』。死を描いていながらも、ただよう綺麗な森の空気感。
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ひたすら娘がにくい!って事実だけを記していたら思うんだろうけど、なんでだかいろいろな感情が交じって理不尽な最後も受け入れられてしまう、そんな不思議。