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紙の本

二つのナショナリズムと近現代日本

2004/05/24 23:21

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:梶谷懐 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は小林よしのりの『戦争論』に対する言及から始まっている。よく知られているように、浅羽さんは90年代初めよしりんの「ブレーン」と言われるほど彼の立場に深くコミットしていた。オウム事件後、よしりんはいわゆる「右傾化」の一途を歩んでいったが、浅羽さんはそんな彼から次第に距離をとると同時に、雑誌媒体での、特に政治的な内容にかかわる時論を控えるようになった。普通それは彼なりの「処世術」の結果だと受け止められていた。だが、本書の内容から判断するに、その間、浅羽さんは独自の思索を重ねることによって『戦争論』にいたるよしりんの思想的な歩みを捉えなおし、その立場にコミットしないまでも単純に否定もせず、むしろそれを乗り越える道を模索していたのだ。

 本書における「ナショナリズム」へのスタンスは、まずその二つの側面を強調すると言うものだ。一つには左・右を問わず「正義」「公」を実現するための理想主義的思考を担う基盤としての側面(「拡散型」ナショナリズム)、そしてもう一つは「意識しようとすまいとわれわれの意識を深いところで規定しているもの」としての側面(「収斂型」ナショナリズム)である。特に後者は、ナショナリズムを近代における「想像の共同体」として捉える立場が主流となった現在から見るとちょっと古めかしく感じられるかもしれない。しかし「日本」のナショナリズムを語るときにこの側面は外せないと言うのが著者の立場だ。
 というのも日本においてはこのナショナリズムの二つの側面は分かちがたく結びついてきたからである。例えば本書で印象的に紹介される、本宮ひろ志の『男一匹ガキ大将』の主人公戸川万吉が巨大な敵であるアメリカの財界人とはついに連帯することができなかった、というエピソードは、日本人による「正義」の追求という行為が、無意識のうちにしみこんだナショナリズムといかに一体化しているか、を示したものといえるだろう。

 この他、本書では近代日本におけるさまざまな思想が何らかのナショナリズムの影を宿していたということが衒学的かつ該博な知識を動員して説得的に示される。この手法だけみれば、例えば丸山真男の「国体主義者」的側面を批判してきたポストモダニストとも共通する。しかし浅羽さんは決して「このテキストにはナショナリズムの刻印が押されている、よって否定されねばならない」という紋切り型の批判を行わない。彼の力点はむしろナショナリズムが様々な可能性も持つ「諸刃の剣」的なものであることを正当に評価すること、そして最終的にはナショナリズムに対する「一般大衆」の感覚に信頼を置くこと(この辺は吉本隆明ちっくだ)におかれている。そういった立場から、「公」をめぐるアポリアに正当に悩んで見せた存在として小林よしのりを評価しつつも、結局のところ「大衆」はその理想主義についていけないだろう、として最終的にはそれを批判するのだ。

 ただ、少し不満だったのは、『戦争論』をかなり意識して書かれたにもかかわらず、「大東亜」戦争の評価や戦争責任の問題にほとんど触れていない点である。それは本書が、ナショナリズムの形成に不可欠な日本人の「他者」意識について、せいぜい欧米を対象したものを視野に入れるにとどまり、中国や朝鮮などアジアの「他者」についてはほとんど無視していることに起因する。それは本書の語りが戦後サヨク的な紋切り型に陥らないための浅羽さんなりの戦略だったろう。しかし現在において中国や半島におけるナショナリズムへの反発がまさに現代日本の「大衆」的ナショナリズムの主要な構成要素となっており、よしりんの「右傾化」もまさにその文脈で起こってきたことを考えれば、やはりこの点に関する著者の突っ込んだ見解が聞きたかった気がする。その分は星一つ減点したい。

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2009/12/29 22:20

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2010/05/25 07:00

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